ここが知りたいREACH規則

ここが知りたいREACH規則

EUの化学物質関連規則を統合するREACH規則について紹介

2018.07.20

REACHに関わる最近の情報から-第19次CL物質について-

2018年6月27日に、認可対象物質候補物質リスト(CL)に10物質が追加され、公表されました1)。今回CLに収載されました物質(以下、CL物質)を表1に示します。この結果、CL物質は合計191物質になりました。

表1:新たに収載されたCL物質
# 物質名 CAS番号 収載理由 用途例
1 オクタメチルシクロ
テトラシロキサン(D4)
556-67-2 PBT
vPvB
洗濯・洗浄製品、艶出し剤、ワックス、化粧品、パーソナルケア製品
2 デカメチルシクロペンタシロキサン(D5) 541-02-6 PBT
vPvB
洗濯・洗浄製品、艶出し剤、ワックス、化粧品、パーソナルケア製品、繊維処理製品、染料
3 ドデカメチルシクロヘキサシロキサン(D6) 540-97-6 PBT
vPvB
洗濯・洗浄製品、艶出し剤、ワックス、化粧品、パーソナルケア製品
4 7439-92-1 生殖毒性 合金、溶接・はんだ材、金属表面処理、ポリマー
5 八ホウ酸二ナトリウム 12008-41-2 生殖毒性 凍結防止剤、伝熱流体、潤滑油・グリース、洗濯・洗浄製品
6 ベンゾ[ghi]ペリレン 191-24-2 PBT
vPvB
REACH未登録。製造はされていないが、ほかの物質に不純物として含有
7 水素化テルフェニル 61788-32-7 vPvB プラスチック添加剤、溶剤、塗料・インキ、接着剤、シーラント、伝熱流体
8 エチレンジアミン(EDA) 107-15-3 呼吸器感作性 接着剤、シーラント、コーティング製品、フィラー、パテ、プラスター、粘土、pH調整剤、水処理製品
9 1,2,4-ベンゼントリカルボン酸1、2-無水物(無水トリメリット酸)(TMA) 552-30-7 呼吸器感作性 エステル原料、ポリマー原料
10 フタル酸ジシクロヘキシル(DCHP) 84-61-7 生殖毒性
内分泌攪乱性
プラスチック可塑剤、有機過酸化物の分散剤

#1~8の物質は、2018年3月8日に提案が公表され、4月23日まで意見募集が行われましたが、提案された物質がすべてCLに収載されました。
 #92)および#103)につきましては、ECHAの加盟国委員会ではCL収載について全員の合意が得られず、2017年10月4日にECHAから欧州委員会へ提案内容や委員会の意見などの報告が送付されました。欧州委員会では、その内容が検討され、これまでCL物質と同等の懸念のある物質として認定され、CLに収載されました。この手順については、2017年7月28日のコラムを参照ください。

#4の鉛はRoHS指令などで含有が制限されています。RoHS指令では、鉛0.1%以上の含有を許容している適用除外用途がありますが、これらの適用除外用途に使用していた場合には届出義務には注意が必要な場合があります。
 製品にCL物質を0.1%含有し、その総量が年間1t以上の場合は、届出の義務があります。ただし、この義務はその物質がその用途が登録されていない場合にだけ生じます。すでにその用途で登録されていれば、届出の義務はありません。鉛を含有する部品やそれを使用した製品をEUに輸出している場合は、よほど特殊な使用でない限り用途情報に含まれていると思いますが、鉛の登録情報を確認し、自社の用途が登録情報に含まれていることを確認しておかれるのがよいと思います。

REACH規則の物質の登録情報は、ECHAの下記のURLのサイトで物質の特定情報、例えばCAS番号を入力することにより、登録情報を閲覧することができます。

ECHAの登録物質のデータ閲覧サイト:
https://echa.europa.eu/information-on-chemicals/registered-substances

鉛を検索しますと、下記の画面が表示されます。

この表の右欄の は‘View substance registered dossier’を意味します。

ここをクリックしますと、下記の鉛の登録情報が表示されます。(部分表示です)。

この画面は、左端の上から三段目の‘Manufacture, use & exposure’をクリック、さらに左から2列目の‘Life Cycle description’をクリックした場合の表示画面です。
 自社の用途が登録されているかの確認は、この表示の‘Life Cycle description’の中の各項目を閲覧することにより確認することになります。成形品での使用については‘-Uses at industrial sites’の項目から確認するのがよいように思います。

将来、附属書XIVに収載され認可対象になった場合、日本で鉛を使用する場合は認可の制度は適用されません。ただし、REACH規則の附属書XVIIやRoHS指令等ほかの法規制で製品への含有が制限されていますので、当然、法規制の順守には注意が必要です。

他方、CL物質を0.1%以上含有する成形品については、安全に取扱うための情報伝達が必要です。
 WEEE指令では、電気電子機器を構成する部品、材料に含有される有害物質やその混合物の種類やどこに使われているかの情報を提供することが求められています。したがって、RoHS指令で適用除外の部品に鉛を使用している場合は、その対応はしておられると思いますが、鉛がCL物質に収載されましたので、併せて、REACH規則で求められる情報伝達も必要になりますので、注意してください。

参考資料
1)https://echa.europa.eu/-/ten-new-substances-added-to-the-candidate-list
2)https://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/TXT/HTML/?uri=CELEX:32018D0594&from=EN
3)https://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/TXT/PDF/?uri=CELEX:32018D0636&from=EN

(林 譲)

当解説は筆者の知見、認識に基づいてのものであり、特定の会社、公式機関の見解等を代弁するものではありません。法規制解釈のための参考情報です。 法規制の内容は各国の公式文書で確認し、弁護士等の法律専門家に判断によるなど最終的な判断は読者の責任で行ってください。

情報提供:一般法人 東京都中小企業診断士協会

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