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ここが知りたい REACH規則

コラム

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16.05.27

2015年のRAPEX通知の概要 ~年次報告書2015年版より~

EUでは、市場から危険な製品を排除することを目的に、EU委員会を通じた参加国内での迅速な情報交換を行うための「RAPEX」が運用されており、EUの28カ国と欧州経済領域に参加するアイスランド、リヒテンシュタイン、ノルウェーの3カ国を加えた31か国が参加しています。
 年次報告書が毎年公表されており、4月25日に2015年の年次報告書 が公表されましたので、その概要をご紹介します。

1.2015年のRAPEX通知の概要

年次報告書によると、2015年の通知件数は2014年比で13%減の2,123件であり、このうち2,072件が一般消費者に影響を及ぼす製品に関するものであり、残りの51件が専門家または環境等に影響を及ぼす製品に関するものでした。
 次の表はこれらの通知を「製品カテゴリー」「リスク」「原産国」のそれぞれの上位を示したものです。

製品カテゴリー リスク 原産国
第1位 玩具(27%) 化学物質(25%) 中国(香港含む)(62%)
第2位 衣類・繊維製品(17%) けが(22%) EU・EEA(15%)
第3位 自動車(10%) 絞扼(17%) 不明(10%)
第4位 電気製品(9%)(8%) 電気ショック(12%) その他(13%)
第5位 宝飾品(6%) 火災(8%)

製品カテゴリーでは、玩具と衣類・繊維製品が上位であり、両カテゴリーで約半数を占める傾向は前年同様となっています。なお、両カテゴリーともに特に厳しい安全要件が求められている幼児向け製品での通知が多くなっています。なお、第5位が2014年は育児・子供用品でしたが、2015年は宝飾品となっています。
 リスク別に見ると、ここ数年はけがが最多でしたが、ついに2015年は化学物質が最多となりました。これにより、市場監視当局が、消費者向け製品における製品含有化学物質に注力して市場監視を行っていることが示されています。
 次に、原産国別に見ると、これまで同様、EUの最大の輸入国である中国(香港含む)が多くの割合を占めている状況です。EUは中国当局で連携して、中国原産であることが判明した製品については中国当局を通じて、中国の製造者や輸出者に対応を求めていますが、中国内の製造者や輸入者を特定することはいまだ困難な場合が多いとしています。
 なお、日本が原産国であった製品の通知は36件であり、製品カテゴリーで見ると大半を自動車が占めていました。

また、消費者に影響を及ぼす製品に対する是正措置の割合としては、当局が主導して製品回収や販売停止、輸入禁止といった強制措置が63%と最も多く、このうちの8%が税関主導で実施されています。なお残りは、企業が主導する「自主的措置(36%)」、「両者の組み合わせ(2%)」でした。

2.化学物質に関する通知

前述のとおり、2015年は化学物質に起因した通知がリスク別の第1位となり、消費者向け製品における製品含有化学物質への当局の関心の高さが窺えます。
 化学物質に起因する通知における上位の製品カテゴリーは次の通りです。

 第1位:玩具(37%)
 第2位:宝飾品(20%)
 第3位:衣類・繊維製品(13%)
 第4位:化学品(9%)
 第5位:化粧品(8%)

 年次報告書では、化学物質に起因する通知としては、フタル酸エステル類を含有する幼児向け玩具や六価クロムを含有する皮革製品、ニッケル・鉛等の有害重金属を含有する宝飾品などが頻出事例として挙げられています。これらはいずれもREACH規則附属書XVIIによって制限が課され、消費者への健康影響が懸念される物質および製品の組み合わせです。
 また、製品含有化学物質に関する法規制は消費者への健康影響以外にも環境影響を防止することを目的にしているものがあります。これらの法規制違反については、環境影響として化学物質に起因する消費者への健康影響とは別に分類されています。2015年の環境に起因する通知としては、POPs規則が制限する短鎖塩化パラフィン(SCCP)を含有する製品(12件)やRoHS指令が6物質群を含有する製品(8件)をはじめ、包装材指令やFガス規則等の違反事例が挙げられています。

以上、2015年のRAPEX通知に関する概要です。2016年においても現時点で700件を超す通知が公表されており、このうちの20%強が化学物質に起因する消費者への健康影響に関する通知となっています。また、POPs規則やRoHS指令等の環境影響に起因する通知もいくつかあり、例えば、RoHS指令違反として、鉛を含有する充電器やゲームコントローラが挙げられています。

2015年のRAPEXの結果を見ると、消費者向け製品の含有化学物質に対する当局の関心が従来よりも高まっていることがわかります。REACH規則、RoHS指令、POPs規則等で含有制限対象物質が拡大する一途であることからも、今後もその傾向は継続するものと推測されます。

(井上 晋一)

1)欧州委員会 プレスリリース
2)RAPEX年次報告書2015年版

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当解説は筆者の知見、認識に基づいてのものであり、特定の会社、公式機関の 見解等を代弁するものではありません。法規制解釈のための参考情報です。 法規制の内容は各国の公式文書で確認し、弁護士等の法律専門家に判断によるなど最終的な判断は読者の責任で行ってください。


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