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ここが知りたい REACH規則

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17.06.09

2017年5月31日に何らかの期限を迎えた各国の化学物質法規制-REACH規則、CLP規則、労安法、カナダGHS-

多くの化学物質法規制では、制定から全面的な適用が開始されるまでに、一定の猶予期間や段階的な適用といった移行期間が設定されている場合が多くあります。
 その中で、本コラムで多く取り上げているEU REACH規則やCLP規則では、つい先日の2017年5月31日が1つの区切りとなっていました。
 今回は2017年5月31日が1つの区切りであった各種法規制の内容について整理してみます。

1. EU REACH規則における「遅延予備登録」

REACH規則の登録は2008年6月からスタートし、予備登録や年間取扱量等による登録の段階的に実施されてきましたが、登録開始から10年後に設定されていた年間取扱量が1~100トンでかつ発がん性・変異原性・生殖毒性(CMR)に該当しない物質を対象とした登録の最終期限である2018年5月31日まで1年を切りました。
 ただし、この登録期限が適用されるためには、2008年11月末までに予備登録を実施しているか、年間取扱量が1トンを超過した後6カ月以内に遅延予備登録を実施していなければなりません。また遅延予備登録は登録期限の1年前までに実施しなければならず、2017年5月31日が遅延予備登録の最終期限でした。
 そのため、ECHAは半年程前から、予備登録期限後の2008年12月以降初めて年間取扱量が1トンを超過した製造者や輸入者に向けて、2017年5月31日の期限までに遅延予備登録をしなければ、2018年5月31日までの猶予期限は適用されず、遅延予備登録よりも時間も手間もかかる通常の登録手続きが必要となる旨を数回にわたって注意喚起 1)していました。
 この遅延予備登録の最終期限が既に経過したことから、今後は年間取扱量が1トン超になる前に、通常の登録手続きを行うことが必要となりました。

2. EU CLP規則における混合物の「再ラベルおよび再包装」

CLP規則では、2015年6月1日以降に上市(輸入含む)された混合物については、CLP規則に基づくラベル表示がすでに義務付けられていますが、上記期日以前に上市された混合物については、2017年5月31日までは旧規制に基づくラベルや包装のままでも販売することが認められていました。
 ECHAでは、猶予期限の約1カ月前となる4月末に、企業に対して在庫品のラベルや包装がCLP規則に基づくものであるかを確認するよう注意喚起 2)を行っていました。
 現在は、この猶予期限を経過したため、EU内で流通する全ての危険有害性を有する物質・混合物にはCLP規則に基づくラベルや包装に対応していなければなりません。

3. 日本 労働安全衛生法における「ラベル表示」

改正労働安全衛生法によって、2016年6月からラベルの表示対象物質の拡大やリスクアセスメントの実施が義務化されました。この改正によって2016年6月1日以降に製造・輸入されるラベル表示対象の化学品はラベルを表示することが義務付けられました。ただし、2017年6月1日時点で「現に存するもの」(すでに製品として存在している在庫品等)を譲渡・提供する場合について、2017年5月31日までの猶予期間が設定されていました。
 現在は、この猶予期限を経過したため、今後は日本で流通するラベル表示対象となる化学品にはすべてラベルが貼付されていることになります。

4. カナダ 危険有害性製品規則による「ラベル・SDS等のGHS対応」

カナダでは、危険有害性製品法(HPA)が2015年2月に修正されるとともに、新たに危険有害性製品規則(HPR)が制定され、GHSが段階的に導入されることが決定していました。実施時期については下記表の「修正前」のとおり、2017年6月1日から化学品の製造者・輸入者にGHS対応が義務付けられることになっていました。
 しかしながら、カナダ保健省は2017年5月19日に、実施時期が下表の「修正後」に変更 3)され、製造者・輸入者への義務化は2018年6月1日からと1年間延伸されました。

段階 実施時期 供給者
修正前 修正後 製造者、輸入者 流通業者
段階1 2017年5月31日まで 2018年5月31日まで CPRかHPRの要求事項を順守 CPRかHPRの要求事項を順守
段階2 2017年6月1日~
2018年5月31日まで
2018年6月1日~
2018年8月31日まで
HPRの要求事項を順守 CPRかHPRの要求事項を順守
段階3 2018年6月1日から 2018年9月1日~
2018年11月30日まで
HPRの要求事項を順守 HPRの要求事項を順守

読者の皆様方は、法規制の制定や改正時には、必ず適用開始時期や、自社製品の対応要否を確認されているかと思います。またその時点で自社製品が対応する必要があると判断された場合には、適用開始時期を踏まえて自社の対応スケジュールを策定され、そのスケジュールに従って対応を進められているものと想定それます。
 しかしながら、法規制の制定・改正時点で、自社製品が対象外である等、自社として直近の対応が不要な場合には、対応スケジュールの策定も後回しになりがちであり、またその間に担当者の異動や製品の変化等も発生するため、気づいた時には対応が後手に回っているというケースもあるものと想定されます。
 適切な時期に必要な対応がとれるよう、移行期間の期日等については担当者のみでなく、組織として把握・管理していく仕組みが必要であると考えます。

(井上 晋一)

1)https://echa.europa.eu/-/last-call-to-pre-register-your-low-volume-chemicals
2)https://echa.europa.eu/-/chemical-products-with-old-labels-off-the-shelves-by-1-june-2017
3)http://www.hc-sc.gc.ca/ewh-semt/occup-travail/whmis-simdut/transition/index-eng.php

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当解説は筆者の知見、認識に基づいてのものであり、特定の会社、公式機関の 見解等を代弁するものではありません。法規制解釈のための参考情報です。 法規制の内容は各国の公式文書で確認し、弁護士等の法律専門家に判断によるなど最終的な判断は読者の責任で行ってください。