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HOME > 経営をよくする > 中堅・中小企業の改革物語

中堅・中小企業の改革物語 中堅・中小企業が、激動の時代を生き抜く為のヒントをコンサルタントの視点からお伝えします。


第3回 製造業A社の物語~その2

なぜ儲からない?

売上が順調に伸びているときは、利益も増え続けていました。売上の拡大に伴い、人も設備も増えていきました。やがて場所も手狭になり新工場を建てました。
しかし、景気の悪化に伴い、売り上げが減少すると、利益はそれと同じように減ってしまいました。
売上の減少に伴って、コストを減らすことができれば利益額は減るものの、利益率を一定に保つことができるのですが、売り上げが伸びていた時に
・新しく買った設備
・新しく立てた工場
・新しく雇った従業員
といった固定的な費用を減らさない限り、売上に見合った利益を確保することができないのです。

会社は何を目指すのか?

A社は中小企業でありますが、地元に根付く企業で、地域社会への影響も少なくありません。
社長としては、できるだけ従業員を解雇することなく社業を続けたいとい強い思いがありました。
A社はこの難局を乗り越えるべく、事業の在り方をどうすべきかも含めて、改革活動に着手しました。
あるべき姿としてこんな思いを描きました。

・現在の顧客の業績に左右されることない、幅広い顧客と付き合いたい。
・製品の付加価値を高め、利益率を高めたい。
・自社の技術を生かしながら、従来の事業分野とは異なる領域に進出したい。
・自社ブランド製品を生み出したい。
・新しいことにチャレンジをし、常に変化に対応できる人材を作りたい。
・日本でモノづくりを行い続けるためにも、成長する海外市場での事業を行いたい。

活動は「今の仕事を見直し、現場の生産性を向上し、人や設備を増やさないで新しい仕事を取り込む効率化活動」と「新しい顧客と新しい製品を創りだす拡販活動」の両面で行いました。

仕事が増えたら儲かるはずだったのに?

大手メーカーの協力企業として部品や部材を加工し、納める仕事は一度受注契約を行えば、その部品が使われる製品がモデルチェンジし部品が変更になるまで、量の差はあれ、毎月注文をもらえます。
営業としては次期モデルでの採用を得るための活動と、現行品については品質・コスト・納期に関する顧客要求に対し、満足を得ていただく対応を行うことが主たる活動となります。

この活動は日ごろからのお客様との関係をいかに良好なものにするかということが重要なポイントとなります。
全くの新規顧客に対してこのような関係を築き上げることは一朝一夕にはできないものです。
A社においてもほかの大手メーカーへの定番部品としての新規採用を目指すべく営業活動は行うものの、基本的には年に1回の採用コンペティションへの参加ができるかどうかというところから始まるため、短期的に受注を増やすことはできません。

そこでA社では、お客様のプロジェクト単位での案件に対して都度開発を行い製造納入を行う、受注生産型の事業を始めました。そのために営業マンを増員し、各種個別オーダーに対応した営業を行いました。
慣れない営業活動なので苦労はしましたが徐々に案件は増えていきました。
しかしながら案件はいっぱいあるにもかかわらず、そのうちの幾つが受注になるのかが見えないまま、ひたすら営業活動を行っていました。

そこで、案件ごとに、問い合わせから、案件内容の把握と見積もり、価格・工程調整、受注といった今どの段階にあるのかを案件ごとに見えるようにし、案件の受注確定までの進捗管理を行うことにしました。
個別受注案件獲得活動を行うことにより、売上が増えたにもかかわらず、利益はなかなか増えませんでした。

何が良かったのか、悪かったのかが分かれば手は打てる

大手メーカーの部品製造に比べると、毎回受注を確定するまでに、仕様や価格を決めるための手間のかかるプロセスがあったり、製造も小口となり、効率のよくない生産となってしまうことが多いという問題はありました。
しかし一番の問題は注文を取る際に、この価格で儲かるのか?実際の案件ごとに儲かったのかどうかが分からないことでした。
仕事を手間暇かけてこなせども、利益に結びつかない、そんな状態がしばらく続きました。
先に行った、「案件が受注までのどの段階にあるのか、その進捗はどうなっているのかを明らかにする案件のステータス管理の仕組み」に加えて、案件を受注する際の目標利益や目標原価を設定し、原価費目別に目標と実績の差異が分かるようにしました。
この結果を毎月、経営幹部も参加する会議でレビューしました。

・どの案件が儲かっているのか?
・もし目標利益を下回る場合どの費目に原価差異があるのか?
・その差異は目標の設定が間違っていたことによるのか?
・実績原価が目標を上回った原因は何か?
といったことが検討されるようになりました。

これにより、儲からない仕事はどんなものなのかが分かり、無理な受注を行うかどうかは一営業マンが決めるのではなく、会社として決断するようになりました。
また、営業マン一人一人が案件の売り上げだけではなく、コストについて意識を持つようになりました。
このほかにもいかに付加価値の高い製品を開発するか、自社ブランド品の開発販売など、既存事業の枠を超えた売上アップのための活動をいろいろ行ってきました。
売上を増やすという活動は、経営環境が思わしくない下では、なかなか先の見えない活動ですが、A社は今も果敢に挑戦を続けています。

<本稿は筆者の見解に基づくものです>

出典:NEC運営サイト「N-town」<中堅・中小企業の改革物語>

掲載日:2014年9月22日

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