ここが知りたいREACH規則

ここが知りたいREACH規則

EUの化学物質関連規則を統合するREACH規則について紹介

Q
2019年2月22日更新
Q.533 ナノコーティングがされた木製の食器をEUに輸出する予定です。輸出に際して何らかの規制があるか教えてください。

EUでは食品と接触する素材を「食品と接触することを意図する素材および製品に関する規則:Regulation(EC)No.1935/2004」1)で規制しています。同規則は、通常もしくは予想できる使用環境下では「人の健康を危険にさらす」「食品の組成に許容以上の変化をもたらす」「官能的な特性に劣化をもたらす」ような構成要素の食品への移行が生じないことを目的としており、使用可能な物質や表示方法などを定めています。

食器は「食品と接触することを意図する製品」であり、同規則の対象となるため、要求事項である「食品と接触することを意図する素材および製品のGMP(適正な製造の実践)に関する規則:Regulation(EC)No.2023/2006」2)も遵守したうえで適合宣言書を作成し、「食品接触用」などの特定用途を示す言葉や、指定されたマークを表示する必要があります。

ただし、食器の食品と接触する面は木材ではなくコーティング面となります。例えばプラスチックを使用する場合には「食品と接触することを意図するプラスチック素材および製品に関する規則:Regulation(EU)No 10/2011」3)が個別に規定されており、付属書Iに収載された物質しか使用できないほか、物質の移行に関するデータを含む適合宣言書の作成が必要です。

また、コーティング材では「食品と接触することを意図する素材および製品に関する特定のエポキシ誘導体の使用制限:Regulation(EC)No 1895/2005」4)でビスフェノールAジグリシジルエーテル(BADGE)など特定の物質に移行限度などが定められています。コーティングを行う物質ごとに確認が必要です。

今回の製品は「木製」であるとのことです。木材には違法伐採木材の市場からの排除を目的とした「木材規則:REGULATION(EU)No 995/2010」5)があります。付属書では対象となる製品として「樽、おけ、それらに類する容器」もあげられています。一義的には食器ではありませんが、念のために確認が必要です。

なお、REACH規則においては質問の食器は成形品となり、コーティング材がCL物質を重量比0.1%以上含有する場合には、届出と情報伝達の義務があります。成形品での考え方には「成形品に含まれる物質に関する要求事項についてのガイダンス第4版」6)を参照ください。

1)https://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/TXT/PDF/?uri=CELEX:32004R1935&from=SL
2)https://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/TXT/PDF/?uri=CELEX:32006R2023&from=EN
3)https://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/TXT/HTML/?uri=CELEX:32011R0010&from=EN
4)https://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/TXT/HTML/?uri=CELEX:32005R1895&from=EN
5)https://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/TXT/PDF/?uri=CELEX:32010R0995&from=EN
6)https://echa.europa.eu/documents/10162/23036412/articles_en.pdf

当解説は筆者の知見、認識に基づいてのものであり、特定の会社、公式機関の見解等を代弁するものではありません。法規制解釈のための参考情報です。 法規制の内容は各国の公式文書で確認し、弁護士等の法律専門家に判断によるなど最終的な判断は読者の責任で行ってください。

情報提供:一般法人 東京都中小企業診断士協会

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