ここが知りたいREACH規則

ここが知りたいREACH規則

EUの化学物質関連規則を統合するREACH規則について紹介

2018.02.16

ECHAによる可能な規制活動に向け236物質の選抜

ECHAは2018年1月23日に、加盟国の権限当局(Member State Competence Authority:以降「MSCA」)によるスクリーニング課題の精査対象の236物質1)を選抜し、規制の必要の有無を決定するための優先順位付けを目的としてドシエのマニュアル調査を実施すると発表しました。

以下にこの発表と関連内容の概略をご紹介します。

もし貴社が上記の選抜された物質中のある物質を登録している場合、ECHAから貴社に対し登録の潜在的調査を告知する通知が郵送されます。ECHAは更にデータの創出あるいはリスクマネジメント措置の実施等の規制活動が必要な場合、貴社に対し可能な限り早期にすべての欠点を処理するためドシエの更新を奨励します。更新情報はMSCAが更によい評価をするのに貢献するからです。
 もし、加盟国またはECHAが貴社の物質に関して措置を取る場合、その措置情報は、例えば、潜在的にコンプライアンスチェックに従うべき物質リスト、意図の登録(RoI)、物質評価のためのCoRAP草案、またはthe Public Activities Coodination Tool(PACT)等について当局のウェブサイト上で公開されます。ECHAは選抜された物質のリストは公開しません。というのは、当該リストは自動化された選択に基づき、潜在的懸念を確認するためにマニュアル検証が必要とされるからです。(「4.スクリーニングのワークフロー」参照)

物質選抜は、物質評価の共同体ローリングアクションプラン(CoRAP)または高懸念物質(SVHC)の候補物質リストのようにその大部分の懸念が疑われるまたは懸念が既知である物質周辺で創造されるグループへのアプローチに基づいています。物質はread-across argumentsおよび登録ドシエで利用可能なカテゴリーまたはその他の規制プログラム(たとえば、OECD)のカテゴリーおよび構造的な類似性に基づいたグループに対して選択されています。

グループにおけるアドレッシング物質は類似物質を確かめ一貫して取扱われます。グルーピングはREACH登録物質を超えています。現在の選抜候補リスト(shortlist)はC&Lインベントリー届出の40物質、およびCoRAPまたはCandidate List上に含まれる39グループ(懸念が疑わしいかまたは知られている物質)が含まれています。

ECHAとMSCAは、人の健康または環境に対しリスクある物質を特定し、当該物質の安全使用のために適切なREACHおよびCLPプロセスを進めるために「共通のスクリーニングアプローチ2)(common screening approach:以降「CSA」)」の一部として、登録物質のITベースおよびマニュアルスクリーニングを毎年実施しています。

ECHAは「REACHおよびCLPプロセスのための共通のスクリーニングアプローチ」
について以下の情報を提供しています。

1. 緒言

REACHおよびCLPプロセスの下で、最も重大な物質に対する潜在的な懸念を特定する必要がある。懸念が特定された物質が有する有害性やリスクを決定するために更に考慮する必要がある規制活動をカバーしている。
 ECHAはMSCAと協同してREACHおよびCLPプロセスに対し物質を特定するためのREACH登録ドシエと他のデータベースの両者が物質に対して系統的に利用可能情報を選抜するスクリーニングアプローチを開発している。

  • ドシエエバリュエーション下でのコンプライアンスチェック
  • 物質エバリュエーション下での共同体ローリングアクションプラン(CoRAP)
  • REACHおよびCLP規則下での潜在リスクマネジメント措置

(たとえば)

  • 分類と表示の調和
  • 認可
  • 制限
2. スクリーニングとは何か

「スクリーニング」とは物質(またはドシエ)が特定のREACHまたはCLPプロセスによって取扱われるべきかどうかに関する予備評価のための物質情報の特定および調査を対象としている。

これまで過去4回(2014-2017)実施されたITスクリーニングは将来の精細な調査のため総計で1,084物質を特定し、加盟国はそのうちの714物質を調査しており、その4分の3についてはフォローアップ活動が要求されています。詳細は以下のとおりです。

  • 物質評価(CoRAP) 27%
  • コンブライアンスチェック 25%
  • CLH 10%
  • リスクマネージメントオプション分析(RMOA) 6%
  • その他の活動 7%
  • 評価中 4%
  • その他 21%
3. 何故共通スクリーニングか

REACHおよびCLPプロセスは、人の健康および環境に与える有害性とリスクを特定し、明確化し、マネジメントするという同じ目的を共有しているためすべてが内部リンクされている。共通アプローチの究極のゴールは特定の有害性(人の健康、環境)、ばく露およびリスクプロファイルを有する物質を最も適切なREACHまたはCLPプロセスにより特定し処理することである。この共通アプローチはもし、それに対する妥当な理由がなくて調和された方法で並行処理されないならばスクリーニング活動の迅速な進歩、作業の重複の回避および異なるプロセスに対する適切な候補として特定されている同じ物質が有するリスクの最小化を確実にすることを意図している。

