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ここが知りたい REACH規則

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17.06.30

REACHにまつわる話(68)-認可対象物質(附属書XIV収載物質)、制限物質に関する最近のニュースから-

2017年6月14日付のEU官報で、認可対象物質(附属書XIV収載物質)追加の委員会規則が公布されました。今後、フタル酸エステル化合物の多くがEU域内では、上市・使用できない状況になり、また、ある種のフタル酸エステルを含有する成形品の上市も制限されています。今回のコラムでは、これらの状況を整理してご紹介します。

1.認可対象物質(附属書XIV収載物質)追加の委員会規則1)について

認可対象物質(附属書XIV収載物質)の追加案については、2017年4月28日のコラムでご紹介していますが、委員会規則(EU)2017/999として2017年6月14日付のEU官報で公布されました。今回は、12物質が追加され、これまでの31物質と合わせ合計43物質となりました。表1に、物質、収載の理由になった有害性、認可申請期限、日没日(これ以降では、認可申請をしていなければEU域内では上市・使用できない日)を示します。

表1:2017年6月14付官報で公布された認可対象物質(附属書XIV収載物質)
エントリー 番号 物質名 収載の根拠の有害性 EC No. 認可申請期限 日没日
32 1-ブロモプロパン 生殖毒性(1B) 203-445-0 2019.1.4 2020.7.4
33 フタル酸ジイソペンチル 生殖毒性(1B) 210-088-4 2019.1.4 2020.7.4
34 1,2-ベンゼンジカルボン酸、炭素数7の側鎖炭化水素を主成分とする 炭素数6~8のフタル酸エステル類 生殖毒性(1B) 276-158-1 2019.1.4 2020.7.4
35 1,2-ベンゼンジカルボン酸、 炭素数7~11の分岐および直鎖アルキルエステル類 生殖毒性(1B) 271-084-6 2019.1.4 2020.7.4
36 フタル酸ジ-ペンチル、分岐および直鎖 生殖毒性(1B) 284-032-2 2019.1.4 2020.7.4
37 フタル酸ビス(2-メトキシエチル) 生殖毒性(1B) 204-212-6 2019.1.4 2020.7.4
38 フタル酸ジペンチル(DPP) 生殖毒性(1B) 205-017-9 2019.1.4 2020.7.4
39 フタル酸nーペンチル-イソペンチル 生殖毒性(1B) - 2019.1.4 2020.7.4
40 アントラセンオイル 発がん性(1B)
PBT,vPvB
292-602-7 2019.4.4 2020.10.4
41 コールタール、ピッチ、高温 発がん性(1B)
PBT,vPvB
266-028-2 2019.4.4 2020.10.4
42 4‐(1,1,3,3‐テトラメチルブチル)フェノール、エトキシレート(4-tert-OPnEO)[明確に特定された物質及びUVCB、ポリマー及び同族体を含む] 内分泌かく乱性 - 2019.7.4 2021.1.4
42 4-ノニルフェノールエトキシレート[ノニル基は、炭素数9の直鎖および分岐のアルキル の全ての異性体の単独物、および、混合物(UVCB)、エトキシレートの付加数は、単一のものからポリマー等全てのものを含む] 内分泌かく乱性 - 2019.7.4 2021.1.4

これまで附属書XIVに収載された物質の有害性は、発がん性、変異原性、生殖毒性、および、PBT、vPvBでしたが、今回初めて内分泌かく乱性の物質(#42,43)が附属書XIVに収載されました。
 また、#33から#39の7種のフタル酸エステル化合物が附属書XIVに収載されたことにより、これまでの4物質と合わせるとフタル酸エステル類は11物質になります。
 表2には、ご参考にcandidate listに収載されているフタル酸エステル化合物の附属書XIVへの収載状況を整理してみました。これまでに、14種のフタル酸エステル化合物がcandidate listに収載されています。上記の通り、この内11種は附属書XIVに収載されています。残り、3物質のうち番号12,および13は、2016年11月にECHAから欧州委員会送付された第7次収載勧告案に含まれています。また、番号14は第8次勧告草案に取り上げられ、2017年6月2日まで意見募集が行われていました。今後、提出された意見を考慮に入れてECHAの加盟国委員会で検討されることになります。
 なお、番号1から4(附属書XIVエントリ番号4から7)は、既に日没日(2015年2月21日)は過ぎていますので、認可申請をしていない場合は、EU域内では上市・使用はできません。ただし、番号1から3(エントリ番号4から6)の3種フタル酸エステル化合物は、輸液等の医薬品の包装材料への使用には認可の取得は必要ありません。

