自動車部品や油圧部品などの小物鋳造品を得意とするマツバラ。バリ取りの必要のない鋳物や中子レスの抜き方案設計をはじめ、独自技術に基づくオンリーワン製品も少なくない。生産性の向上やコスト削減につながる技術を開発するべく、これまでにない製品づくりに挑戦し続けている鋳物メーカーだ。
充実した内容とコストパフォーマンスに魅力
松原史尚社長の実弟として、同社の経営を支える松原弘和専務は、輸入副資材を販売する関連会社の営業課長だった2005年5月に、中小企業大学校瀬戸校で開講した「経営管理者養成コース」を受講した。
マツバラ本体の経営企画にも携わるようにとの話が出ていた時期で、「経営者一族の一員として今後自分に与えられる役割を考えたとき、必要な知識がないと思った」。ちょうどその時、中小企業大学校の資料を手にした。他のセミナーと異なり、長期的な視点で専門的かつ実践的な経営管理ノウハウを学べると感じたほか、割安な受講料も魅力の一つであった。同社の第一号として参加した。
事前のアンケートを元に学校側が担当の講師とゼミを決めた。松原専務が参加したゼミには、創業者の2世が集められていた。普段、中小企業の再生を手がける講師は、講義の冒頭に「君たちは跡取りかもしれないが、君たちより従業員の方が優秀だぞ」とはっきり言ったという。これには当初“かちん”と来たが、「オーナー企業の跡取りに厳しく言ってくれる人はなかなかいない」と、むしろ会社に居る時とは違う新鮮な気持ちで講義に臨めたという。
研修では参加者各社の財務諸表をチェックし、分析する時間が設けられ、卒業前にはA4用紙10枚のリポートが卒業論文として課せられた。元来営業畑の松原専務。卒論執筆の作業を通して、自社の強みや弱みを分析したり、経営戦略を練ったりと、「これまで正面から向き合ったことのなかった問題について、じっくりと考えることができた」。卒業直前にマツバラ本体の総務部長に任命された時も、研修を受けたおかげで心構えができていたという。
合宿で仲間から刺激を受ける
受講中は校内の宿泊施設で合宿をする。講義が終わると夜7時までには夕食を済ませる。就寝までのゆったりとした時間が、松原専務にとっては講義と同じくらいためになったという。
「普段、社内にいると見えない自分の実力も、こうした場で同じ境遇の人と交流することで客観的に見えてくる。同級生から刺激を受け、将来経営に携わる者としての自覚が芽生えた」
山の中の、外部から遮断された瀬戸校の環境は、日常のストレスから解放され、リラックスして日々の仕事を振り返るのにも最適だった。「普段忙しい人間は平日に職場を離れるのが難しく、受講をためらいがちだが、むしろそういう人こそこの機会が必要だ」と松原専務は感じている。
もともと社員教育に熱心な会社だったが、外部の教育訓練を受ける機会は少なかった同社。自身に続いて研修を受けた社員たちの、問題に対する意識レベルが確実に上がっているのを見て、松原専務は効果を実感したという。
「教育は漢方薬治療のように、じっくり時間をかけて進める体質改善のようなもの。教育を受けた人の心の中で何か変化が起きることを期待している。即効性は重視しない」
現在、一定の役職に昇進したら、外部教育を受けさせる仕組みづくりに取りかかっており、その柱に中小企業大学校の各コースを使っている。
株式会社 マツバラ
代表者 | 代表取締役社長 松原史尚 |
---|---|
所在地 | 岐阜県各務原市那加浜見町1-10 |
電話 | 058-382-1171 |
設立 | 1950年2月 |
資本金 | 9720万円 |
社員数 | 120人 |
主要事業 | 鋳物部品の製造 |

掲載日:2010年3月12日