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中小企業大学校の上手な使い方 成長企業にみる人材育成


変わり続けるために大学校を活用

株式会社 諏訪田製作所

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工場内の作業風景。職人が一個一個手作業で製品をつくる

工場内の作業風景。職人が一個一個手作業で製品をつくる

刃物や工具など金物の産地として知られる新潟県三条市。この土地に本社を構える諏訪田製作所は、盆栽用はさみや、つめ切りなどを自社で材料の鍛造から刃面の仕上げまで一貫して手がけている。すべて職人による手作業だ。機械による自動化で大量生産品が多く流通する中、昔ながらの手作業という製法を貫いて作られた製品は高級品として注目を浴びる。さらに2011年春には、海外販売拡大を狙い、香港とロンドンに販売会社を設立するなど、新たな動きもみせている。
 そんな諏訪田製作所だが、中小企業大学校三条校とのかかわりは深く、1992年の同校開校以来、現在でも続いている。「三条校ができるまでは、教育を受けようと思っても東京校に行くしかなかった」と小林知行社長は振り返る。同社から三条校までは自動車で約20分と比較的近く、「使わない手はない」(小林社長)。小林社長自身が同社の最初の利用者で、同校の経営幹部を育成するプログラム「経営管理者養成コース」の第1期生だ。

利益を出す体質に

三条校ができた92年当時、同社は赤字体質の企業で「ほぼ倒産しかけていた」(同)という苦しい状況だった。就業規則さえもなく、経営戦略、財務、労務など会社経営に関するあらゆることが欠けていた。小林社長はその頃はまだ社長についていなかったが、何とかしなければという強い問題意識から、トータルで経営について学べる、経営管理者養成コースの受講を決めた。
 同コースについて小林社長は「コースの中のどの内容が良かったとかではなく、このコースそのものに価値があった。全てが私に必要だった」と語る。6カ月に及ぶ長期のコースで、「経営に関する全てを手加減なく叩き込まれた」という。研修中は、「休めるのは入浴中ぐらい」というほど必死になって勉強。夜中は同期生と熱い議論を交わした。「この6カ月があったからこそ、今までの厳しい時を乗り越えられた」と振り返る。
 社長就任後は、同校で学んだ経験を生かして利益を出せる体質に改善。赤字を出していた時期の売上高は3億円。2010年12月期の売上高は4億4000万円と大きくは伸びていないが、営業利益率は大幅に改善したという。しかも社員は当時の20人から、40人と倍に増えている中での数字だ。小林社長は「財務内容が良くなり、利益も常に出し続けている。時代にマッチした経営ができている」という。また、こう一言付け加える。「三条校がなかったら倒産していただろう」と。

ほぼ全社員を大学校に送り込む

「当社は、中小企業大学校のヘビーユーザー」と小林社長が言う通り、毎年ほぼ全社員を同校に送り込み、学ばせている。年初に同校から送られてくる次年度の研修プログラムを見て、何が足りないか、何が必要かなど社員の経験に応じてどの講座を学ばせるかを決める。受講で職場を抜ける社員に合わせて仕事のシフトを組む。
 「うちは零細企業。すべての面において不足している」。小林社長は、同校を使った社員教育に力を入れる理由を語る。従業員規模約40人の同社。教育しようにも大企業のように自前ではできないし、社員一人ひとりに合わせた教育ならなおさらだ。その点、さまざまな研修プログラムが用意されている同校の存在は「非常に助かっている」(同)という。
 研修には当然他社の社員も参加している。他社との接触は経営者ならまだしも、製造現場の段階では少ない。同校で他社の社員と話をし、勉強することは「自社がいかに小さい企業なのか、自分がいかに何も知らいないかを知ってもらう良い機会」(同)にもなる。

社員の意識変わる

同校を活用するようになって社員の意識も変わってきた。活用する前までは、職場の掃除すらまともになされておらず、また、「仕事上で社員に何か指示をしても『嫌だ』と断られることもしばしば」(同)。しかし、同校で勉強を重ねるうち社員自身が企業とはどういうものか、モノづくりとはどういうものかなどを知ることで、改善されていき、現在では社員から提案が出るまでになったほどだ。研修に出た社員全員が変われるわけではないが、それでも「半分も変われた。変わった社員は顔を見ればわかる。人が変わるということは大変なこと」と社員の成長を喜ぶ。
 自社について小林社長は「強いと思ったことなど一度もない」とキッパリ言う。「技術的に新しいところは何もない。ただまじめに、愚直に正直に続けるという、当たり前のことを当たり前にやっているだけ」とも。三条地区でも昔は同社と同じように手作業でつめ切りを作る企業が多くあったというが、今では「当社だけ」(同)だという。周りが自動化を進める中、逆に手作りの同社の製品が際だち、それが特徴となり今日につながっている。

「社員が変わってくれたから今まで会社を続けてこられた。これからも常に変わり続けなければ将来はない」と小林社長は力強く語る。現在、小林社長は、企業の大きな変わり目の一つである社長のバトンタッチに向け、後継者の育成に同校を活用している。小林社長自身も学んだ「経営管理者養成コース」に09年度は2人の社員を学ばせた。11年度以降も「また2人程度を送り込みたい」と話し、会社継続のための準備を着々と進めている。
 同社は、マネジメント関連を学ぶには中小企業大学校の研修をフル活用しているが、その一方で技術系を学ぶには燕三条地場産業振興センター(新潟県三条市)の講習会を活用するなど、研修機関の特性を上手に使い分けながら総合的なスキルアップを補完している。
 11年4月に4人の新卒社員が入社する。小林社長は「まずはしっかりと自社で社員教育をしてから、三条校にお世話になりたい」と話している。

企業データ
株式会社 諏訪田製作所
代表者 代表取締役 小林知行
所在地 新潟県三条市高安寺1332
電話 0256-45-6111
設立 1974年7月
資本金 1000万円
社員数 40人
主要事業 つめ切り、盆栽用特殊刃物等の製造販売

掲載日:2011年6月 6日

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