三和エナジーは、建設や土木業用の重機を対象にした燃料配送事業を主力とする。近年ではデータセンターや通信インフラ企業の非常用電源への給油事業を始め、環境に配慮した燃料の取り扱いを見据えるなど幅広い展開を続け、変わりつつあるエネルギー業界に柔軟に対応している。
同社の強みは「人がやらないことをする」(上野瑞穂社長)。関東一円に配送網を持ち、安定した品質でどこへでも燃料を配送するというのもその一つだ。強みを生かした事業展開で、売り上げを5年前に比べて3倍に伸ばした。これまで東京・日本橋を中心に50km圏内と設定していたサービスの範囲を100kmまで広げようと、2009年には山梨に進出して営業所を9拠点に増やした。
社内人材育成システムの構築も
もう一つの特徴は、軽油の免税申請を請け負う会社や燃料タンクを整備する会社など、機能を振り分けたグループ子会社を計7社持つ点だ。グループを束ねるためには意思疎通ができ、経営者の立場で物事を見る将来の経営幹部候補の育成が必須だ。しかし中途採用者が多く、共通意識や仕事の経験などが不十分だった。教育の基盤もなかなか作れない。そこで幹部候補を育てるとともに、卒業生を次世代の教育につなげようと、中小企業大学校の経営管理者研修への参加を決めた。
大学校に参加し始めて6年目を迎えた。上野社長は「方向性や理解度が合い、意思疎通が円滑になった」と成果を挙げる。また企業のさらなる成長には、新しい事業の計画や収益目標の設定、営業サポートのできる人材が必要だ。大学校の成果はここにも現れ「営業計画や目標を立てることのできる人材が増えた」(同)という。
ただ困難なのは「モチベーションを継続させること」(同)。大学校受講後も開かれる交流会などを活用しながら、会社と社会の利益という共通の大きな目標に向かう体制を作り、意識を向上させる。意識や教育を大学校経験者以外に広めることも課題だ。今後は卒業生に人を束ねる経験をさせて成果を積み重ね、社内で人材育成のシステム作りを進める。
幅広い視点でコミュニケーション力を向上
サービスを扱う三和エナジーの事業には人の力が欠かせない。コミュニケーション力は最も重要な要素の一つだ。上野社長は「参加する将来の経営者のスキルや考え方を知ると同時に、広い分野の受講者と人脈を築くことができる」と大学校のメリットを挙げる。幅広い知識と経験で、コミュニケーション力の向上を狙う。
人を大切にするからこそ教育にもこだわり、会社も成長を遂げた。「三和なくては安心して暮らせない」(同)と言われるほどの企業を目指し、人材の育成に取り組む。
三和エナジー 株式会社
代表者 | 代表取締役社長 上野瑞穂 |
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所在地 | 神奈川県横浜市港北区篠原町1200 |
電話 | 045-432-2983 |
設立 | 1967年12月 |
資本金 | 9000万円 |
社員数 | 160人 |
主要事業 | 燃料配送事業 |

掲載日:2010年3月12日