ここが知りたいREACH規則

ここが知りたいREACH規則

EUの化学物質関連規則を統合するREACH規則について紹介

2018.04.06

韓国・K-REACHが改正されました

2016年12月末に公表されました「化学物質の登録及び評価に関する法律(K-REACH)」の改正案が2018年2月28日に国会で可決され、3月20日に公布されました1)。今回のコラムでは、K-REACHの主な改正内容を紹介します。改正は2019年1月1日から施行されます。

1. 登録について

登録に関しては第10条で規定されていますが、下記のように改正されています。
 年間100kg以上の新規化学物質または年間1t以上の既存化学物質を製造・輸入する者(第4項第2号に該当する者を除く)は、製造または輸入の前に、環境部長官に登録しなければならない。
 現行法では、新規化学物質の登録義務については年間100kgの下限値はありませんが、今回の改正で100kg未満については登録の免除規定が設けられました。ただし、登録免除される100kg未満の場合でも届出は必要です。
 既存化学物質については、現行法で登録対象既存化学物質として指定されている510物質については、規定通り2018年6月30日までに登録する必要があります。改正法では、登録対象既存化学物質の指定は撤廃され、年間1t以上の既存化学物質について製造・輸入の前に登録の義務が課せられます。ただ、EU REACHと同じく、化学物質の有害性とトン数により、下記の登録猶予期限が設けられています。

  • 年間1t以上で発がん性、変異原性、生殖毒性の恐れがある物質として評価委員会の審議を経て、環境部長官により指定および告示される既存化学物質と年間1,000t以上の既存化学物質:2021年12月31日
  • 年間100t以上1,000t未満の既存化学物質:2024年12月31日
  • 年間1t以上100t未満の既存化学物質:2030年12月31日までの大統領令で定める日

この登録猶予期が日までに登録をせずに、製造・輸入するには、施行規則で定められる下記の事項の届出が必要です(EU REACHの予備登録に該当)。

  • 化学物質の名称
  • 年間製造量または輸入量
  • 化学物質の分類及び表示
  • 化学物質の用途
  • その他、施行規則で定める事項
2. 年間報告について

年間報告(第8条)の規定は廃止されます。したって、2018年の年間の製造・輸入実績の報告は不要です。ただし、2017年度の実績は2018年6月30日までに報告が必要です。

3. 「重点管理物質」の新設と製品に含有する場合の届出

「重点管理物質」は、改正法の第2条(定義)10項の2で新たに規定されています。
 「重点管理物質」:次の各目のいずれかに該当する化学物質の中で危険性があると懸念されて、第7条の規定による化学物質評価委員会の審議を経て、環境部長官が定め告示される物質。
 (イ)発がん性、変異原性、生殖毒性または内分泌攪乱性のおそれがある物質
 (ロ)人や動植物の体内に蓄積性が高く、環境中に長期間残留する物質。
 (ハ)人がばく露を受けた場合、肺、肝臓、腎臓などの臓器に損傷を引き起こす可能性がある物質
 (二)人や動植物に(イ)から(ハ)までの物質と同等のレベルまたはそれ以上の深刻な危害を与える可能性がある物質
 また、「製品」については、第2条15項の定義が下記のように下線部の語句が追加され、修正されています。
 「製品」:「消費者基本法」第2条1項に規定による消費者が使用する物品またまたはその部品や付属品として消費者に化学物質の暴露を誘発する可能性がある次の各目のものをいう。
 (イ)混合物からなる製品
 (ロ)化学物質が使用さ過程で流出されず、特定の固体の形で一定の機能を発揮する製品
 上記の「重点管理物質」を含有する「製品」について、第32条の規定は下記のように改正されています。

第32条(製品に含有された重点管理物質の届出)
 (1)重点管理物質を含有する製品を生産・輸入する者は、次の各項の要件に該当する場合には、施行規則で定めるところにより、当該製品に含有する重点管理物質の名称、含有量と有害性情報、露出情報、製品に含有する重点管理物質の用途を、生産・輸入する前に、環境部長官に届出しなければならない。

  • 製品1個あたりの個別の重点管理物質の含有量が0.1重量%を超える
  • 製品全体に含有する重点管理物質の物質別総量が年間1tを超える

(2)次の各号のいずれかに該当する場合には、第1項の規定による届出をせず、施行規則で定めるところにより、重点管理物質を含有する製品を生産・輸入することができる。

  • 製品を通常の方法で使用する場合、人間や環境への露出を遮断することができる化学物質
  • 製品の用途がすでに登録、届出された化学物質
  • 登録または届出を免除される化学物質(第11条で規定)

