ここが知りたいREACH規則

ここが知りたいREACH規則

EUの化学物質関連規則を統合するREACH規則について紹介

2018.05.25

SVHCロードマップの年次報告から

REACH規則の施行以降、人の健康や環境への影響が懸念される物質(Substance of Very High Concern;SVHC)の規制の検討が進められています。今年のSVHCのロードマップの年次報告書が公表されました1)。この報告には2008年以降の規制された物質の分析が整理してまとめられています。今回はその概要をご紹介します。

1. 規制検討の進め方

懸念のある物質の規制の検討は、図1に示すとおり、REACH登録書類やCLP規則の分類インベントリなど利用可能なデータベースの情報を体系的にスクリーニングし、統合的規制戦略に基づく、懸念物質の精査が進められています。

図1 懸念物質の規制検討の手順

図1 懸念物質の規制検討の手順

2008年から2017年までに、検討された物質をCMR、内分泌かく乱性(ED)およびPBT/vPvBのいずれの有害性であるかを分類して、その精査の検討段階で整理された結果を表1に示します。なお、物質が一つ以上の有害性である場合は、それぞれにカウントされているため、物質の合計数は個別の有害性の物質数とは合っていません。規制済みは、認可対象候補としてリストされた物質(CL物質)や制限物質などです。

表1:検討された物質のまとめ
  合計 CMR 内分泌かく乱性 PBT/vPvB
物質数 1,699 1,146 377 250




規制済み 262(15%) 158(14%) 99(26%) 46(18%)
精査中 427(25%) 352(31%) 40(11%) 49(20%)
評価により当面優先にせず 127(8%) 37(3%) 16(4%) 80(32%)
低ばく露により当面優先にせず 870(51%) 599(52%) 209(59%) 62(25%)
精査が必要 13(1%) 0 0 13(5%)
2. 認可対象候補物質(CL物質)の決定推移

表2には、認可対象候補のリストに収載された物質(認可対象候補物質;CL物質)を、表1と同じく、物質の有害性に着目してカウントした2008年からの2018年間の推移を示します。

表2:CL物質の有害性ごとの決定推移
  2008年 2009年 2010年 2011年 2012年 2013年 2014年 2015年 2016年 2017年 2018年 合計
決定 15 13 16 27 67 13 10 7 1 5 7 181
収載 15 0 29 27 67 13 10 7 1 5 7 181
CMR 10 13 16 26 57 13 8 4 1 5 5 154
PBT/vPvB 5 6 0 0 5 2 2 4 1 4 1 30
内分泌攪乱性 3 1 0 1 2 1 0 0 0 1 1 10
特定標的臓器
(反復ばく露)
0 0 0 0 0 3 3 0 0 3 0 9
呼吸器感作性 0 0 0 0 3 0 0 0 0 0 0 3

2011年、2012年は、そのほかの年よりCL物質の決定・収載数が多くなっています。2015年以降のCL物質の決定・収載数は10物質以下で推移しています。また、現在収載されている181物質の有害性に従って分類した結果を表3に示します。

表3:認可対象候補物質(CL物質) のそれぞれが保有する有害性による分類
有害性 物質数
CMR 131
CMR+内分泌かく乱性 1
CMR+PBT/vPvB 13
CMR+特定標的臓器(反復ばく露) 9
内分泌かく乱性 7
PBT/vPvB 17
呼吸器感作性 3
合計 181

表2、表3から分かりますように、CL物質として収載された物質の有害性はCMRが最も多く、次いでPBT/vPvBが多くなっています。

 今後のスクリーニングは、有害性の証拠がある物質と類似した構造の物質をグループ化して評価する方向にシフトするとしています。これにより、スクリーニングを効率的に実施するとともに、類似物質の規制措置の一貫性が保たれ、類似の非常に懸念される物質(SVHC)への好ましくない代替を避けることができるとされています。

3. 認可対象物質(附属書XIV収載物質)の状況

表4、表5には、2008年から2017年までに附属書XIVへの収載を勧告された物質、および、附属書に収載された物質を有害性に従って分類した結果を示します。これにおいても、CMR物質が最も多くなっています。

表4:附属書XIV収載を勧告された物質数
物質の有害性 物質数
CMR 59
CMR+PBT/vPvB 2
PBT/vPvB 3
内分泌かく乱性 2
呼吸器感作性 1
合計 67
表5:附属書XIVに収載済みの物質数
物質の有害性 物質数
CMR 37
CMR+PBT/vPvB 2
PBT/vPvB 2
内分泌かく乱性 2
合計 43
4. 制限の検討状況

表6に、2009年から2017年までに附属書XVII収載(制限)が検討された物質を示します。この検討においてもCMR物質が最も多くなっています。

表6:附属書XVII収載(制限)の状況
  CMR PBT/vPvB 内分泌かく乱性 感作性 その他
附属書VII収載済み 7 3 1 2 1
制限検討中 3 1 0 1 0
欧州委員会送付済みだが附属書XVII未収載 2 0 0 0 2
合計 12 4 1 3 3
5. CLP規則の調和された分類

CLP規則では、CMRおよび呼吸器感作性の物質の分類と表示は調和されることになっています。2009年以降、調和された分類と表示(CLH)は逐次、提案・採択され、CLP規則の附属書VIの表3に順次収載されています。現時点で4,225物質が収載されています。なお、2018年12月1日からは24物質の調和された分類/表示が追加され、4,249物質となります2)

(林 譲)

1)https://echa.europa.eu/documents/10162/23668985/svhc_roadmap_annual_report.pdf/66b7cfc1-058f-88a2-bc31-ca190cd763fd
2)https://echa.europa.eu/information-on-chemicals/annex-vi-to-clp

当解説は筆者の知見、認識に基づいてのものであり、特定の会社、公式機関の見解等を代弁するものではありません。法規制解釈のための参考情報です。 法規制の内容は各国の公式文書で確認し、弁護士等の法律専門家に判断によるなど最終的な判断は読者の責任で行ってください。

情報提供:一般法人 東京都中小企業診断士協会

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