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中小企業大学校の上手な使い方 成長企業にみる人材育成


三共光学工業 株式会社

最先端「光」技術で、あらゆる産業界の「目」を担う

三共光学工業株式会社
萩原達俊代表取締役社長

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1.「手間のかかるもの」に注力し太陽観測衛星にも製品が使われる

産業機器用特殊レンズ

産業機器用特殊レンズ

三共光学工業株式会社は、1929年に光学レンズの研磨業として東京都荒川区で創業。産業用機械や映像機器用の少量多品種の高性能光学レンズを製造している。
 同社は、戦後、洗浄、組立工程なども手掛けるようになり、順次、全工程所持のスタイルを所持するようになった。1967年には秋田県誘致企業として仙北郡美郷町に進出。その後は、生産拠点を同県に集中し、カメラやビデオカメラの一般化に伴うレンズ需要の拡大に対応するため、大量生産路線を進めてきた。

しかし、昨今のスマートフォンの普及により、デジタルカメラなどの映像機器市場は急速に縮小。海外への生産移転も進み、このままでは熾烈な価格競争に巻き込まれることが必至となった。
 そこで、同社は萩原社長の掲げる「『大きい、小さい、面倒くさい』を迅速に!」をスローガンに、国内での生き残りを選択し、それまでの大量生産から少量多品種生産へと大きく方向転換を図った。日本の、秋田県で、「ここでしかできなもの」、「手間のかかるもの」、「難しいもの」の加工に注力することを選択した。

その結果、2006年9月に打ち上げられた太陽観測衛星「ひので」には、同社の補正レンズが採用され、宇宙航空研究開発機構(JAXA)から感謝状が授与された。また、2008年には「元気なモノ作り中小企業300社」に選ばれるなど、高い技術力を誇る企業へと成長を成し遂げた。

2.最後の品質を決めるのは人

赤外線用非球面レンズ

赤外線用非球面レンズ

レンズ加工の最終的な製造工程は、いわゆる職人芸に負うところが大きい。そのため、同社では技術の伝承については、OJTで実施している。この技能の修得という面では、実のところ、当社の社風ともいえる、社員の「辛抱強さ」「勤勉さ」に資するところが大きい。

秋田への進出を決めたのは先代だが、レンズ作りと、東北人らしい社員の気質が幸いにも見事にマッチしており、このことが自社製品の品質向上につながっているのだ。

3.技術だけで会社経営はできない

このように、技術の伝承は順調な同社であるが、高い技術だけで会社を存続させることはできない。萩原社長は、30数年前に中小企業大学校東京校の「第4期経営後継者研修」(1年間)を受講した。後継者である息子の萩原俊輔氏も2012年に東京校の「第33期後継者研修」(10カ月間)に派遣されており、親子2代での受講となる。

2人とも理系であったため、経営に関する知識がまったくなかったためだ。萩原社長は、1年にわたる長期の研修も、会社経営に必要な知識の習得の機会として、興味も沸いたし、すんなり受け入れることができたという。

また、同社は30年以上にわたり、総勢24名の経営幹部を「経営管理者研修」に派遣している。社員の日々の業務はものづくりが中心。それ以外の人事労務やマーケティング、財務など、会社経営に必要な業務には何があって、どう重要なのかに気付いてもらうためだ。
 これを自社内で説明したとしても、なかなか理解してもらうのは難しい。だからこそ、中小企業大学校という第三者から、きちんとその重要性を説いてもらうことに意味がある、と萩原社長は語る。

4.社内に共通言語ができた

このように、社長、後継者、経営幹部が大学校の研修を受講しているため、同社では共通のバックグラウンドができており、社内で議論するにも話が早い。

各種大口径レンズ

各種大口径レンズ

また、一般的にありがちな、後継者が自社の古参の社員に受け入れられないというような事態も同社では起きていないという。研修の効果を目に見える形で測定することはなかなか難しいが、こうした目に見えないところにこそ、その効果を感じることができるのかもしれない。


5.光の技術で未来をひらく

今後も秋田にしっかり腰を据えて製造業を続けていくためには、より高精度なレンズ作りに挑み続けなければならない。そのためにまず必要になるのが、「測定」技術だ。 より高度な要求にあった測定器を探し、導入する。それだけなら話は簡単だが、「測定」は、レンズをポンとおいて測ればそれでいい、というものではない。しかも、最先端の測定器はすべて海外製なので、メーカーの営業担当者にちょっと来て使い方を教えてもらう、というわけにもいかない。

スティッチング干渉計ASI(Q)

スティッチング干渉計ASI(Q)

例えば、重力があるから、レンズの支え方によって、その自重でレンズが変化してしまう。だから、どういうセッティングをすれば、レンズの変化が一番小さいのか、というところから技術を構築し、改善を積み重ね、好循環を作っていく必要がある。

高度化する光の用途からの要求に応えていくためには、「どうすればうまくいくのか」という仮説を自ら考え、検証していける人材を養成していかなければならない。「『両端を支えるとこうなっちゃうし』とか『じゃあ、こうやって置いてみようか』とか…」と、身振りを交え熱心に語る萩原社長。新たな技術開発にかける社長の熱い想いの先に、日本のモノ作りの確かな未来が見えた。

企業データ
三共光学工業株式会社
代表者 代表取締役社長 萩原達俊
所在地 東京都荒川区東尾久5-20-3(本社)
電話 03-3893-9541(代)
設立 昭和4(1929)年
資本金 5,000万円
従業員数 約350人
主要事業 産業機械や映像機器用の高性能光学レンズ製造

掲載日:2015年10月13日

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