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中小企業大学校の上手な使い方 成長企業にみる人材育成


大学校での研修が人材育成の中核に

株式会社 三ツ矢

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同社飛躍の原動力は、職制に応じた一人ひとりの能力開発と全体での底上げにある

同社飛躍の原動力は、職制に応じた一人ひとりの能力開発と全体での底上げにある

「難しかったけど、楽しかった」―。中小企業大学校で研修を終えた三ツ矢の社員は受講の印象をこう答えるという。「今まで井の中の蛙だった社員にとって、大学校での勉強は知らないことだらけ。知識の習得だけでなく、自分を見つめ直す時間も与えてくれる」と、小澤茂男常務は研修の意義を語る。

経営資源は人材

JR山手線の五反田駅から徒歩10分。春には満開の桜が彩を添える目黒川の程近くに、三ツ矢は本社を構える。国内有数のめっき技術を有し、なかでも集光反射効率99.8%以上の高反射特殊金めっき技術は、米スペースシャトルの実験装置に採用された実績を持つ。また、自動車エンジン用のセンサー部品めっきでは、世界シェア4割を誇る。「困ったときには三ツ矢に持っていけ」というのが、業界での合言葉となっている。

国内でも指折りの技術者集団である三ツ矢が心血を注いでいるのが、人材育成だ。技術は人に宿る。ただ、宿主が個人に限定され伝承されなければ、企業としての成長は難しい。同社の飛躍の原動力は、職制に応じた一人ひとりの能力開発と全体での底上げにある。「企業が成長するには、方向性を全社員にはっきり示すことが大切だ。当社の経営資源は人材。どんなに不景気になっても人材育成の手綱は緩めない」(小澤常務)と力を込める。

大学校での経験生かしステップアップ

大学校での研修が契機となり成長を遂げた社員がいる。
 当時30歳前後だった若手社員の扱いに上司は手を焼いていた。「言うことを聞かないことはざらで、注意すると上司に食って掛かるようなやんちゃだった」という。

責任感を植えつけるために「主任にしてはどうか」という声が出た。三ツ矢は中小企業大学校での研修を終了しないと昇進できないシステムを組んでいる。主任になるには「工場管理者養成研修」の修了が条件となる。当然、若手社員も受講することになった。
 週3日×6回の研修を終え、会社に戻ってくると、同社員の態度に明らかな変化があった。「上司の言うことをよく聞くようになったことはもちろん、年下の人に丁寧に仕事を教えるようになった。また、進んで仕事をするようにもなった」(同)。
 目を見張るほどの変身を遂げた裏には、工夫された大学校の研修カリキュラムがある。単なる専門知識の詰め込みではなく、ゼミナール形式での討論やリポート発表などがあり、コミュニケーション能力が要求される。「知らない人と触れ合うことで、考えの違う人との付き合い方に気付いたのではないか」(同)と分析する。
 それから10年。いま、この社員は多くの部下を抱える要職に就いている。将来の三ツ矢の経営を担っていく人材候補でもある。

三ツ矢が中小企業大学校での研修を人材育成に利用するようになったきっかけは、草間誠一郎社長が米沢工場(山形県米沢市)を任された常務時代にさかのぼる。当時、赤字続きだった同工場で、製造責任者を中小企業大学校の工場管理者養成コースに通わせた。経験や勘に頼る従来のやり方から、受講して得たマネジメントノウハウに基づく効率生産が芽吹き始めた。さらに経営管理者コースにも通わせた。会社収益を見据えた行動力と能力をもつ社員がいる米沢工場は、黒字体質に転換することになる。
 2005年に社長に就任した草間社長は当然の帰結として、人材教育に力を入れる姿勢を一段と鮮明にした。主任クラスから毎年、中小企業大学校の研修を受ける社員を選抜し、広く経営管理能力を磨かせている。その結果「今では主任でもキャッシュフローの考え方や予算の立て方を知っている」(同)ほどだ。工場長になるには「経営管理者研修(全60日)」と「MOT(技術経営)研修」の受講が必須条件となる。経営管理者研修では、部下の教育方法やコミュニケーション能力など管理職に求められる資質を高める。また、貸借対照表の見方など工場管理者として必要な経営の基礎を身につける場としても活用している。
 一方、MOT研修は事業計画の立案や損益の見極め方など、より高度で専門的なマネジメント能力を習得するために利用している。基礎を固めた上で応用編に移るようにして、各研修をスムーズに受講できるようにした。段階を踏んだ研修課程が功を奏し「管理職の経営に対する感度は格段に高まっている」(同)という。中小企業大学校のほか、職能訓練と製造技術のスキルアップを目的に、めっき組合が主催する研修にも社員を派遣し、技術力の向上にも努めている。

大学校を活用したキャリアシステム

そして人材育成の集大成ともいえる計画が、この7月にスタートする。「キャリア マトリックス」と称するシステムで、約4年の歳月をかけて完成させた。課長や部長などの役職とは別に、社内資格に類した初級・中級・上級のランクを設定し、ランクに応じた手当も支給する。「役職が低くても級が上になれば、役職者より高い給与となることもある」(同)という。3年、5年、10年後、定年までという幅広い期間の計画を本人に立てさせて、目標を明確化させる。同時に「目的意識を植えつけて、仕事を楽しく、やる気をもって取り組んでもらう」(同)狙いもある。資格を取得するための研修は、中小企業大学校とリンクさせている。「研修内容が豊富なことに加え、研修者の実力に合わせてメニューが組めるなど、自由度が高いことも魅力のひとつ」(同)という。

収益には直接的に結びつかない人材育成に、ここまで注力する中堅・中小企業は多くない。三ツ矢がそこに力を入れるのはなぜか―。小澤常務は「めっきの対象となる金属や新たな材料の知識も必要になる。未知なるものへ"挑戦"しないと道は開けない。受講は、そうした挑戦に立ち向かっていける自己改革のきっかけでもある」。人材育成をベースにした三ツ矢の成長戦略に、終わりはない。

企業データ
株式会社 三ツ矢
代表者 代表取締役 草間誠一郎
所在地 東京都品川区西五反田3-8-11
電話 03-3492-7197
設立 1959年2月
資本金 1500万円
社員数 290人
主要事業 めっき加工業

掲載日:2011年6月 6日

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