ここが知りたいREACH規則

ここが知りたいREACH規則

EUの化学物質関連規則を統合するREACH規則について紹介

2018.05.18

労働安全衛生法施行令 別表9への石綿収載について

平成24年に大阪の印刷所で発生した胆管がんによる死亡事故の発生を契機に、化学物質を取り扱う職場の労働者が化学物質の危険性や有害性を原因とする健康障害を防止するため労働安全衛生法(以降「安衛法」という)が改正され、平成28年6月1日から全面的に施行されています。
 当該、改正安衛法による労働者の健康障害防止の主な施策は下記の(1)~(3)で、(2)と(3)が新たに事業者の義務となっています。

(1)危険有害な化学物質を労働安全衛生法施行令(以降「施行令」という)で特定
 平成28年6月1日時点で施行令の別表第3第一類物質および別表第9に収載の合計640物質を労働者の危険有害防止化学物質として特定されました。
 その後、平成29年3月1日に別表第9に23物質群を追加し現在は663物質が特定されています。
 特定された物質を含有する混合物について、SDS交付およびラベル表示に際し、考慮すべき危険有害化学物質の含有量として裾切値が新たに設定されました。

(2)上記663物質の譲渡、提供時に当該物質・混合物の容器・包装へのラベル表示およびSDS交付が事業者の義務となりました(ただし、SDS交付義務は改正前からです)。

(3)663物質および当該物質を裾切値以上含有している混合物の製造、取り扱いに関し、事業者に対してリスクアセスメントの実施を義務化しました。

平成30年4月6日に「労働安全衛生法施行令の一部を改正する政令(政令第156号)1)」(以降「改正施行令」という)が公布され、平成30年6月1日から施行となりました。同時に関係法令の規定に基づいて厚生労働省令第59号により「石綿障害予防規則等の一部を改正する省令2)」(以降「改正省令」という)が公布されています。

石綿は、安衛法第55条において労働者に重度の健康障害を生ずる物として施行令第16条で黄りんマッチ、ベンジジンおよびその塩、4-アミノフェニルおよびその塩などと並び製造、輸入、譲渡、提供または使用が禁止される有害8物質に指定されています。

今回の改正施行令で、石綿が施行令別表第9の政令番号39の2として以下のように特定されました。
 石綿(第16条第1項第4号イからハまでに掲げるもので同号省令で定めるものに限る。)

  • イ 石綿の分析のための試料の用に供される石綿
  • ロ 石綿の使用状況の調査に関する知識または技能の習得のための教育の用に供される石綿
  • ハ イまたはロに掲げる物の原料または材料として使用される石綿

上記の「第16条第1項第4号イからハまでに掲げるもので同号省令で定めるもの」とは、改正省令の第8章(製造等)において、以下に記載するように第46条の2が新設され、その条文において製造可能石綿(上記のイからハに該当する石綿)を製造し、輸入しまたは使用する場合にあらかじめ労働基準監督署長に届出すること、および製造可能石綿を譲渡し提供しようとする場合、粉じんの飛散を防止するため堅固な容器の使用または確実な包装を行うことが定められていることを言います。

改正省令において新設されています第46条の2を以下に掲出します。

省令第8章(製造等)
 (施行令第16条第1項第4号の省令で定めるもの等)
第46条の2 施行令第16条第1項第4号の厚生労働省令で定めるものは、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定めるものとする。

区分 各号に定められた内容
1 施行令第16条第1項第4号イからハまでに掲げる石綿またはこれらの石綿をその重量比の0.1%を超えて含有する製剤その他の物(以下この条において「製造等可能石綿等」という。)を製造し、輸入し、または使用する場合 あらかじめ労働基準監督署長に届けられたもの
2 製造等可能石綿等を譲渡し、または提供しようとする場合 製造等可能石綿等の粉じんが発散するおそれがないように、堅固な容器が使用され、または確実な包装がされたもの

2 前項第1号の規定による届出を使用とする者は、様式第3号の2による届書を、製造等可能石綿等を製造し、輸入し、または使用する場所を所管する労働義淳監督署長に提出しなければならない。

(製造の許可)
第48条の2 安衛法第56条第1項の許可は、石綿分析用試料等を製造するプラントごと行うものとする。

この政令は、安衛法の第14条(作業主任者)、第55条(製造等の禁止)、第56条第1項製造の許可)、第57条第1項(表示等)、第57条の2(文書の交付等)、第65条第1項(作業環境測定)、第66条第2項(健康診断)および第113条(経過措置)に基づき制定されています。

改正施行令(政令第156号「労働安全衛生施行令の一部を改正する政令」)の内容は以下とおりです。
 1. 安衛法第14条において労働災害を防止するために管理が必要な作業で、政令で定めるものについては作業主任者を選任し、当該作業の従事労働者の指揮その他厚生労働省令で定める事項を行わせることを定めています。
 安衛法第14条の政令で定める作業は、施行令第6条において第1号から第23号までの作業が規定され、今回の改正政令で第23号が下表の示すように改正されています。

■施行令第6条第23号の改正前と改正後
改正前 改正後
石綿もしくは石綿をその0.1%を超えて含有する製剤その他の物(以下「石綿等」という)を取り扱う作業(試験研究のため取り扱う作業を除く)または石綿等を試験研究のため製造する作業 石綿もしくは石綿をその0.1%を超えて含有する製剤その他の物(以下「石綿等」という)を取り扱う作業(試験研究のため取り扱う作業を除く)または石綿等を試験研究のため製造する作業 もしくは第16条第1項第4号イからハまでに掲げる石綿で同号の厚生労働省令で定めるものもしくはこれらの石綿をその重量の0.1%を超えて含有する製剤その他の物(以下「石綿分析用試料等」という)を製造する作業

