ここが知りたいREACH規則

ここが知りたいREACH規則

EUの化学物質関連規則を統合するREACH規則について紹介

Q
2018年8月24日更新
Q.522 EUの殺生物性製品規則 BPRについて教えてください。当社は混合物メーカーで、表面処理剤を製造しています。購入している原材料の中に、腐敗を防ぐために殺菌剤が0.01%入っています。当社製品は顧客が200℃の炉の中で使用しますが、この殺菌剤は200℃では分解することが分かっています。BPRは適用されるのでしょうか。

EUの殺生物性製品規則(BPR:Biocidal Product Regulation、Regulation EU No. 528/2012)とは、欧州議会・理事会規則で、人の健康と環境の保護のために、殺生物性の活性物質(Active Substance)、殺生物性製品(Biocidal Product)の上市や殺生物性製品で処理された成形品(treated articles)などに関して規定しています。
 ご質問の表面処理剤がBPRの適用を受けるか否かを、2つのケースに分けて説明します。

1. 貴社が製造する表面処理剤そのものをEU域内に輸出する場合

BPRの適用を受けるかの判断方法に関しては、EU委員会から発行されたガイダンス「NOTE FOR GUIDANCE」1)の中でフローチャートを用いて説明されています。
 そのフローチャートに貴社の表面処理剤を当てはめますと、
 (1)その混合物は殺菌機能をもつものか?
 (Yes)の場合は殺生物性製品となりBPRの適用を受けますが、貴社の表面処理剤そのものは殺菌機能を有しないと思われるため(No)とします。(No)の場合は(2)に進みます。
 (2)その混合物は1つ以上の殺生物性製品を使用して、処理または意図的に組み込まれているか?
 貴社の表面処理剤に防腐目的で意図的に殺菌剤を添加している場合には、(Yes)となり、その場合には「処理された成形品」に該当するとされBPRが適用されます。フローチャートではその例として、「防腐剤を含む塗料などの混合物」があげられています。
 しかし、貴社が原材料に含まれているものを混合しただけで、処理も意図的に組み込むこともしていない場合には、「殺生物性製品」にも、「処理された成形品」にも該当しないとされていますので、BPRは適用されないと思われます。

なお、ガイダンスでは、該当物質の含有量による適用範囲に触れています。それによると、「REACH規則においては、成形品の重量比0.1%以上を構成する特定された『高懸念物質』の存在は、サプライチェーン下流への情報伝達義務の下限閾値となっている(REACH規則第33条)。しかし、BPRにおいては0.1%の下限閾値を使うための何らの指示もない。処理された成形品に関連するBPRは、承認されていない活性物質が欧州市場に絶対に存在しないことを確実にすることであり、処理された成形品に関連する物質の濃度はこの目的に無関係である」とされています。
 そのため、ご質問のように殺菌剤の含有量が0.01%と微量であったとしても、BPRの対象になる場合があります。

2. 顧客が貴社の表面処理剤を成形品にして輸出する場合

一方、貴社の表面処理剤を使用した製品をEU域内に輸出する顧客の製品(RECAHにおける成形品)は考え方が違ってきます。
 輸出されるのはあくまで顧客製品(成形品)となるため、その顧客製品が「1つ以上の殺生物性製品を使用して、処理または意図的に組み込まれているか?」が判断の基準となります。仮に貴社の表面処理剤が殺生物性製品であり、それによる処理または意図的に組み込まれている場合には、顧客製品は処理された成形品等に該当し、BPRの対象になるものと考えます。
 なお、BPR第51条1項に基づき、ガイダンスでは、「残留物が残ることが予測されないような条件で輸送や保管のためのコンテナや容器等の燻蒸または消毒等は適用除外となり、この規定は、第三国から輸入された製品にも該当される。ただし、それらの処理から残留物が残留することを予期されうるかどうかを確認するのは輸入者の責任である」とされています。
 したがって、貴社の表面処理剤が殺生物性製品でなければ、貴社製品に起因して顧客製品がBPRの対象となることはないものと考えます。また、ご質問の作業条件(200℃で加熱)で含有する殺菌剤が分解され残留物が残っていないのであれば、BPRには該当しないと思われます。
 すなわち、貴社の表面処理剤を使用する顧客が提供する製品はBPRの適用を受けないと思われます。

1)NOTE FOR GUIDANCE

当解説は筆者の知見、認識に基づいてのものであり、特定の会社、公式機関の見解等を代弁するものではありません。法規制解釈のための参考情報です。 法規制の内容は各国の公式文書で確認し、弁護士等の法律専門家に判断によるなど最終的な判断は読者の責任で行ってください。

情報提供:一般法人 東京都中小企業診断士協会

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