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ここが知りたい REACH規則

コラム

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16.06.03

BPA(ビスフェノールA)の規制動向

BPA(4,4'-isopropylidenediphenol :bisphenol A:CAS No. 80-05-7)に関連する情報がこのところネットで目立つ気がします。質問も来ていますので、情報を整理してみます。
 BPAの健康有害性が着目される切っ掛けが、シーア・コルボーン等の「奪われし未来(原著Our Stolen Future 1996年、邦訳 長尾 力 訳 1997年)」です。「奪われし未来」のなかで、プラスチックのポリカーボネート(PC)からBPAが「しみ出し」ていて、これがエストロゲン(女性ホルモン)類似物質として発見されたことで、有名になりました。
 BPAは内分泌攪乱物質(いわゆる環境ホルモン)として、様々な研究や規制がされてきています。

1. BPAとは

BPAはポリカーボネートやエポキシ樹脂をはじめ、さまざまなプラスチックの合成に使われています。BPAは抗酸化剤、あるいは重合禁止剤としてポリ塩化ビニルの可塑剤として添加されています。
 ネットで話題となっているのが、レシートなどに使用される感熱紙の顕色剤としてBPAが使用されていることです。
 ポリカーボネートやエポキシ樹脂はBPAを原料として重合していますので、理論的にはBPAは存在しません。プラスチックの添加剤や顕色剤はBPAを含有することになります。

2. BPAの分類

EUのC&L Inventory1)では次となっています。
 皮膚感作性 区分1
 重篤な眼損傷性 区分1
 特定標的臓器毒性(単回ばく露) 区分3
 生殖毒性 区分2

3. 規制内容

厚生労働省の「ビスフェノールAについてのQ&A」2)で情報を提供しています。
 用途としては、ポリカーボネートは電気電子機器・機械部品、エポキシ樹脂は金属の防蝕塗装、電気電子部品や土木・接着材等に使われており、一部、食器・容器等にも使用されています。
 また、これらプラスチックには製造過程で反応しなかったビスフェノールAが残留し、微量のビスフェノールAが含まれているとしています。
 日本の食品衛生法では、ポリカーボネート製器具及び容器・包装からのビスフェノールAの溶出試験規格3)を2.5μg/ml(2.5ppm)以下としています。材料中の含有量は500ppm以下としています。
 この根拠として、無毒性量(動物において有害な影響が観察されなかった最大量)を基にして、耐容一日摂取量(食品の消費に伴い摂取される汚染物質に対して人が許容できる量)を0.05mg/kg体重が設定されているとしています。 
 日本の業界では、上記基準より厳しい値の業界基準を定めています。例えば、ポリカーボネート樹脂技術研究会4)では、含有量は250ppm以下としています。
 EUは、「食品と接触することを意図するプラスチック素材及び製品に関する委員会規則」(EU REGULATION 10/2011)5)で、食品接触プラスチック材から食品へ溶出した未反応あるいは不完全に反応したモノマー、他の出発原料、または低分子添加物から生じる可能性を潜在的健康リスクとして規制しています。
 この規則で、BPAはその成分が食品1kgあたりで0.6mg/kgを溶出制限としています。その後、規則321/2011で、ポリカーボネートを12カ月以下の乳児用哺乳瓶の製造に使用することを制限する改正6)をしました。
 フランスでは、2010年6月30日にBPAをベースとした哺乳瓶は食品安全庁が決定するまで製造、輸入を禁止7)としました。
 2015年7月1日から食品との直接接触が意図されているあらゆる梱包、コンテナ、または調理器具の製造、輸入、輸出、販売が制限8)されました。
 アメリカはFDAがBPAに関するリスク評価を行っています。21 CFR part 1779)で、哺乳瓶などに、ポリカーボネートの使用を禁止し、N-ヘプタンによる6時間還流温度での抽出で、0.15重量%以下としています。
 カナダでは、BPAは健康リスクがあるとはしていないものの10)、BPAを含むポリカーボネート製哺乳瓶を2010年10月から制限11)しています。

