ここが知りたいREACH規則

ここが知りたいREACH規則

EUの化学物質関連規則を統合するREACH規則について紹介

2018.04.20

台湾の化学物質登録制度について

台湾には化学物質の登録制度として、毒性化学物質管理法に基づく「新化学物質および既存化学物質資料登録弁法」1)(環境保護署所管;以下EPA)と職業安全衛生法に基づく「新化学物質登記管理弁法」2)(労働部所管;以下MOL)とがあります。両弁法には、新規化学物質の登録に際して要求される情報や秘密保護期間などに関して相違する部分があります。このため、環境保護署は両弁法の整合を図るために「新化学物質および既存化学物質資料登録弁法」の修正を検討していました。

「新化学物質および既存化学物質資料登録弁法」の修正については、2017年9月22日付コラムで紹介しました。この修正に対する意見募集が行われましたが、この後に再度修正が行われ、改めて修正草案が2018年3月30日に官報で公告され、60日間の意見募集が行われています3)。今回の修正草案には、第2段階の登録対象とする既存化学物質として106物質が提案されています。
 今回の修正により、上記の新規化学物質の登録制度の相違点は解消されることになります。このコラムでは、今回の修正点を含めて、台湾の化学物質登録制度の概要を紹介します。

1. 登録者と登録情報の共同提出

登録申請者は台湾国内の製造者、輸入者に限られます。代理人を任命して登録の届出はできますが、EUのORとは異なり、代理人は登録事務の代行のみを行います。また、登録情報を共同で提出することができます。

2. 新規化学物質の登録について

台湾の既存化学物質目録(TCSI)に未収載の物質が新規化学物質です。収載の有無については、ウエブで確認することになります4)
 修正草案では、年間10t以上の新規化学物質の標準登録の提出情報を、MOLの「新化学物質登記管理弁法」の同じにするように、「新化学物質および既存化学物質資料登録弁法」の修正が行われています。

新規化学物質の登録の類型は下表の通りです。
 なお、CMRの新規化学物質は、トン数に関わらず標準登録が必要です。

登録類型 年間量
標準登録 1t以上
簡易登録 100kg以上、1t未満
少量登録 100kg未満

また、用途およびポリマーの種類により、下記の登録類型が適用されます。

年間量 用途、ポリマー
科学研究開発 PPORD On-site 中間体 ポリマー 低懸念ポリマー
1t未満 免除 少量登録 少量登録 少量登録 免除
1t以上10t未満 簡易登録 簡易登録 簡易登録 簡易登録 少量登録
10t以上 標準登録 標準登録 標準登録 標準登録

なお、低懸念ポリマーについては、事前に低懸念ポリマーの確認申請を行う必要があります。
 標準登録で提出が要求されている情報は、REACHなどの場合と同じく、トン数が増えるごとに増加します。台湾の場合は、年間1t~10tを1級として、年間1,000t以上を4級として、4段階に分けられています。2級の10t以上からは、REACHのCSRに相当する、有害性およびばく露評価のデータが必要になります。CMR区分1に分類される物質についてはトン数に関わらず、標準登録が必要になります。1t未満では、1級で要求される情報を、1t以上では2級の情報と、提出しなければ情報はトン数区分の一段階上の級の情報を提出する必要があります。
 なお、既存化学物質の提出情報は、新規化学物質に要求されている情報と同じです。簡易登録で提出する情報は下表の通りです。

情報項目内容
1 登録者および物質の基本情報
2 物質の製造・輸入、用途情報、ばく露情報
3 危険有害性情報、ラベル情報
4 安全取り扱い情報
5 物理化学的特性情報

少量登録での提出情報は下表の通りです。

内容項目
1 登録者および物質の基本情報
2 物質の製造・輸入、用途情報

現行法では、登録が認められると登録証が交付されますが、修正草案では登録番号の発行だけになります。
 登録には下表の有効期限が設けられています。

登録類型 有効期限
標準登録、低懸念ポリマーの少量登録 5年
簡易登録、少量登録 2年

なお、共同登録の場合の有効期限は、後で共同登録に参加した場合でも、最初の登録期限となります。また、有効期限は、終了の6ヵ月前から3ヵ月前までに申請することにより延長することができます。

下記の条件を満たす物質は既存化学物質目録(TCSI)に収載される規定になっています。

標準登録完了後5年経過した物質
少量登録完了後5年経過した低懸念ポリマー
中央主管機關が毒性化學物質として公告した物質

また、登録者が有効期限前に申請をすれば、既存化学物質目録(TCSI)へ収載することができるとされています。この場合、標準登録物質については、有害性評価、ばく露評価の情報を提出していることが必要です。

3. 既存化学物質の登録

年間100kg以上の物質は、第1段階の登録が必要です。
 2016年4月1日以降に初めて製造・輸入される既存化学物質が100kgになれば、6か月以内に登録が必要です。また、100kg未満であっても第1段階の登録をしてもよいことになっています。

第2段階登録は、4バッチに分けて登録対象物質を指定されることになっています。修正草案の附属書6に第1バッチの106物質が指定されました。登録期限は第1段階の登録日により下記のようになっています。なお、第2段階登録は第1段階の登録を行っていることが必要です。

  • (1)2018年12月31日までに第1段階登録完了の場合
    • 年間1~100t:2021年12月31日
    • 年間100t以上:2020年12月31日
  • (2)2019年以降に第1段階登録を行った場合
    • 年間1~100t:3年以内
    • 年間100t以上:2年以内
  • (3)第1段階登録済みで年1t未満で年間1t以上になった場合、
    • 1tになった翌年から3年以内
  • (4)第1段階登録がキャンセルされた場合、
    • 第1段階登録を再度行い、規定期限内
    • 第1段階再登録日が、規定登録期限日を過ぎている場合は、第1段階再登録と標準登録を同時に行う
4. CBIの保護期間と秘密保護ができる項目

CBIの保護期間も、新規化学物質の登録有効期間と同じ期間に修正され、MOLの「新化学物質登記管理弁法」の期間と一致させて、登録類型により下表のようになっています。

登録類型 保護期間
既存化学第1段階登録
標準登録
低懸念ポリマーの少量登録
5年
簡易登録、少量登録 2年

なお、保護期間は、終了の6ヵ月前から3ヵ月前までに申請すれば、延長が可能です。保護期間は、新規化学物質については最長15年、既存化学物質については最長10年です。CBIにできる項目は下表の通りです。

情報項目内容
1 登録者情報
2 物質特定情報
3 製造、輸入の情報
4 用途情報
5. 「新化学物質および既存化学物質資料登録弁法」の年間製造輸入量の報告制度の導入

2019年以降、登録された新規化学物質・既存化学物質について、前年の製造・輸入実績を4月1日から9月30日までに報告する制度が導入されます。すなわち、2018年から実績の集計が必要になります。

参考資料
1)https://oaout.epa.gov.tw/law/LawContent.aspx?id=GL005417
2)https://laws.mol.gov.tw/FLAW/FLAWDAT01.aspx?lsid=FL075600
3)http://gazette.nat.gov.tw/egFront/detail.do?metaid=97652&log=detailLog
4)https://tcscachemreg.epa.gov.tw/Epareg/content/login/NewsDetail.aspx?enc=D6998F7C5E0FD0B2

(林 譲)

当解説は筆者の知見、認識に基づいてのものであり、特定の会社、公式機関の見解等を代弁するものではありません。法規制解釈のための参考情報です。 法規制の内容は各国の公式文書で確認し、弁護士等の法律専門家に判断によるなど最終的な判断は読者の責任で行ってください。

情報提供:一般法人 東京都中小企業診断士協会

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