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HOME > 経営をよくする > ここが知りたいREACH規則

ここが知りたい REACH規則

コラム

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17.09.01

アパレル業界の化学物質管理ツール等のグローバル化の動き

2年前の本コラム化学物質に関するマネジメントシステムの一例として、アパレル業界(ZDHC)が策定した「化学物質管理システムガイダンスマニュアル」について紹介していました。
 「有害化学物質排出ゼロ(ZDHC)」グループ1)は、「2020年までにサプライチェーン全体の有害化学物質排出をゼロにする」ことを目標2011年に設立され、アパレル業界のサプライチェーンにおいて、源流となる化学物質や混合物の管理とそれら混合物などを用いた製造工程を管理し、製品含有化学物質はもとより、製造時の労働安全衛生や環境排出の管理も包含した取り組みを次の6つの分野で推進しています。

分野 主な資料・ツール類
製造時使用制限物質リスト(MRSL) ・MRSL
・MRSL適合性評価ガイダンス
排水 ・排水ガイダンス
監査プロトコル ・監査プロトコル
・化学物質管理システムガイダンスマニュアル
調査研究 ・有害化学物質の優先順位付けの枠組み
・調査研究リスト
データ把握と情報開示 ・ZDHCゲートウェイ(化学品モジュール)
教育 ・各国での説明会等の開催
・オンライン教育教材

これらの活動のうち、2017年に新たに資料・ツールとして、公表されたMRSL適合性評価ガイダンスと、ZDHCゲートウェイ(化学品モジュール)の概要について紹介します。

1.MRSL適合性評価ガイダンス2)

ZDHCのMRSL3)は、「繊維および合成皮革の加工」と「皮革加工」の2つの物質リストで構成されており、各物質について化学品メーカーに対する要求事項として含有制限値を、混合物を用いて部品や製品を製造するメーカーに対して製造工程での意図的使用の禁止を求めています。これにより、最終製品中の含有化学物質のみならず、サプライチェーンでの製造工程も対象としています。
 適合性評価ガイダンスでは、化学品メーカーのMRSLへの適合性を評価する枠組みや要件が示されており、化学品メーカーが適合性を示すレベルとして、通常のSDSの提示に加え、MRSLに対する適合性評価に基づく評価活動に応じて次の4つのレベルが設定されています。

適合性レベル 必要な評価活動
レベル0 自己宣言
レベル1 第三者による書類審査または附属書Aのデータ要件を満たす試験報告
レベル2 レベル1に加えて、第三者によるプロダクトスチュワードシップ活動審査(ISO9001や14001等に基づいた活動等)
レベル3 レベル2に加えて、第三者による工場審査

化学品メーカーが自社および自社が提供する化学品の適合性レベルを、後述の「ZDHCゲートウェイ(化学品モジュール)」を通じて開示することによって、化学品を購入するアパレル部品や製品の製造者は適合性レベルを簡易に確認・比較できることになります。

2.ZDHCゲートウェイ(化学品モジュール)4)

サプライチェーンを通じた化学品の情報伝達を円滑化するためのプラットフォームとして、ZDHCゲートウェイ(化学品モジュール)の運用が開始されています。
 ZDHCゲートウェイ(化学品モジュール)は、各社各様の調査要請等による情報伝達の負荷を削減するために、サプライチェーンの源流に位置する化学品メーカーが自社製品のSDSやMRSLの適合性レベル等の情報を登録することによって、化学品を使用する川下のアパレル部品や最終製品メーカー、ブランド企業等が化学品のMRSL適合性を確認できるプラットフォームです。
 現状は、ZDHC参加企業のサプライチェーンでの限定的な運用ですが、この限定運用の結果を踏まえて改良を行い、2018年第一四半期にはアパレル業界のサプライチェーンに属する全ての企業が利用可能になる予定となっています。
 なお、排水に関するモジュールも開発が進められているところです。

このように、アパレル業界では、MRSL適合性評価やZDHCゲートウェイによって、各ブランドメーカーやサプライチェーン企業が個々に監査や情報伝達を行うのではなく、共通の基準やツールを用いたグローバルな取り組みが進められています。
 自動車業界においてグローバルに採用されているIMDSのように、サプライチェーン全体で取り組みが進展するかは、今後の参加企業の拡大次第になるため、今後の動向が注目されるところです。
 現時点では欧米のグローバルなブランドメーカーが参画していることや、サステイナブルアパレル連合(SAC)やOEKO-TEXなどZDHC以外のアパレル製品に関わる化学物質管理等の推進団体とも連携を進めているため、ZDHCに参画しているブランドメーカーのサプライチェーンに所属する日本企業でもMRSLやZDHCゲートウェイ等の対応が求めれることも想定されます。新たな顧客要請に困惑せず対応するためには、ZDHC等のグローバルな業界での取り組み状況を把握しておくことも必要になります。

(井上 晋一)

1)http://www.roadmaptozero.com/
2)http://www.roadmaptozero.com/fileadmin/pdf/Files_2017/MRSL_Conformance_Guidance_
052017.pdf

3)http://www.roadmaptozero.com/fileadmin/pdf/MRSL_v1_1.pdf
4)http://gateway.roadmaptozero.com/

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当解説は筆者の知見、認識に基づいてのものであり、特定の会社、公式機関の 見解等を代弁するものではありません。法規制解釈のための参考情報です。 法規制の内容は各国の公式文書で確認し、弁護士等の法律専門家に判断によるなど最終的な判断は読者の責任で行ってください。


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