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ここが知りたい REACH規則

コラム

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15.11.27

改めて成形品企業にとっての認可を考える

日本の成形品企業は、REACH規則の認可についてはその候補物質である第59条によるCandidate List収載物質(通称SVHC)に対する関心が高く、半年ごとの物質追加対応に追われています。

成形品企業の認可の義務は、「SVHC対応である」としている企業が多いようです。改めて、認可の仕組みを整理して、SVHC対応だけでよいのか考えてみたいと思います。

1.条項による義務の整理(出典:環境省訳1)の部分引用 一部文言修正)
第55条 認可の目的及び代替についての考慮
本篇の目的は、極めて高い懸念のある物質によるリスクが適切に管理され、経済的及び技術的に実用可能であれば、物質が適当な代替物質又は代替技術で代替されることを確保しながら、域内市場が良好に機能することを確実にすることにある。 この目的のため、認可を申請する製造者、輸入者及び川下使用者はすべて、代替の利用可能性を分析し、そのリスクや代替の技術的、経済的実現可能性を考慮しなければならない。

認可は製造者、輸入者及び川下使用者に義務があり、リスク管理が基本となっています。

第56条 一般的な規定(部分)
1.製造者、輸入者又は川下使用者は、物質が附属書XIVに含まれる場合には、以下に掲げる場合を除き、その物質を使用するために上市、又は自ら使用してはならない。
 

(a)物質そのもの若しくは混合物に含まれる物質の用途、又は物質の上市若しくは自らの使用により行われる成形品への物質の組み込みが、第60条から第64条までに従って認可されている場合
(e)物質が上市されている場合には、その用途に関する認可が、サプライチェーンの直下の川下使用者に与えられている場合


2.川下使用者は、物質の用途がその用途に関してサプライチェーンの川上の関係者に与えられた認可の条件に沿っている場合には、第1項に定める基準に該当する物質を使用することができる。

第60条から第64条は、物質の製造者、輸入者及び/又は川下使用者(1つまたは複数の者)による認可の申請とその認可の手順です。
 認可対象物質(附属書XIV収載物質)は、(a)項自ら認可を受けるか、(e)認可要件による2項で川下使用者としての使用ができることになります。

第65条 認可の保持者の義務
認可の保有者及び混合物に含まれる物質を含め第56条(2)に記す川下使用者は、規則1272/2008(CLP規則)を侵害することなく認可された用途に物質又は物質を含む混合物を上市する前に、ラベル上に認可の番号を含めなければならない。このことは、認可番号が第64条(9)に従って一旦公に利用可能となった時点から、遅滞なく実施されなければならない。
第66条 川下使用者
1.第56条(2)に従って物質を使用する川下使用者は、物質の最初の供給から3ヶ月以内に化学物質庁に届け出なければならない。
2.化学物質庁は、第1項に従って届出が行われた川下使用者についての登録簿を作成し、更新しなければならない。化学物質庁は、加盟国の権限のある当局にこの登録簿の利用を認めなければならない。

川下使用者は、ECHAへの届出義務があります。

2.成形品の義務の論点の整理

第56条1項では「その物質を使用するために上市、又は自ら使用してはならない」としています。この義務はEU域内の製造者、輸入者又は川下使用者で、EU域外の日本企業には適用されません。
 ただ、Candidate Listから認可対象物質に特定され、附属書XIVに収載されても、Candidate Listからその物質は削除されません。従って、Candidate List収載物質に関する届出と情報伝達の義務は継続します。
(1)届出の義務

第7条 成形品に含まれる物質の登録及び届出(部分)
2.成形品の生産者又は輸入者はいずれも、以下の二つの条件が満たされる場合であって、物質が第57条の基準を満たし、かつ第59条(1)に従って特定される時は、本条の第4項に従って化学物質庁に届け出なければならない。
(a)物質が成形品の中に生産者又は輸入者当たりで合計して年間1トンを超える量であること
(b)物質が成形品の中に重量比(w/w)0.1%を超える濃度で存在すること

