ここが知りたいREACH規則

ここが知りたいREACH規則

EUの化学物質関連規則を統合するREACH規則について紹介

2018.02.02

REACHにまつわる話(72)-認可対象候補物質リスト(CL)へ新規追加(7物質)、及びある種のポリマーの制限の検討-

1. 7物質の認可対象候補物質リストへの新規収載と既収載物質(ビスフェノールA)の収載特性の更新

2018年1月15日付で、認可対象候補物質リストに表1に示します7物質が収載されました1)。この結果、認可対象候補物質は合計181物質となります。

表1 認可対象候補物質リストに追加収載された7物質
物質名 EC番号 CAS番号 収載の特性 用途の例
1 クリセン 205-923-4 218-01-9 発がん性(第57条a)、
PBT(第57条d)、vPvB(第57条e)
物質そのものは製造されていないが、他の物質の製造時に不純物・副生物として生成。
2 ベンズ[a]アントラセン 200-280-6 56-55-3 発がん性(第57条a)、
PBT(第57条d )、vPvB(第57条e)
物質そのものは製造されていないが、他の物質の製造時に不純物・副生物として生成。
3 硝酸カドミウム 233-710-6 10325-94-7 発がん性(第57条a)、変異原性(第57条b)、特定標的臓器毒性(反復暴露)(第57条f-ヒトの健康) ガラス、磁器、セラミック製品の製造。
4 水酸化カドミウム 244-168-5 21041-95-2 発がん性(第57条a)、変異原性(第57条b)、特定標的臓器毒性(反復暴露)(第57条f-ヒトの健康) 電気、電子、光学機器の製造、研究用試薬。
5 炭酸カドミウム 208-168-9 513-78-0 発がん性(第57条a)、変異原性(第57条b)、特定標的臓器毒性(反復暴露)(第57条f-ヒトの健康) pH調整剤、水処理製品、研究用試薬、化粧品、パーソナルケア製品。
6 1,6,7,8,9,14,15,16,17,17,18,18- ドデカクロロペンタシクロ [12.2.1.1 6,9 .0 2,13 .0 5,10 ]オクタデカ7,15ジエン(「Dechlorane Plus」TM )[anti-およびsyn-異性体のいずれか、及びこれらの混合物を包含] vPvB(第57条e) 非可塑性難燃剤、接着剤およびシーラントおよび結合剤。
7 1,3,4-チアジアゾリジン-2,5-ジチオン、ホルムアルデヒドおよび4-ヘプチルフェノール(分枝状および直鎖状(RP-HP)の反応生成物[4-ヘプチルフェノール、分枝状および直鎖状0.1wt%以上を含有] 内分泌かく乱作用(第57条f-環境) 潤滑油,グリースの潤滑剤

#1,2は、多環芳香族炭化水素です。これ等の物質そのものを製造されることはありません。石油の精製残渣や、タイヤ用カーボンブラックの製造時等に、副生するとのことです。不純物、副生物を含有する製品を使用する場合には、注意する必要があることになります。
 #7は、原料の4-ヘプチルフェノールが残存していれば、認可対象候補物質となります。すなわち、特定された反応生成物の未反応の原料の0.1wt%以上残存していないことが、必要になります。これに似た例としては、日本において、ある種の有機顔料に副生したPCBが含有することが問題になりました。この場合は、PCBの含有量を可能な限り低減させる管理を行うことが行われています2)。これと類似の対策が必要になることになります。

また、生殖毒性、人への内分泌かく乱性があるとして認可対象候補物質リストに収載されていました、ビスフェノールAについて、環境に対する内分泌かく乱性の有害性が追加され、リストの更新がされました。

なお、今回の認可対象候補物質の追加、ビスフェノールAの有害性の追加更新については、2017年9月7日に、提案され意見募集が行われていました。その提案では、8物質の追加提案がされていました。この中には、0.1wt%以上の酸化ニッケル含有する四酸化三コバルトがありましたが、この提案は取り下げられています。

2. EUの新しいプラスチック戦略とある種のプラスチックの制限の可能性の検討の開始

2018年1月16日に、欧州委員会は巡回型経済への移行の一環となる新しいプラスチック戦略を公表しました3)

この戦略では、成長と革新を図りながら、プラスチック汚染による環境を守る、「欧州の未来」の積極的な挑戦を図る計画です。製品の設計、製造、使用、リサイクルの方法を変え、この変革の主導権を取り、一回使用のプラスチックの消費量この移行で主導権を握ることで、新しい投資機会と雇用を創出するというものです。この新しい戦略では、EU市場のプラスチック包装を2030年までにリサイクル可能とし、一回使用のみのプラスチックの消費量を削減しようとするものです。この戦略計画の一施策として、2017年12月に欧州委員会からECHAにオキソプラスチックとある種の用途へのマイクロプラスチックの意図的使用の制限をする提案書(附属書XV)の作成の要請が出されています4)5)
 この要請に従い、2018年1月17日、ECHAはこの制限提案の作成に着手すると発表しました6)。2018年には、利害関係者に、意図的に添加されたマイクロプラスチックおよびオキソ分解性プラスチックのリスクおよび社会経済的評価に資する情報提供の募集行うとしています。
 なお、オキソプラスチックは、特定の条件下で材料の酸化を促進する添加剤を含む汎用のプラスチックで、農業用フィルム、運搬用バッグ、食品包装、および埋め立て物のカバーなどの用途に使用されているとのことで、それらは非常に小さな粒子に分解し、潜在的にマイクロプラスチックによる環境汚染を引き起こす可能性があるものです。マイクロプラスチックスは5mm以下合成水不溶性ポリマーで、水生環境に特に懸念があると考えられています。環境と人の健康に及ぼすマイクロプラスチックの潜在的影響は、欧州連合(EU)加盟国および世界中の加盟国に懸念を引き起こしているとされています。

(林 譲)

参考資料
1)https://echa.europa.eu/-/seven-new-substances-added-to-the-candidate-list-entry-for-bisphenol-a-updated-to-reflect-its-endocrine-disrupting-properties-for-the-environment
2)http://www.meti.go.jp/committee/kenkyukai/seisan/yuuki_pcb2/pdf/report_02_01.pdf
3)http://europa.eu/rapid/press-release_IP-18-5_en.htm
4)https://echa.europa.eu/documents/10162/13641/oxy_plastics_cion_reqst_axvdossier_en.pdf/
f39bdf75-46e9-b14a-55f3-56346871483c

5)https://echa.europa.eu/documents/10162/13641/microplastics_cion_reqst_axvdossier_en.pdf/
5c8be037-3f81-266a-d71b-1a67ec01cbf9

6)https://echa.europa.eu/-/echa-to-consider-restrictions-on-the-use-of-oxo-plastics-and-microplasti-1

当解説は筆者の知見、認識に基づいてのものであり、特定の会社、公式機関の見解等を代弁するものではありません。法規制解釈のための参考情報です。 法規制の内容は各国の公式文書で確認し、弁護士等の法律専門家に判断によるなど最終的な判断は読者の責任で行ってください。

情報提供:一般法人 東京都中小企業診断士協会

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