4. スクリーニングのワークフロー

大量の物質情報が利用可能な結果、スクリーニングのためにECHAの専門的知識およびITインフラを使用に対する資源は効果的である。それによって、関連情報を自動的に抽出、処理する。しかし、MSCAの優先順位付けに適合するマニュアルスクリーニングの適切な候補物質を供給の特定に使用される検索基準の開発のためにMSCAとの密接な協力の必要がある。2つの異なったフェーズに分かれたスクリーニングに関連する幾つかのステップがある。

  • 1)ITマススクリーニングフェーズ
  • 2)マニュアルスクリーニングフェーズ

第一に、REACHまたはCLPプロセス(CoRAP、SVHC、CLH)に対し特有なスクリーニングシナリオはスクリーニング定義文書において定義されている。これらのスクリーニングシナリオはITアルゴリズムに翻訳される。そしてそれはECHAのITツールによりREACHおよびCPLデータベースに適用される。
 マニュアルスクリーニングは適用される検索基準に関して登録ドシエに供給されている情報の目的とされている物質またはドシエの特有の評価として定義されている。このマニュアルスクリーニングは、自動化されているITマススクリーニングの結果を精査すること、検証することおよび特定されたSVHC/CLHの有害性プロファィルまたはリスクベースの物質評価に対する相当の懸念および/またはコンプライアンスチェックをよりよく定義することを意図している。当局は可能な場合、すべてのエンドポイントの観点から物質をマニュアルでスクリーン(審査)している。選抜候補リスト(shortlist)上の物質の構造的な類似性、リスト内および以前に評価されている(たとえば、CoRAP候補物質)。その他の物質の両方はチェックされ、物質はグループ化される。
 もし、問題物質が懸念に特定されるならば、MSCAが回答しなければならない質問は次の「その物質に対する最も適切な次のステップ(REACHまたはCLHプロセス)は何か?」である。

上記質問に対し、マニュアルスクリーニングは次のような出力選択肢が可能である。

  • 物質評価に対する候補(CoRAP物質の選択)
  • 将来の規制リスクマネジメントに対する候補
    • リスクマネジメントオプション分析(RMOA)
    • EUレベルの調和化された分類と表示(CLH)
  • SVHC特性が確認される前の更なる評価の必要および更なる規制リスクマネジメントが決定されうること(たとえば、PBTまたはED専門グループにより物質に対する一層の評価や議論の必要性)
  • コンプライアンスチェックに対する候補(CCH)― 標準情報要求は、実現されていない
  • その他の行動に対する必要性(たとえば、その他の規制下での執行または行動)
  • 更なる行動は必要なし

マニュアルスクリーニングの結果は、記録され継続するスクリーニングラウンドの入力として使用される。

5. スクリーニングのスケジュール

ECHAおよび加盟国/COM(コーディネーショングループ(CGs)および専門家グループ(EGs)経由)および利害関係者(EGs経由)はスクリーニングシナリオを定義するためのステップおよびマニュアルスクリーニングを実行するために密接に協力している。
 スクリーニングワークフローは、完成するのにおよそ9ケ月を要する。スクリーニングワーフローに関連するタイムラインは以下の2つのコンポーネントで構成される。

  • 1)ITマススクリーニングフェーズ
     マスターおよび短期リストを作成するためにスクリーニングシナリオを定義し、実施するための時間。典型的には6ケ月である。
  • 2)マニュアルスクリーニングフェーズ
     典型的には3ケ月である。

ECHAは最も幅広い範囲の懸念に適合可能な単一のスクリーニング結果セットを創出する目的で改善可能なスクリーニング方法について提案するため加盟国、委員会および利害関係者と相談している。その目的は、サーチ基準を注意深く文書化することによりスクリーニング結果の透明性と信頼性を増大することである。このコンサルテーションは、PBTおよびED専門家グループおよびCMRおよびSenS Coodinationグループにより実施される。
 開発されたシナリオの背後の全体的な解説と基本方針はウェブサイトの「the Screening Definition Document」において一般に公開されている。物質の特有な情報はスクリーニングレベルでは一般に公開されていない。物質は自動化されているITスクリーニングに基づき選抜され、必要な検証はマニュアルで実施される。

(瀧山 森雄)

1)https://echa.europa.eu/-/236-substances-shortlisted-for-possible-regulatory-action
2)https://echa.europa.eu/documents/10162/19126370/common_screening_approach_en.pdf/
b195b928-25ce-4a1c-9eec-8f58ca724f58

当解説は筆者の知見、認識に基づいてのものであり、特定の会社、公式機関の見解等を代弁するものではありません。法規制解釈のための参考情報です。 法規制の内容は各国の公式文書で確認し、弁護士等の法律専門家に判断によるなど最終的な判断は読者の責任で行ってください。

情報提供:一般法人 東京都中小企業診断士協会

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