ここが知りたいREACH規則

ここが知りたいREACH規則

EUの化学物質関連規則を統合するREACH規則について紹介

Q
2018年10月5日更新
Q.525 段ボール製の家具や玩具用整理箱を日本で生産しています。評判がよいのでEUやアメリカに輸出することを検討しています。留意すべき規制を教えてください。

段ボール製の家具や玩具用整理箱はともに消費者向け製品として規制されます。玩具用整理箱は製品仕様により、玩具また玩具並みの規制がされます。

1. EUに輸出する場合に留意する規制

(1)消費者向け製品規制
 貴社製品は一般消費者向け製品とみなされ、一般製品安全指令(Directive 2001/95/EC of the European Parliament and of the Council of 3 December 2001 on general product safety:GPSD)1)が適用されます。
 GPSDの要求は、生産者は安全な製品のみを流通させる義務があります。同指令では「安全な製造物」を「通常のまたは合理的に予見できる使用条件下で、その製造物を使用してもまったく危険がない、あるいはその使用と矛盾しない最小の危険しか与えない」と定義されています。
 安全基準は生産者が論理的に決めますが、CLP規則の分類で有害性物質を含有していると安全性の証明は厳しくなります。
 段ボールに装飾印刷した場合のインクや表面処理(コーティング)をした場合は、その化学品も考慮する必要があります。
 また、段ボールはリサイクル材を使うことが多いので、購入材料も管理対象とすることが求められます。

(2)バイオサイド規則
 家具に防腐や防虫処理などをするとバイオサイド規制(Biocidal Products Regulation(EU)No 528/2012:BPR)2)の対象となります。
 BPRは、承認された物質を承認された用途で使うことの認可を受けた者にしか利用できない制限をしています。
 安易に防腐、防虫等処理をしないことが肝要です。

(3)玩具規制
 おもちゃは玩具指令(DIRECTIVE 2009/48/EC3)が適用され、EU市場における玩具の生産、販売および管理に関連するすべての行為者に対して子どもの保護の責任を負わせています。
 玩具の定義は「14歳未満の年齢の子どもが遊びの中で使用するように設計されて、または意図した製品」となっています。玩具用整理箱は玩具定義に合致するかどうかは微妙なところです。
 玩具用整理箱は子どもが遊びの延長で使用すると思えますので、CEマーキング対象とするかどうかは微妙ですが、いずれにしても玩具指令の基準を満たしておくことが肝要です。
 玩具指令対象外製品であっても、子ども保護の観点でGPSDを考慮すると、玩具指令の基準を満たすことになります。
 玩具または玩具準拠製品は、玩具指令第10条に記載している一般的安全要求と附属書IIに記載している「物理的および機械的特性」「可燃性」「化学的特性」「電気的特性」「衛生」「放射性」の6つの必修安全要求をすべて満たしたことを的確なデータを用いて技術文書とEU適合宣言書を作成後、上市前に製品にCEマーキングする必要があります。
 化学物質に関しては、発がん性、変異原性、生殖毒性に分類される化学物質(CMR物質)の区分1A、区分1B、区分2が使用制限となります。また、アルミニウムなど17元素、19項目について、溶出量限度が規定されています。

2. アメリカに輸出する場合に留意する規制

(1)消費者製品安全改善法
 消費者製品改善法(Consumer Product Safety Improvement Act:CPSIA)4)は、消費者向け製品、乳幼児および12歳以下の子ども向けに企画された製品)を規制しています。製品の安全基準は品目ごとに定められていて、有害化学物質以外の要求事項もあります。
 上述したように玩具用整理箱は玩具と見做すかどうかが難しいところですが、玩具とした場合は下記の義務が課されることになります。

(a)第三者機関による鉛やフタル酸エステルが基準値以上含有していないかの検査および認証 (b)第三者機関発行の証明書の製品への貼付、および税関や国境警備局から要求された場合の証明書の提示 (c)国際標準化・規格設定機関の米国試験材料協会(American Society For Testing and Materials:ASTM)が発行する自主的安全基準(ASTM F963)の順守

(2)Prop65
 カリフォルニア州法で、消費者向け製品規制法としてProp65(プロポジション65)があります。
 Prop65は、製品を使用することでのばく露量を規制するもので、約1,000物質が特定されています。ばく露制限ですが、まずは対象物質を含有させないようにすることが肝要です。
 Prop65については、コラム「カリフォルニア州“プロポジション65(Prop65)”について」を参照ください。

1)https://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/TXT/HTML/?uri=CELEX:32001L0095&from=EN
2)https://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/TXT/HTML/?uri=CELEX:32012R0528&from=EN
3)https://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/TXT/HTML/?uri=CELEX:32009L0048&from=lt
4)https://www.cpsc.gov/s3fs-public/cpsia.pdf

当解説は筆者の知見、認識に基づいてのものであり、特定の会社、公式機関の見解等を代弁するものではありません。法規制解釈のための参考情報です。 法規制の内容は各国の公式文書で確認し、弁護士等の法律専門家に判断によるなど最終的な判断は読者の責任で行ってください。

情報提供:一般法人 東京都中小企業診断士協会

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