(3)環境部長官は、第1項の規定による届出の内容がこの法律に適合する場合届出を受理しなければならない。
 (4)第1項から第3項までに規定する事項のほか、製品に含有された重点管理物質の届出に必要な事項は施行規則で定める。

上記規定の成形品に関連する規定は、EU REACH規則のCL物質(Candidate List収載物質、いわゆるSVHC)の規定と同じと言えます。

4. 認可物質に関する規定の改正

第25条には、EU REACHの認可制度に該当する「認可物質」に関する規定があります。第2条7項の定義については、修正はありませんが、25条の製造・輸入・使用の認可の付与については下記の改正があります。

第25条(認可物質の指定)
 環境部長官は、重点管理物質とその他有害性審査とリスク評価の結果、リスクがあると懸念される化学物質について、関係中央行政機関の長との協議し、評価委員会の審議を経て、製造・輸入・使用前に、環境部長官の認可を受けなければならない認可物質として指定・告示することができる。この場合、環境部長官は、施行令で定める危害が低く認可を受けずに製造・輸入・使用することができる用途を一緒に指定・告示することができる。

現行法では、上記改正の下線部の「用途」は「期間」になっています。

5. 「罰則」規定条項の再編

現行法では、「罰則」に関しては、第8章の第49条から第54条に規定されていますが、第49条が削除・修正され、第17条の2、第17条の3に「課徴金の賦課」、「課徴金の徴収及び滞納処分等」が新設されています。
 第17条の2の内容は下記の通りです。

第17条の2(課徴金の賦課)
 化学物質を製造または輸入する者が次の各号のいずれかに該当する違反行為をした場合は、その化学物質を製造または輸入する者に対して、施行令の定めるところにより、売上高の100分の5以下に該当する金額を課徴金として賦課することができる。ただし、売上高がないか売上高の算定が困難な場合であって、施行令で定める場合には、10億ウォン以下の課徴金を賦課することができ、単一の事業所を保有している企業の場合には、売上高の1,000分の25を超えることができない。

  • 登録をせず、または登録した内容と異なって化学物質を製造または輸入した場合
  • 変更登録をしていないか、変更登録した内容と異なって化学物質を製造または輸入した場合

第1項の規定により課徴金を賦課する場合には、次の各号の事項を考慮する。

  • 違反行為の内容及び程度
  • 違反行為の期間と回数
  • 違反行為により取得した利益の規模

第1項各号のいずれかに該当する違反行為をした法人が合併をした場合、その法人が行った違反行為は、合併後存続するか、合併で設立された法人が行った行為とみなして課徴金を賦課することができる。

6. 「危害憂慮製品」に関わる条項の「生活の化学製品及び殺生物第安全管理に関する法律」への移管

現行法の第2条16項の「危害憂慮製品」、および、これに関連する第33条の条項は、新たに成立した「生活化学製品及び殺生物第安全管理に関する法律」に移管され、削除されています。
 この背景は、過去に「加湿器殺菌剤事件」が発生しました。これに類する化学物質による事故を防止のために家庭用化学製品の安全性管理措置が制定されました(2016年11月)。これに沿って、化学物質の管理を強化し、迅速に実施するために、生活化学製品の体系的な安全管理のための「生活化学製品及び殺生物第安全管理に関する法律」が制定されました。この法律も、2018年3月20日に公布され、2019年1月1日から施行されます2)
 なお、K-REACH改正に伴う、施行令、施行規則はまだ公布されていません。公布されましたら、その内容についてもご紹介したいと思っています。

(林 譲)

参考資料
1)http://www.law.go.kr/lsInfoP.do?lsiSeq=202780&viewCls=lsRvsDocInfoR#0000
2)http://www.law.go.kr/lsInfoP.do?lsiSeq=202779&viewCls=lsRvsDocInfoR#0000

当解説は筆者の知見、認識に基づいてのものであり、特定の会社、公式機関の見解等を代弁するものではありません。法規制解釈のための参考情報です。 法規制の内容は各国の公式文書で確認し、弁護士等の法律専門家に判断によるなど最終的な判断は読者の責任で行ってください。

情報提供:一般法人 東京都中小企業診断士協会

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