ここが知りたいREACH規則

ここが知りたいREACH規則

EUの化学物質関連規則を統合するREACH規則について紹介

Q
2017年12月8日更新
Q.513 ビスフェノールAはEU玩具指令では溶出量で制限されています。また、REACH規則では認可対象候補物質にリスト(CLS)されていますが、これらの規制の閾値について教えてください。

ビスフェノールAは、ポリカーボネート・エポキシ樹脂などプラスチックの原料、可塑性ポリエステル、酸化防止剤、塩化ビニル安定剤などに用いられています。ビスフェノールAの危険有害性は、CLP規則では次のように分類されています。

  • 3.3 眼に対する重篤な損傷/眼刺激性 カテゴリー1
  • 3.4 皮膚感作性 カテゴリー1
  • 3.7 生殖毒性 カテゴリー1B
  • 3.8 特定標的臓器毒性(単回ばく露) カテゴリー3

EU玩具指令ではそれらの健康に対するリスクを考慮し、現在は定められた試験法(EN 71-10:2005、EN 71-11:2005)において溶出量が0.1mg/lと制限されています。しかし、新たなデータで耐容一日摂取量(TDI:生涯にわたって毎日摂取しても、健康に悪影響がでないと推定される1日当たりの摂取量)が4μg/体重1kg/1日であるとされたことから溶出量は0.04mg/lと変更され、2018年11月から適用されます。
 REACH規則では、第16次(生殖毒性:2017年1月)および第17次(人体への内分泌かく乱作用:2017年7月)でCLS(candidate list substance:candidate listに収載されたSVHC)に特定されました。CLSを含有する成形品に対する規制の閾値は、溶出量ではなく成形品に対する重量比率となっています。具体的には、成形品中に0.1wt%を超えて存在する場合には当該成形品を安全に使用するために必要な情報を川下事業者に伝達する義務があります(第33条)。また、年間1トンを超えて製造、輸入される場合には、ECHA(欧州化学品庁)への届出が必要です(第7条2)。これらは第18次提案であらたな有害性(環境への内分泌かく乱作用)が特定されたとしても、規制の閾値は変わることはありません。詳しくは、12月1日付コラム「ビスフェノールA(BPA)の規制動向」をご参照ください。
 なお、ここで注意をする必要があるのは成形品をどのように考えるのかという点です。すなわち複合成形品(複数の部品で構成される製品)の場合、重量比の分母をその製品全体とするのか、各部品とするのか、という問題です。ECHAでは「成形品に含まれる物質に関する要求事項についてのガイダンス」を通じてその解釈を示し、2011年の第2版までは「成形品全体」としていました。しかし欧州司法裁判所の裁定を経て、最新の第4版(2017年6月)では複合成形品では構成部品が成形品に該当することとしています。付属書5「成形品に含まれる物質に関する要求事項に適合するヒント」では例として実装されたプリント基板を取り上げるなどさまざまな例があげられています。(ECHA:Guidance on REACH)
 また、2016年12月の付属書XVII改正によって、ビスフェノールAを0.02wt%以上含有する感熱紙の上市が2020年1月2日から制限(禁止)されることとなっています。ひきつづき今後の動向に注意が必要であると考えます。

当解説は筆者の知見、認識に基づいてのものであり、特定の会社、公式機関の見解等を代弁するものではありません。法規制解釈のための参考情報です。 法規制の内容は各国の公式文書で確認し、弁護士等の法律専門家に判断によるなど最終的な判断は読者の責任で行ってください。

情報提供:一般法人 東京都中小企業診断士協会

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