表2:candidate listに収載されたフタル酸エステル化合物の附属書XIVへの収載状況
番号* 附属書XIVエントリー番号 物質名 EC# 収載の根拠の有害性 主な用途
1 4 フタル酸ビス2-エチルヘキシル(DEHP) 201-622-7 生殖毒性 可塑剤
2 5 フタル酸ベンジルブチル(BBP) 204-211-0 生殖毒性 可塑剤
3 6 フタル酸ジブチル(DBP) 201-557-4 生殖毒性 可塑剤
4 7 フタル酸ジイソブチル(DIBP) 201-553-2 生殖毒性 可塑剤
5 33 フタル酸ジ-イソペンチル(DIPP) 210-088-4 生殖毒性 可塑剤
6 34 1,2-ベンゼンジカルボン酸、炭素数7の側鎖炭化水素を主成分とする 炭素数6~8のフタル酸エステル類 276-158-1 生殖毒性 PVC可塑剤、充填剤、インク可塑剤
7 35 1,2-ベンゼンジカルボン酸、 炭素数7~11の分岐および直鎖アルキルエステル類 271-084-6 生殖毒性 PVC可塑剤、充填剤、インク可塑剤
8 36 フタル酸ジ-ペンチル、分岐および直鎖 284-032-2 生殖毒性 可塑剤
9 37 フタル酸ビス(2-メトキシエチル) 204-212-6 生殖毒性 ポリマー、ペンキ、インクの可塑剤
10 38 フタル酸ジ-n-ペンチル 205-017-9 生殖毒性 可塑剤
11 39 フタル酸n-ペンチル-イソペンチル - 生殖毒性 可塑剤
12 (第7次勧告案) フタル酸ジへキシル(DHP) 201-559-5 生殖毒性1B 可塑剤
13 (第7次勧告案) 1,2-ベンゼンジカルボン酸ジへキシルエステル、分岐および直鎖 271-093-5 生殖毒性1B シーラント、潤滑剤、可塑剤
14 (第8次勧告草案) フタル酸ジC6‐C12アルキルエステルフタル酸ジエステル:フタル酸ジヘキシル(EC No.201-559-5)0.3wt%以上を含むフタル酸、デシル、ヘキシル、オクチルジエステル混合物 271-094-0
272-013-1
生殖毒性 可塑剤等
*:番号は本コラムのために付けているものです。
2.EUに輸出するフタル酸エステル化合物類を含有する製品の留意事項

1項でご紹介しましたように、可塑剤で使用されているフタル酸エステル化合物は、表2の物質が附属書XIVに収載されますと、免除された使用以外はEU域内では上市・使用が出来なくなります。すなわち、これらのフタル酸化合物、あるいは、混合物は、日本からEUへは原則輸出できないことになります。
 他方、成形品ついては認可の取得は必要ありません。附属書XIVに収載された物質を0.1%以上含有する成形品については、その物質はcandidate listに収載されている状態ですので、1トン以上になれば届出を行い、成形品の供給先には、その物質を含有していることと共に成形品を安全に取り扱う情報を提供する必要があります。

他方、REACH規則XVIIのエントリー番号51および52では、特定のフタル酸化合物類を0.1%以上含有する子供用の玩具や育児製品への使用や製品の上市が禁止されています。禁止されているフタル酸化合物は表3の通りです。

表3:附属書XVIIで玩具・育児製品に使用・含有が禁止されているフタル酸化合物
附属書XIV
エントリー番号
禁止されているフタル酸エステル化合物
51 フタル酸ビス2-エチルヘキシル(DEHP)、フタル酸ベンジルブチル(BBP)、フタル酸ジブチル(DBP)の合計が0.1%以上
52 フタル酸ジ‵イソノニル′(DINP)、フタル酸‵イソデシル′(DIDP)、フタル酸ジ-nオクチル(DNOP)の合計が0.1%以上

