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ここが知りたい REACH規則

コラム

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16.08.26

REACH規則に関する閑話

REACH規則やCLP規則の規則(Regulation)は、全ての加盟国に直接適用され国内法と同じ拘束力を有するとされ、規則の最後には「この規則はその全体において拘束的でありすべての加盟国において直接適用されるものとする」と記述されています。

しかし、REACH規則を加盟国で運用するには、REACH規則で定められた加盟国義務(例 第121条 任命)の手順化や若干の補足のためのルールが必要となります。

例えば、イギリスでは、「2008 No. 2852 CONSUMER PROTECTION,ENVIRONMENTAL PROTECTION,HEALTH AND SAFETY The REACH Enforcement Regulations 20081)」が制定されています。

制約条項であるREACH規則第128条(自由移動)で、「加盟国はREACH規則適合品の自由移動の妨害を禁止」をうけての内容となっていて、EU域内では義務は同じと認識されています。

ところが、REACH規則の成型品の解釈で注目された欧州司法裁判所2)で、REACH規則の解釈に関連した判決3)が出されていました。

この判決は、スウェーデン最高裁からの欧州連合運営条約(TFEU)第267条(先決裁定)の要請を2014年10月20日に受理し、第2法廷で審理していたものです。

背景は、Canadian Oil Company Sweden AB (以下'Canadian Oil')が、2009年に392トンの化学製品を輸入しましたが、2010年2月28日までにスウェーデン化学品庁(Kemikalieinspektionen)に通知(notify)しなかったとし、2013年4月24日にスウェーデン控訴裁判所(the Hovrätten)が有罪(罰金)判決を出したことによるものです。

スウェーデン法の化学製品およびバイオテクノロジー生物法(Chemical Products and Biotechnical Organisms Ordinance (2008:245))4)第11条で100kg以上の輸入品は届出義務があります。

なお、同法はその後改正5)されていますが、100kgの義務は継承されています。

'Canadian Oil'が告発された当時(2009年)のREACH規則の登録義務は、1,000トン以上でした。'Canadian Oil'は異議を申し立て、スウェーデン裁判所で審理されました。

欧州司法裁判所の判決は、スウェーデン法の規制を認め、'Canadian Oil'の提訴を棄却する内容でした。REACH規則の要求と加盟国国内法が一致していないように思えますが、法務官意見書6)などから論点を整理してみたいと思います。

I. 関連する法規制は次となります。

1. TFEU 第34条(輸入数量制限の禁止)
  • 輸入に関する数量制限および同等の効果を有するすべての措置は加盟国間において禁止される。
    なお、第36条(例外的許容)で、「正当化されれば制限を排除するものでない」との例外規定があります。
 
2. REACH規則 第128条(自由移動)
  • (1)加盟国は、第2 項を前提として、本規則及び、必要に応じて本規則の施行について採択した欧州共同体法規に適合する、本規則の範囲内にある、物質そのもの、混合物又は成形品に含まれる物質の製造、輸入、上市又は使用を、禁止、制限又は妨害してはならない。
  • (2)本規則が製造、上市又は使用に関する要件を調和していない場合には、加盟国が適用する、労働者、人の健康及び環境を保護するための国内法規を維持又は制定することを、本規則の中の何ものも妨げてはならない。(環境省訳)
 
3. REACH規則関係 第5条('No data, no market')
  • 関連 第6条(物質登録)
  • 第7条(成型品中に物質の登録)
    第21条(物質の製造と輸入)
    第23条(段階的導入物質に対する特定規定)
 
4. スウェーデン法
  • (1) THE ENVIRONMENTAL CODE7)
    第14章第12条で危険化学品及びバイオテクノロジー生物の輸入規制をしています。
  • (2)化学製品およびバイオテクノロジー生物法11条で100kg以上の輸入品は届出義務があります。
  • (3)Chemical Products and Biotechnical Organisms Regulations (KIFS 2008:2)8)
    第3章(製品登録の報告)は、輸入後の2月28日までに届出することが、義務化されています。
 

II. 論点

「REACH規則の登録の義務下にいる輸入者に対して、同一物質について登録の義務を定めた国内法を排除するのか」という論点があります。
 結論は、REACH規則の登録の義務下にいる輸入者はECHAへの登録が前提であり、国内法は輸入後の義務で目的が異なり、特定の加盟国でこのような製品の安全管理の統制システムの実装によって、特に、人間の健康と環境と内部の市場でこのような物質の自由な移動の高レベルの保護を保証するものと評価しています。
 また、TFEU 第36条((例外的許容)の正当化要件の論点についても、「人、動物もしくは植物の健康及び生命の保護」の正当化するとして、国内法を排除しないとしています。

この判決(先決裁定)により、ウェーデンでは、100kgを超えての製造、輸入については、スウェーデン化学品庁への届出の義務化が確定したことになります。
 当初危惧していたREACH規則の上乗せ横出し法ではないのですが、EUでは加盟国の国内法にも留意する必要があるようです。

イギリスの6月23日の国民投票でEU離脱を決定しました。その影響はさておいて、多くの皆様もEUの仕組みに新たな認識をされたと思います。
 EUとは、現在イギリスを含めて28ヶ国が加盟(当初6ヶ国)していますが、各加盟国は独立した国家として統治しています。このため、各国には国内法があるとは、承知していましたが、EUとはどのような組織体なのか、改めて認識しました。夏休みのつれづれなるままのネットサーフィンでのREACH規則の閑話としてお受け取りください。

参考資料

1)The REACH Enforcement Regulations 2008
2)CVRIA Search for a case
3)Judgment of the Court (Second Chamber) of 17 March 2016
4)The Chemical Products and Biotechnical Organisms Ordinance
5)Förordning (1998:941) om kemiska produkter och biotekniska organismer
6)Canadian Oil Company Sweden AB Anders Rantén v Riksåklagaren
7)The Swedish Environmental Code
8)The Swedish Chemicals Agency's Chemical Products and Biotechnical Organisms Regulationss (KIFS 2008:2)

(松浦 徹也)

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当解説は筆者の知見、認識に基づいてのものであり、特定の会社、公式機関の 見解等を代弁するものではありません。法規制解釈のための参考情報です。 法規制の内容は各国の公式文書で確認し、弁護士等の法律専門家に判断によるなど最終的な判断は読者の責任で行ってください。


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