HOME > 経営をよくする > 中小企業大学校の上手な使い方 成長企業にみる人材育成

グンゼ発祥の地である京都府綾部市。紙器の製造加工や、印刷などを手がけるタマヤも綾部市に本社を構えている。製品の販売先はグンゼ中心だが、長引く不況の影響もあって同社との取引量は縮小傾向。そこで当初は小規模で展開していた印刷事業を強化する路線に変更した。カギとなる技術力アップには社員教育が不可欠との判断から、中小企業大学校の活用を続けている。
受講を積極的に進めているのが、就任9年目を迎える野崎正和社長。トップ昇格の直後から経営に関する知識を持つ必要性を痛感し、自らコンサルタント会社などで勉強を始めた。その経験を踏まえ、最終的に社内の人材育成先として大学校を選択したのは「費用が安く、講義後に他企業の人と交流できる」(野崎社長)利点があったからだ。
同社の場合、主に工場管理者養成研修を活用している。受講対象は幹部候補社員。毎年1人ずつの受講で、工場で発生する問題への対応といった実務面の改善を課題に掲げている。なかでも印刷機械のセットに要する時間の短縮は、注力課題の一つ。現場での生産性向上を目標に、機械の停止時間を削減するための技術取得に力を入れている。
意識改革が成果をもたらす
製造業発展のカギは技術者のスキルアップ。ただタマヤの場合、長らく人材教育に手が回らず、現場での改善も十分に進んでいなかった。しかし野崎社長が大学校による人材教育を始めたことで、工場の雰囲気は確実に変化している。作業員が「工場での問題を自発的に探し、改善策を提案するようになった」と野崎社長は話す。
もちろん生産面でも大きな成果を得た。まず紙器生産の最終工程で行う糊貼り(のりはり)時間を半分に短縮。印刷作業前に行う試し刷りに投入する用紙についても、枚数の半減に成功した。これらの成果の積み重ねにより大幅な製造コストのダウンを実現、財務体質の強化につなげている。
今でこそ現場の改善に前向きな意識が強まっているものの、当初は「1、2人の教育だけでは、なかなか浸透しない」(野崎社長)との危機感もあった。そこで野崎社長は、大学校による教育の継続的な実施にこだわった。その思いが実を結び、社内の意識改革が進んだ。「『動けば成果を出せる』との考えに変わった」(同)という。
環境対応型の製品で市場攻略
製品の強みは環境配慮の姿勢を前面に打ち出したこと。たとえば弁当箱用の板紙は、廃棄する時に分別の必要がない製品として市場投入している。総菜類向けの食品用容器「はがし太郎トレー」は、紙の表面にポリプロピレン(PP)フィルムをはり付けた。廃棄時にPPをはがせば、紙の部分をリサイクルできる。水分を外に漏らさない段ボールケース「フレッシュボックス」も再生紙として利用が可能。素材に発泡スチロールを用いず、折り畳めるため輸送や在庫コストの削減も見込める。
経営に関する今後の方向性についても、環境対応に重点を置く方針だ。中小企業ながら展示会にも積極的に参加しており、今後もこうした自社の姿勢をアピールしていく。同時にレストランなどでの食べ残しを持ち帰るための容器作りにも着手。石灰石を主原料とするストーンペーパーと呼ばれる耐久性の高い紙を使った同容器の投入で、新たな市場の開拓を狙っている。
タマヤ 株式会社
| 代表者 | 代表取締役社長 野崎正和 |
|---|---|
| 所在地 | 京都府綾部市青野町下入ヶ口12 |
| 電話 | 0773-43-4301 |
| 設立 | 1949年4月 |
| 資本金 | 5000万円 |
| 社員数 | 80人 |
| 主要事業 | 各種紙器、印刷、段ボールケース製造販売 |
掲載日:2010年3月12日