エントリー番号51、52ともに、それぞれ3種のフタル酸化合物がグループ化されています。含有濃度の規定は、それぞれグループ化されているフタル酸化合物の含有率の合算値です。51、52の各グループの濃度は合算されません。例えば、エントリー番号51、および、52のグループの化合物の含有率の合計が、それぞれ0.09%である場合、それらを合計すると0.18%となりますが、この様な製品は禁止されません2)
 フタル酸ジ‵イソノニル′(DINP)については、附属書XVIIにはEC No 249-079-5と 271-090-9が挙げられていますが、後者は1,2-ベンゼンジカルボン酸(注、フタル酸をこのように呼ぶことがあります)の炭素数9の分岐炭化水素を主成分とする炭素数8~10のジアルキルエステルです。また、フタル酸‵イソデシル′(DIDP)については附属書XVIIにはEC No 247-977-1と 271-091-4が挙げられていますが、後者は1,2-ベンゼンジカルボン酸の炭素数10の分岐炭化水素を主成分とする炭素数9~11のジアルキルエステルです。これらの化合物は、表2の番号7(附属書XIVエントリー番号35)の「1,2-ベンゼンジカルボン酸、 炭素数7~11の分岐および直鎖アルキルエステル類」の中の一種であり、この化合物類に含まれると考えることができます。

新たに、ECHAおよびデンマークから、表2の附属書XIVエントリー番号4から7までの四種のフタル酸エステル(DEHP、DBP、DIBP、および、BBP)を含有する成形品の上市の禁止の制限が提案され、2017年6月20日にECHAの社会経済分析委員会が制限提案を採択しています3)。制限対象の成形品は、フロアリング、コート布および紙、レクリエーション歯車および機器、マットレス、履物、事務用品、およびプラスチックで成形またはコーティングされた他の製品で、皮膚または吸入による暴露を引き起こす恐れのある成形品です。これまで、フタル酸エステルの含有が制限されていない成形品を広く網羅する内容となっています。
 これらの制限の目的は、既にこれらのフタル酸化合物類はEU域内では使用できませんので、これらを含有する製品はEU域外からの輸入品、すなわち、日本から輸出する製品が対象となります。
 この制限適用は、附属書XVIIの改正が発効してから3年後の予定です。

なお、RoHS指令では、これら4種のフタル酸化合物が電気電子機器への含有制限物質として追加されています。適用開始日は、医療装置と監視及び制御機器以外の電気電子機器には2019年7月22日、医療装置と監視及び制御機器へは2021年7月22日となっています。なお、RoHS指令のこの制限はREACH規則で制限されている玩具等には適用されません。また、許容濃度はフタル酸化合物毎に均質材料あたり0.1%となっています。

(林 譲)

1) http://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/TXT/PDF/?uri=CELEX:32017R0999&from=EN
2)https://echa.europa.eu/support/qas-support/browse/-/qa/70Qx/view/scope/REACH/Restrictions?_journalqadisplay_WAR_journalqaportlet_INSTANCE_70Qx_backURL=https%3A%2F%2Fecha.europa.eu%2Fsupport%2Fqas-support%2Fbrowse%3Fp_p_id%3Djournalqadisplay_WAR_journalqaportlet_INSTANCE_70Qx%26p_p_lifecycle%3D0%26p_p_state%3Dnormal%26p_p_mode%3Dview%26p_p_col_id%3Dcolumn-2%26p_p_col_pos%3D2%26p_p_col_count%3D3
(※「Entry 51 and 52 of Annex XVII to REACH - Phthalates in toys and childcare articles」を参照ください)
3)https://echa.europa.eu/-/seac-adopts-two-restriction-proposals-on-four-phthalates-and-on-tdfas-in-sprays-used-by-the-general-public

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当解説は筆者の知見、認識に基づいてのものであり、特定の会社、公式機関の 見解等を代弁するものではありません。法規制解釈のための参考情報です。 法規制の内容は各国の公式文書で確認し、弁護士等の法律専門家に判断によるなど最終的な判断は読者の責任で行ってください。

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