ここが知りたいREACH規則

ここが知りたいREACH規則

EUの化学物質関連規則を統合するREACH規則について紹介

Q
2019年1月18日更新
Q.530 スイスの化学物質に関する規則について教えてください。スイスはEUに加盟しておらず、独自の「化学品法」およびそれに基づく「化学品政令」がありますが、EUの法規であるREACH規則との共通点・相違点はどのようになっていますか。

スイスは欧州連合(EU)に非加盟であるため、EUのREACH規則は適用されません。しかし、スイス独自の「化学品法」1)およびその下位規定である「化学品政令」2)が、EUの規則に調和させる内容になっています。
 特に化学品政令は、REACH規則の要求する暴露シナリオの作成や安全性データシート(SDS)の作成義務、新物質の通知と伝達など、さらにCLP規則の要求する物質の分類や表示、包装に関わる内容も含んでおり、物質の登録に関する手続きを除きほぼ一致しています。
 特定物質の制限に関しては「化学物質リスク軽減条例」3)が対応しており、具体的に禁止物質を規定しています。中でも発がん性、変異原性、生殖毒性物質に関してはREACH規則を参照しています(附属書1.10)。

1.化学品法の基本要求

化学品法では、自主規制として物質または調剤を市場に出す製造業者は、生命または健康を危険に曝さないようにする責任を負うものとしています。製造業者は下記の義務があります。

  • (1)物質と調剤をそれらの特性に従って評価し、分類する。
  • (2)危険の種類に従ってそれらを包装し、ラベルを貼る。

またスイス連邦評議会は、上記自主規制の性質、範囲および見直しに関する規制を発令する役割を担っています(第5条)。
 新物質の届出は、スイス連邦当局(評価当局)に対して行います。ここで新物質と既存物質は、下記のように定義されます(第9条および第4条)。

  • 物質がスイス連邦評議会によって既知と指定されているものは、既存物質であるとする。
  • その他のすべての物質を、新物質とする。

ただし、殺菌製品並びに植物保護製品は除外されます。それらに指定されるためには、人間の健康や農場または家畜の健康に容認できないほどの悪影響を及ぼさないことを示さなくてはなりません(第10条及び第11条)。
 加えて、化学品法ではリスクアセスメントを目的に、下記の物質については追加の情報提供や、追加試験を要求することがあります(第16条)。

  • (1)第9条の定義する新物質
  • (2)第10条および第11条の定義する強制的に承認される物質および調剤
  • (3)見直し審査中の既存物質

危険のある物質や調剤を市場に出す際には、製造業者は下記の情報を通知しなければなりません(第18条)。

  • (1)製造元の名前と住所
  • (2)製品の素性に関する詳細
  • (3)分類とラベリング
  • (4)分類上関係している物質
2.化学品政令の概要

化学品法第5条の自主規制による製造業者の責任に従い、物質と調剤を分類、包装し、暴露シナリオを作成し、SDSを作成しなくてはなりません(第5条)。分類はCLP規則 の第5、7-13および第15条に従って、包装はCLP規則の第35条に従って、なされなくてはなりません(第6条および第8条)。
 REACH規則第14条第4項に指定された基準を満たし、年間10t以上の総量で第三者に供給されている既存の物質の製造者は、各物質についてばく露シナリオを作成しなければなりません(第16条)。
 製造業者は危険な物質に対してSDSを作成し、要求に応じて無料で提供する必要があります(第19条および第21条)。

1)化学品法(ChemA)
2)化学品政令(ChemO)
3)化学物質リスク軽減条例(ORRChem)

当解説は筆者の知見、認識に基づいてのものであり、特定の会社、公式機関の見解等を代弁するものではありません。法規制解釈のための参考情報です。 法規制の内容は各国の公式文書で確認し、弁護士等の法律専門家に判断によるなど最終的な判断は読者の責任で行ってください。

情報提供:一般法人 東京都中小企業診断士協会

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