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HOME > 経営をよくする > 中堅・中小企業の改革物語

中堅・中小企業の改革物語 中堅・中小企業が、激動の時代を生き抜く為のヒントをコンサルタントの視点からお伝えします。


第12回 ある中小企業の営業力強化の話

今回紹介する企業は従業員100人のOA機器メーカー販社です。営業所は全国に5ヵ所あり、10年前にヒット商品に恵まれて、業績が良いときもありましたが、最近になって売上が半減していました。

販社ということもあり、人員の8割は営業職でした。ただし、元々はメーカーの技術者だったこともあり、まじめに仕事をする気質がありましたが、マーケットやユーザーのことを良く知らずに営業活動を行っていました。

改革活動の第一歩として取り組んだことは、お客様の分析でした。この企業の営業の方は、各人自分の判断で訪問する先を決めていました。そこで、まず重要なお客様はどのようなお客様なのかを決めました。そのお客様がコアユーザーです。

コアユーザーの定義は、OA機器を複数所有し、買い替え頻度の高いユーザーとしました。そしてそのコアユーザーの分布を調べてみることにしました。すると、コアユーザーは様々な地域に分散して存在するのではなく、ある地域に集中して存在することがわかりました。そこで、その地域に集中して訪問活動を展開することにしました。

次に取り組んだことは、コアユーザーの買い替えプロセス研究です。実際に営業の方がお客様のヒアリングを行い、「使用」、「(買い替え)情報収集」、「比較検討」、「意思決定」の買い替えプロセス毎に、お客様の期待は何で、お客様の満足度を向上するには、お客様の状態をどうすれば良いかを研究しました。

なかなか最初はお客様の期待が良くわかりませんでした。しかしながら、お客様のヒアリングを重ねるうちに徐々に期待しているものが見えてきました。例えば、使用場面においては、使い勝手も重要だが、実はメンテナンスの手間も省きたいというニーズがあることがわかりました。

そこで、単に営業の方が訪問するだけでなく、アウトバウンドコールでお客様にメンテナンスの状況をお聞きし、リプレイスするとどの程度メンテナンスコストが押えられるのか、そのコストシミュレーションも併せて訪問時に提案させるようにしました。このように、お客様の買い替えプロセスに応じた営業タスクを決め、一つひとつ実行に移していきました。

でもこれだけで終わったわけではありません。さらに改革は進みます。今度は、優秀な営業マンとそうでない営業マンに同行し、彼らがどんなことを行っているのかを調べました。優秀な営業マンほど事前にお客様ケアをしているので、突発のクレームが少ないなどの違いがありましたが、一番の違いはお客様に対するニーズの引き出し方でした。

例えば、優秀な営業マンは必ず実機の前でお客様の使用方法を確認します。そうすることで、リアルな場面で発生する困りごとを拾っていました。そうでない営業マンは、カタログで使用方法を説明します(しかも一方的に)。そこでは、表層的かつ一般的なお客様の感想しか拾えていませんでした。

そこで優秀な営業マンから得られたノウハウをシート化し、そのシートに基づいて、トレーニングを行いました。

このような改革の取り組みを通じて、半年後には売上をピーク時の3分の2まで回復することに成功しました。

3つの着眼で強化していく

業績が悪くなると、やたらに営業マンの訪問活動量を増やしたり、インセンティブを高くしたり(そのかわり目標も高くしますが)と、目先の施策を打つ企業が多くなります。残念ながら、それではなかなか苦境から脱することは出来ません。なぜなら、市場・顧客の変化に対応できない限り、永続的に売上向上をしていくことは難しいからです。

そこで上記事例にもあったように、営業力を強化していくためには3つの視点が必要になります。

①営業戦略面での着眼

営業マンは往々にして一匹狼になりがちです。放っておけば各自の嗅覚で獲物を捕りに行きます。でもそれでは生産性は上がりません。営業マンを束ねて同じ方向を向かせるためには戦略(=方針)が必要になります。それは、市場・顧客の選択と集中です。

どこの市場・顧客を取りに行くのか(または捨てるのか)が明確になっていない限り、競合には勝っていけないのです。

②営業プロセス面での着眼

営業には必ずプロセスがあります。どのプロセスでどのような営業タスクをすれば良いか営業マンがわかっていなければ、お客様の満足度を向上させることが出来ません。そのためには、お客様の購買プロセスの研究が必要です。お客様視点に立って、お客様がどのプロセスでどのような期待をもっているのか。その期待が明確になれば、それに応じたアクション(=営業タスク)を決めれば良いだけです。

③営業スキル面での着眼

営業戦略、営業プロセスと営業スキルはセットで考えます。いままでと違う市場・お客様、またはあるプロセスを強化しようとすれば、求められるスキルも変わってきます。しかし0からスキルを開発する必要はありません。そのスキルは社内の誰かが持っている可能性が高いからです。そのスキルを可視化(転移可能なものにすること)し、トレーニングを積み重ねることで、営業スキルを習得させることが可能になります。

<本稿は筆者の見解に基づくものです>

筆者

坂田 英之氏

坂田 英之氏

株式会社 日本能率協会コンサルティング
経営コンサルティング事業本部 チーフ・コンサルタント

1991年4月に日本能率協会コンサルティングに入社 製造業、サービス業、情報 ・通信産業などのマーケティングおよび営業競争力革新を専門領域とする。営業マネジメントシステム開発、セールススキル評価および強化、営業部門情報武装化(SFA)支援、ソリューション営業実践支援などのコンサルティングの経験を有する。

出典:NEC運営サイト「N-town」<中堅・中小企業の改革物語>

掲載日:2014年11月10日

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