ここが知りたいREACH規則

ここが知りたいREACH規則

EUの化学物質関連規則を統合するREACH規則について紹介

2019.02.22

第20次SVHCとして6物質の追加

ECHAは、2019年1月15日のECHA News においてECHAが2018年9月4日に認可候補物質として提案していました6物質中のうちの5物質と、2018年12月18日にEU官報で公表されていた1物質と合わせて6物質を、第20次SVHC(以降、認可対象物質としてリストに収載された物質を「CL物質」と記載します)として追加しました1)
 今回の6物質の追加により、第19次までの191物質と合わせて、CL物質は197物質となっています。

追加された6物質を下表に示します。

  物質名
(英名)
物質名
(和名)
CAS番号 用途例 収載根拠 提案国
1 2,2-bis(4'-hydroxyphenyl)-4 methylpentane 2,2‐ビス(4'‐ヒドロキシフェニル)‐4‐メチルペンタン 6807-17-6 REACH規則に基づく有効な登録がない 生殖毒性
(第57条(c))
スウェーデン
2 Benzo[K]fluoprantheeene ベンゾ[K]フルオランテン 207-08-9 REACH規則に基づく登録が実施されていない 発がん性(第57条(a))
PBT(第57条(d))
vPvB(第57条(e))
ベルギー
3 Fluoranthere フルオランテン 206-44-0
93951-69-0
REACH規則に基づく登録が実施されていない PBT(第57条(d))
vPvB(第57条(e))
ベルギー
4 Phenanthrene フェナントレン 85-01-8 REACH規則に基づく登録が実施されていない vPvB(第57条(e)) フランス
5 Pyrene ピレン 129-00-0
1718-52-1
ファインケミカル製造のための輸送中間体 PBT(第57条(d))
vPvB(第57条(e))
フランス
6 1,7,7-trimethyl-3-(phenylmethylene)bicycle[2,2,1]heptan-2-ono(3-benzyylidene canphor; 3-bc) 1,7,7-トリメチル-3-(フェニルメチレン)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-オン(3-ベンジリデンカンファー;3-bc) 15872-24-8 REACH規則に基づく登録が実施されていない 内分泌かく乱物質(環境影響)第57条(f)  

なお、ECHAは2018年9月4日から10月19日まで、今回CL物質として追加された上表の1~5までの物質およびUndecafluorohexanoic acid and its salt(ウンデカフロオロオキサン酸およびその塩)の6物質を認可候補物質2)として意見募集を行っていました。
 しかし、Undecafluorohexanoic acid and its salt については、提案国であるドイツが2018年12月に撤回したため、今回のSVHCリストから除外されています。

また、上表のCL物質に追加された6物質の6項番目の3-ベンジリデンカンファー(1,7,7-trimethyl-3-(phenylmethylene)bicycle[2,2,1]heptan-2-ono(3-benzyylidene canphor; 3-bc))は、2016年に加盟国委員会(MSC)において全会一致で可決されず、SVHC候補物質から外されていましたが、欧州委員会は当該物質のCL物質への追加をWTOに通報3)後、2018年12月に欧州委員会がCL物質への追加を決定していた物質4)です。

今回の上表の2項~4項までの4物質はPAH(多環芳香族炭化水素物質)です。
 多環芳香族炭化水素は、ベンゼン環を2個以上もつ化学物質の総称で、急性毒性が強く、強い発がん性があることも知られています。主に、タール、原油、石油に含まれて、ゴム、可塑剤、プラスチックの着色顔料として使用されています。

その中のベンゾ[K]フルオランテン(CAS 207-08-0)は、すでにREACH規則の附属書XVII(制限)のエントリー505)に収載されている物質です。

エントリー50におけるPAHsの制限内容は以下のとおりです。

  • (1)2010年1月1日からは、エキステンダー油は以下のものを含有する場合、上市してはならない。また、タイヤおよびタイヤ部品に使用してはならない。
     - 1mg/kg以上のベンゾ[a]ピレン(BaP)
     または
     - 10mg/kg以上のリスト掲載のすべてのPAHsの合計
  • (2)2010年1月1日以降、前項(1項)に適合しないタイヤおよび再生トレッド(滑り止め)を上市してはならない。
  • (3)リストにあるPAHsを1mg/kg(0.0001wt%)以上含有し、通常または合理的に予見可能な条件で、直接皮膚や口腔に長期または短期反復接触するゴム、プラスチック部分を含む成形品を一般大衆向けに上市してはならない(2015年12月27日以降)。
  • (4)リストにあるPAHsを0.5mg/kg(0.00005wt%)以上含有し、通常や十分に予想できる使用条件で直接皮膚や口腔に長期または短期反復接触するゴム、プラスチック部分を含む玩具(運動、育児用を含む)を上市してはならない(2015年12月27日以降)。
  • (5)欧州委員会は、2017年12月27日までに、上記3項、4項の制限値は新たな科学情報に基づき、適切であれば代替原材料などへの修正などについてレビューしなければならない。

また、追加されている6物質中、ピレン(CAS 129-00-0、1718-52-1)を除く5物質はREACH規則の登録がされていない物質です。

(瀧山 森雄)

参考資料
1)http://echa.europa.eu/-/six-new-substances-added-to-the-candidate-list
2)https://echa.europa.eu/substances-of-very-high-concern-identification
3)http://ec.europa.eu/growth/tools-databases/tbt/en/search/?tbtaction=search.detail&Country_id=EU&num=537&dspLang=EN&basdatedeb=&basdatefin=&baspays=HUN&basnotifnum=30&basnotifnum2=&bastypepays=&baskeywords=&CFID=415478&CFTOKEN=d9d859ea583fbede-2CF15299-D832-3F61-4976ED1C0E220567
4)https://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/TXT/PDF/?uri=CELEX:32018D2013&qid=1546072897325&from=EN
5)https://echa.europa.eu/documents/10162/176064a8-0896-4124-87e1-75cdf2008d59

当解説は筆者の知見、認識に基づいてのものであり、特定の会社、公式機関の見解等を代弁するものではありません。法規制解釈のための参考情報です。 法規制の内容は各国の公式文書で確認し、弁護士等の法律専門家に判断によるなど最終的な判断は読者の責任で行ってください。

情報提供:一般法人 東京都中小企業診断士協会

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