2. 安衛法第55条(製造等の禁止)では、労働者に重度の健康障害を生ずるもので、政令で定めるものは製造、輸入、譲渡、提供または使用してはならないと規定しています。上述の政令で定めるものは施行令第16条に規定されています。今回の改正政令では第4号「石綿」が以下のように改正されています。

改正前 改正後
4 石綿 4 石綿(次に掲げる物で厚生労働省令で定めるものを除く。)
  • イ 石綿の分析のための試料の用に供される石綿
  • ロ 石綿の使用状況の調査に関する知識または技能の習得のための教育の用に供される石綿
  • ハ イまたはロに掲げる物の原料または材料として使用される石綿

3. 安衛法第56条(製造の許可)において、労働者に重度の健康障害を生ずるおそれのあるもので、政令に定めるものを製造、使用する者は厚生労働省令(以降「省令」という)の定めに従い、事前に厚生労働大臣の許可を得なければならないと規定されています。上記の政令で定めるものは施行令第17条において、別表第3第1号に掲げる第1類物質に規定されていますが、今回の改正で以下のように改正されました。

改正前 改正後
法第56条第1項の政令で定める物は、別表第3第1号に掲げる第一類物質とする。 法第56条第1項の政令で定める物は、別表第3第1号に掲げる第一類物質および石綿分析用試料等とする。

4. 安衛法65条第1項は、事業者に対して有害な業務を行う屋内作業場その他で、政令で定めるものについて、省令で定める場合には、作業環境測定を実施しその結果の記録保存を求めています。当該、政令で定める事業場は施行令第21条に1から10として定められています。今回の改正政令では7について下表のように改正されています。

改正前 改正後
7 別表第3第1号もしくは第2号に掲げる特定化学物質を製造し、もしくは取り扱う屋内作業場(途中略)、石綿等を取り扱い、もしくは試験研究のため製造する屋内作業場またはコークス炉上においてもしくはコークス炉に接してコークス製造作業を行う場合の当該作業場 7 別表第3第1号もしくは第2号に掲げる特定化学物質を製造し、もしくは取り扱う屋内作業場(途中略)、石綿等を取り扱い、もしくは試験研究のため製造する屋内作業場もしくは石綿分析用試料等を製造する屋内作業場またはコークス炉上においてもしくはコークス炉に接してコークス製造作業を行う場合の当該作業場

5. 安衛法第66条第2項の後段の政令で定める有害な業務は、施行令第22条に定められています。当該施行令第1項第3号が改正政令で以下に改正されています。

改正前 改正後
3 別表第3第1号もしくは第2号に掲げる特定物質(途中略)を製造し、もしくは取り扱う業務 (途中略)、第16条第1項各号に掲げる物(同項第4号に掲げる物および同項第9号に掲げる物で同項第4号に係るものを除く)を試験研究のため製造し、もしくは使用する業務または石綿等の取り扱いもしくは試験研究のための製造に伴い石綿の粉じんを発散する場所における業務 3 別表第3第1号もしくは第2号に掲げる特定物質(途中略)を製造し、もしくは取り扱う業務 (途中略)、第16条第1項各号に掲げる物(同項第4号に掲げる物および同項第9号に掲げる物で同項第4号に係るものを除く)を試験研究のため製造し、もしくは使用する業務または石綿等の取り扱いもしくは試験研究のための製造もしくは石綿分析用試料等の製造に伴い石綿の粉じんを発散する場所における業務

6. 施行令別表第9第39号の次に次の1号を追加しています。
「39の2 石綿(第16条第1項第4号イからハまでに掲げる物で同号の厚生労省令で定めるものに限る。)」
 附則においては以下が定められています。

  • (1)この政令の施行期日は、平成30年6月1日とする。
  • (2)罰則に関する経過措置として、この政令の施行前にした行為に対する罰則には改正前の政令の罰則が適用されること。
  • (3)労働安全衛生法施行令の一部を改正する政令(平成18年政令第257号)の一部を次のように改正する。
改正前 改正後
第2条 石綿または石綿をその重量の0.1%を超えて含有する製剤その他の物(途中略)であって、この政令の施行の日において現に使用されているもの(以下「既存石綿含有製品等」という)
以下略
1 略
2 略
3 前2号に掲げる物以外の石綿等 この政令の施行の日
第2条 石綿または石綿をその重量の0.1%を超えて含有する製剤その他の物(途中略)であって、この政令の施行の日において現に使用されているもの(労働安全法施行令第6条第23号に規定する石綿分析用試料等を除く。以下「既存石綿含有製品等」という。)
以下略
1 略
2 略
3 削除
2 前項第1号または第3号に掲げる石綿等のうち、当該各号に掲げる区分に応じ、当該各号に定める日前に製造され、または輸入された物であって、次に掲げるもの(以下「既存石綿分析用試料等」という)
以下略
2 前項第1号または第3号に掲げる石綿等のうち、当該各号に掲げる区分に応じ、当該各号に定める日前に製造され、または輸入された物であって、次に掲げるもの(労働安全法施行令第6条第23号に規定する石綿分析用試料等を除く。以下「既存石綿分析用試料等」という)
以下略

(瀧山 森雄)

1)http://wwwhourei.mhlw.go.jp/hourei/doc/hourei/H180406K0020.pdf
2)http://wwwhourei.mhlw.go.jp/hourei/doc/hourei/H180406K0010.pdf

当解説は筆者の知見、認識に基づいてのものであり、特定の会社、公式機関の見解等を代弁するものではありません。法規制解釈のための参考情報です。 法規制の内容は各国の公式文書で確認し、弁護士等の法律専門家に判断によるなど最終的な判断は読者の責任で行ってください。

情報提供:一般法人 東京都中小企業診断士協会

関連リンク