ここが知りたいREACH規則

ここが知りたいREACH規則

EUの化学物質関連規則を統合するREACH規則について紹介

Q
2019年3月22日更新
Q.535 カリフォルニア州法「プロポジション65」への対応について教えてください。当社製品は用途的に「装置や施設へ取付ける成形品」「取付け後は人や物に接触しない」製品のため、人体へのばく露リスクは低いと思われます。用途シナリオからばく露リスクが低いことを提示する方法はないでしょうか。

プロポジション65は、事業者に対して対象となる物質リストに含まれる化学物質が販売する製品に含まれ、それがばく露する可能性がある場合、警告を行うことを要求しています。

ばく露における最大許容量レベルとしてセーフハーバーレベルが設定されており、セーフハーバーレベルを超えていると判断される場合は、警告が義務付けられています。警告の伝達方法はタイトル27カリフォルニア州規制コード第6条の明確化と合理的な警告の修正通知1)にて説明がされています。その種類として、消費者製品のばく露警告(§25602)、環境のばく露警告(§25604)、職業のばく露警告(§25606)、特定製品、化学および地域のばく警告(§25607)が規定されています。

セーフハーバーレベルは、がんを引き起こすとされている化学物質については「重大なリスクを与えないレベル」(No Significant Risk Levels:NSRLs)、先天性欠損症またはその他の生殖障害を引き起こすとされている化学物質については「最大許容量レベル」(Maximum Allowable Dose Levels:MADLs)と定義しています。NSRLsについては第7条2)にて解説されており、70年間に渡って化学物質にばく露された10万人のうち、がんの症例数が1を超えないことを意味しています。またMADLsはヒトまたは実験動物に害を及ぼさないことが証明されているばく露レベルを意味する「無影響量」(No Observable Effect Levels:NOELs)の1/1,000で設定されています。NOELsについては第8条3)にて解説されています。

ただし、セーフーバーレベルはリストに収載されているすべての化学物質に設定されているわけではありません。セーフハーバーレベルが設定されていない場合、事業者が予想されるばく露レベルが、がんや生殖障害を引き起こさないと証明できなければ、警告を行うことが求められます。これに対してOEHHA(カリフォルニア州環境保護庁)のウェブサイト内4)においては、事業者は警告が必要ではないことを証明する責任を有するが、必要とされていない警告を提供することは推奨されておらず、むしろ資格のある専門家に相談することを検討するべきであると説明されています。

以上より、貴社製品自体のばく露レベルがセーフハーバーレベルを下回る、またはがんや生殖障害を引き起こさないと立証できる場合は、警告は不要です。そうでない場合、装置や設備に貴社製品が取付いている状態では、ばく露レベルが低いと判断できる水準であっても、製品の取付け時や製品の交換時などにおいては、消費者や作業者に化学物質がばく露する可能性があると推測されます。
 貴社製品がそのような使用状況下にあるとき、本規定の職業のばく露警告(§25606)、並びに消費者製品のばく露警告(§25602)の規定に従い、警告表示を行う必要があると考えられます。

職業のばく露警告(§25606)は、連邦ハザードコミュニケーション基準(HCS)に基づいた、すべての警告情報、訓練、表示要件を満たす必要があります。ただし、この中でカバーできない職業のばく露については、警告表示の手法や内容に関して規定されている上記修正通知1)におけるセーフハーバーの明確かつ合理的な警告‐方法と内容(§25601)~環境のばく露警告内容(§25605)、並びに特定製品、化学および地域のばく警告(§25607)と調和した警告を行うことができるとしています。貴社製品は成形品であり、HCSのSDS要求に適合しないため、消費者製品のばく露警告(§25602)に従うことになると考えられます(2018年7月27日付けコラム参照)。

このように取付け後は人や物に接触しない製品であっても、製品の交換や取付けがカルフォルニア域内で行われる可能性がある限りは、製品に警告を行うことが要求されます。したがって、原料や構成部品の製造者であっても、販売方法や使用方法を考慮したうえで、化学物質がどのような対象者にばく露するのかを想定し、それぞれに応じた警告表示の必要性を検討することが重要です。

1)https://oehha.ca.gov/media/downloads/crnr/art6regtextclean090116.pdf
2)https://oehha.ca.gov/media/downloads/proposition-65/general-info/regsart7.pdf
3)https://oehha.ca.gov/media/downloads/proposition-65/general-info/regsart8.pdf
4)https://oehha.ca.gov/proposition-65/general-info/proposition-65-plain-language

当解説は筆者の知見、認識に基づいてのものであり、特定の会社、公式機関の見解等を代弁するものではありません。法規制解釈のための参考情報です。 法規制の内容は各国の公式文書で確認し、弁護士等の法律専門家に判断によるなど最終的な判断は読者の責任で行ってください。

情報提供:一般法人 東京都中小企業診断士協会

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