4. 新たな動き

上記のように、ポリカーボネートは製造過程で反応しなかった微量のビスフェノールAが残留するので、健康に対するリスクは研究中で確定はしていない面もありますが、乳幼児向けの哺乳瓶などが規制対象となっています。
 EU玩具指令が改正され2015年12月21日から、36カ月未満の子供が使用することが意図された玩具または口に入れることを意図したその他の玩具について附属書II付録CでBPAは溶出量が0.1mg/lと制限されました。試験方法はEN 71-10:2005及び EN 71-11:2005です。乳児製品から子供に拡大されました。
 BPAの規制の基本は、食品接触プラスチック材からの食品への移行量(溶出量)です。
2016年2月8日にフランスがCurrent SVHC intentions(SVHCとしての意図)として、BPAを届出12)ました。根拠はCMR/眼損傷としていますが、詳細は示されていません。
 Candidate Listに収載するためには、生殖毒性区分は1Aまたは1Bが要件で、前記のC&L Inventoryでは区分2になっています。
フランスから2014年3月にRAC(The Committee for Risk Assessment)にBPAは区分2から区分1Bにする提案があり、RAC13)も受け入れていました。
 フランスはこれによりSVHCとして届出をしたものです。これにより、Candidate Listに収載される可能性があり、この場合は溶出量ではなく、含有量(0.1%)基準となります。
 このように、規制は科学進歩や状況により変化がおき、技術的データで変化しないと思われているC&L Inventoryの内容も、変わることがあることが示されました。
 なお、RACは2015年12月にレシートなどに使用される感熱紙の顕色剤を扱う作業者管理が適切に管理されていないとして、BPAをREACH規則の制限の提案14)をしました。

(松浦 徹也)

1)http://echa.europa.eu/information-on-chemicals/cl-inventory-database
2)http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/kigu/topics/080707-1.html
3)http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/kigu/dl/4.pdf
4)http://www.polycarbo.gr.jp/howto/howto_03.html
5)http://eur-lex.europa.eu/LexUriServ/LexUriServ.do?uri=OJ:L:2011:012:0001:0089:en:PDF
6)http://eur-lex.europa.eu/LexUriServ/LexUriServ.do?uri=OJ:L:2011:087:0001:0002:EN:PDF
7)https://www.legifrance.gouv.fr/jo_pdf.do?numJO=0&dateJO=20100701&numTexte=1&pageDebut=11857&pageFin=11857
8)https://www.legifrance.gouv.fr/jo_pdf.do?numJO=0&dateJO=20121226&numTexte=2&pageDebut=20395&pageFin=20396
9)https://www.accessdata.fda.gov/scripts/cdrh/cfdocs/cfcfr/CFRSearch.cfm?fr=177.1580
10)http://www.hc-sc.gc.ca/fn-an/securit/packag-emball/bpa/index-eng.php
11)http://healthycanadians.gc.ca/healthy-living-vie-saine/infant-care-soins-bebe/bottles-biberons-eng.php?_ga=1.254444232.1765509230.1464503609
12)http://echa.europa.eu/web/guest/registry-of-current-svhc-intentions
13)http://echa.europa.eu/view-article/-/journal_content/title/rac-proposes-to-strengthen-the-classification-of-bisphenol-a
14)http://echa.europa.eu/view-article/-/journal_content/title/rac-concludes-on-two-restrictions-discusses-applications-for-authorisation-and-adopts-harmonised-classification-and-labelling-opinions

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当解説は筆者の知見、認識に基づいてのものであり、特定の会社、公式機関の 見解等を代弁するものではありません。法規制解釈のための参考情報です。 法規制の内容は各国の公式文書で確認し、弁護士等の法律専門家に判断によるなど最終的な判断は読者の責任で行ってください。


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