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ここが知りたい REACH規則

コラム

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16.06.24

日没日を経過した認可対象物質の制限検討 ~フタル酸エステル類の制限提案~

ご承知のとおり、REACH規則の附属書XIV(認可対象物質)に収載され、日没日を経過した物質については、認可申請がなければ、上市や使用が原則禁止されます。ただし、輸入成形品については、認可の枠組みの対象外となっているため、日本から成形品を輸出する場合には、認可対象物質となっても、認可対象候補物質(Candidate List)に関わる情報提供や届出は継続して課されますが、継続使用にあたって認可が必要となることはありません。
 しかしながら、本コラム(2015年11月27日付1))でも、説明されているように、REACH規則第69条2項によって、欧州化学品庁(ECHA)に、「日没日を経過した認可対象物質について、成形品中の該当物質によるリスク管理状況を検討し、リスクが適切に管理されていない場合には、制限提案を行うことが定められています。
 今回は、この第69条2項によるECHAのリスク管理状況の検討や制限提案の状況について整理します。

1. ムスクキシレンおよび4,4'-ジアミノジフェニルメタン(MDA)

両物質は認可対象物質のうち、日没日が最も早い2014年8月21日に設定されていました。これらの物質について、第69条2項に基づいたECHAによる成形品中の両物質に関する検討結果2)3)が2015年11月12日に公表されています。
 ECHAは両物質ともに、一般的に化学物質や混合物として使用されており、また登録情報の用途で成形品中での使用がなく、認可対象候補物質(Candidate List)の届出や認可申請もなかったことから、成形品中の使用に関するリスクは特定されないとし、成形品に対する制限提案は不要であると結論づけました。

2. 4種のフタル酸エステル類

ムスクキシレン、MDAに次いで、2015年2月21日に日没日を迎えたのが、DEHP、DBP、BBP、DIBPの4種のフタル酸エステル類です。
 ECHAは成形品中のこれらフタル酸エステル類について検討した結果、リスクが十分に管理されていないと結論付け、2015年3月に制限提案意向を発表し、制限提案文書を4月1日に制限提案文書を提出、現在、12月15日を期限とする意見募集が実施されている状況4)です。
 制限提案文書では、「可塑化された材料中に4種のフタル酸エステルを合計0.1wt%超含有する成形品」の上市を官報公示の3年後から禁止する内容となっています。ただし、一部制限対象外となる製品として、次のような内容が挙げられています。

  • 皮膚や粘膜に長時間接触せず、屋外でのみ使用される成形品
  • 労働者の皮膚に長時間接触しない工業および農業用途の成形品
  • 実験用の測定機器
  • 食品接触材、医薬品包装、玩具および育児用品(DEHP、DBP、BBPのみ)といった既存の他法規制で規制対象となっている成形品

屋内使用の消費者向け製品を対象とした4種のフタル酸エステル類の制限については、2011年4月にデンマークが制限提案を行っていましたが、2012年12月にECHAの専門委員会が制限提案を支持するだけの根拠がないと結論付け、2014年8月にはデンマーク提案に対してはREACH規則附属書XVIIの改正は行わないことが正式に官報公示5)されたという経緯がありました。
 今回のECHAの制限提案は、前回のデンマークによる制限提案を基にしつつも、認可申請や認可付与の内容を考慮するとともに、ばく露や代替化、費用・便益などに関する新たな情報が反映されています。
 これら4種のフタル酸エステル類については、RoHS指令においても2015年に制限対象物質に追加され、2019年7月から均質材料中の最大許容濃度を0.1wt%とする含有制限が課されることになっています。また、すでにREACH規則附属書XVIIの51項において、玩具や育児用品中の可塑化された材料中においてDEHP、DBP、BBPの合計が0.1wt%以下とする含有制限が課されています。
 これらに加えて、今回の制限提案内容が、もし、REACH規則附属書XVIIに収載されることになれば、RoHS指令や既存のREACH規則附属書XVIIの51項の規制対象である電気電子製品や玩具および育児用品だけでなく、さらに幅広い輸入成形品に対して、フタル酸エステル類の含有制限が課されることになります。一度、提案が退けられていることもあり、どのような判断が下されるかは、今後の制限手続きの状況を確認する必要があります。

3. 今後の成形品中の認可対象物質に関する検討

上記物質に続き、2015年5月21日にはクロム酸鉛や三酸化二ひ素などが、2015年8月21日にはリン酸トリス(2-クロロエチル)やヘキサブロモシクロロドデカン(HBCDD)などが、2016年4月1日にはトリクロロエチレンが日没日を迎えています6)
 これらの物質の中には、すでにREACH規則附属書XVIIに収載されている、またはPOPs規則等の他法規制によって、成形品についても含有制限が課されている物質もあります。
 これらの物質に関する第69条2項に基づいた検討結果は、ECHAの「制限に関する検討中の活動7)」または「制限に関する完了済活動8)」のページで公表されますが、現時点では、まだ検討結果は公表されておりませんので、今後、順次検討が進められ、制限提案の要否が公表されていくものと想定されます。
 認可対象物質はEU域内において、すでにその使用や上市が原則禁止されています。つまり、EU域内企業は代替等の対応を実施していることになります。
 多くの日本企業は、認可対象候補物質(Candidate List)に関する義務に対応するために、製品含有化学物質情報を把握されていることと思います。今後は、フタル酸エステル類のように、制限によって輸入成形品に対する含有制限が課されることもあり得ることを念頭に置き、必要な場合に代替化に向けた取り組みを開始できるように準備しておくことも必要であると考えます。

(井上 晋一)

1)本コラム(2015年11月27日付)
2)ムスクキシレン
3)MDA
4)フタル酸エステル類の制限提案
5)デンマーク制限提案に対する結論
6)認可対象物質リスト
7)制限に関する検討中の活動
8)制限に関する完了済活動

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当解説は筆者の知見、認識に基づいてのものであり、特定の会社、公式機関の 見解等を代弁するものではありません。法規制解釈のための参考情報です。 法規制の内容は各国の公式文書で確認し、弁護士等の法律専門家に判断によるなど最終的な判断は読者の責任で行ってください。


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