本文とサイドメニューへジャンプするためのナビゲーションスキップです。

スタートアップガイド

J-Net21 中小企業ビジネス支援サイト

  • J-Net21とは
  • スタートアップガイド
中小機構
  • メルマガ登録
  • RSS一覧
  • お問い合わせ

HOME > 経営をよくする > ここが知りたいREACH規則

ここが知りたい REACH規則

コラム

REACH検索

17.02.10

改正TSCAに基づく各種連邦規則の動き

2016年6月に米国TSCAが改正され、その改正の概要は、2016年7月15日付 1)の本コラムでも紹介済です。改正TSCAでは新規化学物質や既存化学物質の管理に関する米国環境保護庁(EPA)長官の権限が強化されるとともに、具体的な連邦規則(CFR)の策定をEPAに義務付けていました。
 改正から約半年が経過したこの年末年始に、改正TSCA、特に既存化学物質に関連するいくつかの連邦規則案が公表されましたので、それらの概要をご紹介します。

1. 化学物質のリスク評価に向けた優先順位付け手続きに関する規則案

改正TSCA第6条(b)(1)によって、既存化学物質のリスク評価を行うための優先順位付けとして、潜在的な有害性およびばく露経路によって健康や環境に影響を及ぼす「不当なリスク」が存在する可能性がある物質を「高優先物質」に、「高優先物質」の基準に合致しない物質を「低優先物質」に指定するスクリーニング手続きおよび基準を定める規則を1年以内に制定するようEPAに義務付けていました。
 これを受けて、EPAは1月17日に「化学物質のリスク評価に向けた優先順位付け手続きに関する規則案 2)」を公表し、意見募集を開始しました。同規則案ではスクリーニング手続きを、優先順位付けの対象物質を選定する「予備的優先順位付け」段階、対象物質の情報収集およびスクリーニング評価を行う「実施」段階、優先順位付け案を提示し意見募集を行う「指定提案」段階、優先順位付けを決定する「最終指定」の4つのステップで実施する内容となっています。

2. 化学物質のリスク評価手続きに関する規則案

改正TSCA第6条(b)(4)によって、上記スクリーニング手続きによって「不当なリスク」の存在可能性が示された物質等を対象に、「不当なリスク」の有無を決定する「リスク評価」の手続きについても規則を1年以内に制定するようEPAに義務付けていました。
 これを受けて、EPAは1月19日に「化学物質のリスク評価手続きに関する規則案 3)」を公表し、意見募集を開始しました。リスク評価は、次の3つのいずれかに該当する化学物質に対して、「範囲の特定」、「リスク評価」、「リスクの判定」の流れで実施され、リスク評価では、健康や環境へのリスクに関係しないコスト等の要素は考慮されません。

  • 2016年11月に初期リスク評価対象として特定されたトリクロロエチレン等の10物質
  • 優先順位付けの結果「高優先物質」に指定された物質
  • 製造者が要請した物質
 リスク評価の結果として、「不当なリスク」の有無が示されることになります。EPAは「不当なリスク」の決定には様々な要因を考慮する必要があり、ケースバイケースの判断となるため、規則案ではこの「不当なリスク」を意図的に定義していません。そのため、EPAは今回の規則案の意見募集において、この点についてステークホルダーからの意見を期待しているようです。


3. 個別物質のリスク低減措置に関する規則案

改正TSCA第6条では、リスク評価によって「不当なリスクがある」と判断された物質については、リスク管理措置が検討・実施されることになります。
 現時点では改正TSCAに基づくリスク評価は完了していませんが、改正TSCA成立前から実施されていたTSCAワークプランでリスク評価が完了していた物質については、旧TSCA第6条に基づくリスク管理措置として特定用途で使用される物質を禁止する規則案が複数提案され、意見募集が開始されました。

  • 塗料剥離製品で使用されるジクロロメタンおよびN-メチルピロリドン4)
  • 蒸気脱脂で使用されるトリクロロエチレン 5)
  • エアロゾルの脱脂やドライクリーニング施設での使用を目的としたトリクロロエチレン 6)

4.TSCAインベントリーの届出(アクティブ・非アクティブ)要件規則案

改正TSCA第8条(b)(4)では、現状のTSCAインベントリー中の物質が「アクティブ」なのか「非アクティブ」なのかを決定・公表するため、製造・輸入者(必要ならば加工者)に対して、改正TSCA成立前日の2016年6月21日までの過去10年間の活動の届出を行うための規則を1年以内に制定することがEPAに義務付けていました。
 これを受けて、EPAは1月13日に「TSCAインベントリーの届出(アクティブ・非アクティブ)要件規則案 7)」を公表し、意見募集を開始しました。規則案は、改正TSCA成立前の2016年6月21日までの10年間の活動情報を示した活動届出(NOA)を、製造者および輸入者は制定後180日以内に、加工者は360日以内に提出するよう求める内容となっています。また、将来的な活動再開時における非アクティブからアクティブへの変更手続き等も示されています。
 なお、改正TSCA第8条(b)(4)に基づき、活動届出(NOA)の情報をもとに、EPAは、TSCAインベントリーに収載された物質ごとにアクティブ、非アクティブかを判断し、その情報はTSCAインベントリーの一部として公表されることになります。

 これらの規則案によって、改正TSCAの具体的な手続きが明らかとなってきました。上記規則案による企業への直接的な影響としては、特定用途での禁止やTSCAインベントリーの見直しによる手続きが挙げられます。
なお、これらの規則案の公表を含む、改正TSCAに対するEPAの対応状況はウェブページ 8)で確認することができます。今回ご紹介した規則案以外にも、「営業機密情報(CBI)に関する解釈 9)」の公表や、「手数料規則案」が近々公表される予定であること等が示されています。

(井上 晋一)

中小企業の方を対象として、海外ビジネスに関する質問を無料で受け付けています。
中小機構「中小企業国際化支援アドバイス

当解説は筆者の知見、認識に基づいてのものであり、特定の会社、公式機関の 見解等を代弁するものではありません。法規制解釈のための参考情報です。 法規制の内容は各国の公式文書で確認し、弁護士等の法律専門家に判断によるなど最終的な判断は読者の責任で行ってください。


このページの先頭へ