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HOME > 経営をよくする > 中小企業大学校の上手な使い方 成長企業にみる人材育成

中小企業大学校の上手な使い方 成長企業にみる人材育成


株式会社 一ノ蔵

伝統と進化の両面展開

株式会社 一ノ蔵
松本善文社長

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4酒蔵の統合で誕生した一ノ蔵

宮城県を代表する日本酒メーカーの一ノ蔵は、県北部に位置する旧松山町(現大崎市)の丘陵地帯に蔵を構える。創業は1973年。県内の4つの酒蔵が統合して新会社を立ち上げたという経緯を持つ。酒造りでは手づくりの仕込みを堅持する一方、低アルコール酒の新商品開発や農業など新事業にも積極的。伝統と進取の精神が混合した社風が強みだ。


1年間を通じた研修で経営の基礎を勉強

低アルコール酒が販売高の13%を占める

「強い信頼関係で結ばれた家族的な良さと、新しいことに挑戦する企業としての良さが融合している」と、自社の社風を表現する松本善文社長は現在42歳。同社では創業四家の人間が順番に社長に就いており、創業時の社長だった松本善作氏を祖父とする松本社長は6代目となる。

松本社長は大学の醸造学科を89年に卒業後、社会経験を積むために大手スーパーに就職した。青果担当としてサービス業を6年間経験した後、95年に一ノ蔵に入社する。

将来の後継者を嘱望されて家業に入ったが、「経営に関してはまったく分からない状態」(松本社長)だった。そこで、当時副社長だった櫻井武寛氏(現会長)の勧めもあり、95年の10月から中小企業大学校東京校の「経営後継者コース」に参加することにした。

同研修は企業の後継者を対象に、1年間(現在は10カ月間)にわたって開講された。前半の座学形式の授業から、後半のゼミナール形式の授業や企業訪問実習まで、経営の基礎をしっかりと教え込まれた。松本社長は同校の近くにアパートを借り、「ほぼ缶詰め状態」で学んだ。

1年間の研修を終えて会社に戻ると、財務の知識や商品開発のアイデアの出し方などはすぐに役立った。また、人脈の形成にも大いに役立った。講師の先生とは現在でも相談ができるし、同期だった異業種の後継者たちとは刺激し合える良い関係を築いているという。「1年間で世界が変わった。研修に参加しなかったら今の自分はない」と松本社長は振り返る。

伝統産業を進化させて継承

「伝統産業は、時代によって進化していかないと継承されない」
 大学校での研修の後半、京都の織物デザイナーを訪問した際に聞いたこの言葉を、松本社長は今でも大切にしている。消費量が頭打ちとなっている日本酒業界にも同じことが言えると考えるからだ。

「業界の異端児」と評される一ノ蔵は、創業以来、新たな日本酒の開発に積極的に取り組んできた。特徴的なのが、アルコール度数5%程度の発泡性の清酒「すず音」を業界に先駆けて商品化したことだ。

すず音の発売は98年。開発を担当したのは3代目社長の鈴木和郎氏で、鈴木氏は当時課長だった松本社長に、すず音の販売を一任した。松本社長はアルコールに強い方ではなく、酒に弱い人の気持ちがわかると見込まれたのかもしれない。一方の鈴木社長も低アルコール酒の将来性に大きな期待を持っていた。

すず音の発売当初、従来とまったく違うタイプの日本酒は、古い体質の業界から批判を受けた。しかし、すず音が消費者に受け入れられるようになると、他社からも類似品が出るようになった。一ノ蔵ではその後、低アルコール酒をシリーズ化し、年間販売量は現在100万本を超える。売上高に占める割合は13%にまで高まっている。

「日本酒を飲めとばかり勧めるだけでは、消費者に受け入れてもらえない。低アルコール酒を足がかりに、日本酒離れを食い止める」。松本社長はこの方向性に確信を持っている。

企業データ
株式会社 一ノ蔵
代表者 代表取締役社長 松本善文
所在地 宮城県大崎市松山千石字大欅14
電話 0229-55-3322
設立 1973年1月
資本金 1億5000万円
社員数 160人
主要事業 清酒製造
企業ワンポイント
「進化がなければ伝統産業は続かない」。研修で聞かされた一言が、常識破りの日本酒開発につながった。伝統と進取の精神で、日本酒業界の新境地を切り開く。

掲載日:2010年3月12日

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