第57条の基準は次です。

  • 発がん性物質  1A 1B
  • 変異原性物質  1A 1B
  • 生殖毒性物質  1A 1B
  • 難分解性・生物蓄積性物質・有害性物質(PBT物質:Persistent,Bio-accumlative,and toxic)
  • 極難分解性物質・極生物蓄積性物質(vPvB Very Persistent and very Bio-accumlative)
  • 内分泌攪乱物質や上記と同等のレベルの懸念物質(equivalent concern)

第59条(1)に従って特定された物質がCandidate List収載物質です。

(2)情報伝達の義務

第33条 成形品に含まれる物質に関する情報伝達の義務
1.第57条の基準に適合し、かつ第59条(1)に基づき特定される物質を重量比(w/w)0.1%を超える濃度で含む成形品のいかなる供給者も、供給者に利用可能ならば、成形品の安全な使用を認めるのに十分な情報(少なくとも物質名を含む。)を、成形品の受領者に対して提供しなければならない。
2.第57条の基準に適合し、かつ第59条(1)に基づき特定される物質を重量比(w/w)0.1%を超える濃度で含む成形品のいかなる供給者も、消費者の求めに応じ、供給者に利用可能ならば、成形品の安全使用を認めるのに十分な情報(少なくとも物質名を含む。)を、消費者に提供しなければならない。
求めを受けてから45 日以内に、無料で関連する情報を提供しなければならない。
3.気になる条項

第58条(附属書XIVへの物質の収載)に次があります。

5.第6項を前提として、附属書XIV に物質が収載された後は、その物質は、附属書XIVに定める固有の特性から生じる物質そのもの若しくは混合物の使用、又は成形品への物質の組み込みから生じる人の健康又は環境に対するリスクを対象とする第VIII篇に述べられる手続きに基づく新たな制限の対象とはしない。
6.附属書XIVに記載されている物質は、成形品に含まれる物質の存在による人の健康又は環境へのリスクを対象とした第VIII篇に述べる手続きに基づく新たな制限の対象となりうる。

わかり難い記述ですが、整理すると、第5項は「附属書XIV収載物質(認可対象物質)は制限(第VIII篇)にはしない」、第6項は「附属書XIV収載物質を含有している成形品により、人の健康又は環境へのリスクが無視できない場合は制限の対象とする」となります。

EU域内企業は、附属書XIV収載物質を使用するにはリスクを管理することが認可要件になっていますので、第6項は通常は起こり得ません。域外で成形品に附属書XIV収載物質を組み込んで、EU域内に上市した場合は、リスク管理が十分にされていない場合があり得ます。

EUで輸入品によるリスクが高まれば、第VIII篇第68条(新規制限の導入および現行制限の修正)で「成形品中の物質の使用または上市に対して新たな制限を採用する」により、附属書XVIIに収載されて制限されます。
 従って、直ちに制限物質になることではありませんが、EU域外企業も認可対象物質を成形品に組み込むことは制限される可能性はあります。

4.認可申請情報

認可対象物質は使わないことに越したことはないのですが、EU域内で第56条2項「川下使用者は、物質の用途がその用途に関してサプライチェーンの川上の関係者に与えられた認可の条件に沿っている場合には、第1項に定める基準に該当する物質を使用することができる」(リスクが管理された状態)を利用することもできます。

認可申請状況はECHAのページで確認できます。認可申請状況はコンサルテーションが進行中のものと意見募集の終わったものの2つがあります。どちらのページでも、確認事項は物質名と使用名(Use Name)で、自社の用途に近いと思えれば、Detailsで内容を確認します。用途等は記述子で記載れています。記述子はCSA(Chemical Safety Assessment)で使用されますが、内容はCSAガイダンス文書(PDF)で確認できます。

(1)進行中案件:Applications for authorisation - current consultations

  • 事例 Consultation Number 0032-02(7社が申請)の要点
  • 三酸化クロム(Chromium trioxide CAS No 1333-82-0(六価クロム))
  • Use Name:六価クロムを使った機能めっき
  • 使用記述子:
  • 使用分野(Sector of use):SU 0
  • 環境放出区分(Environmental Release Category):ERC 6b
  • 加工区分(Process Category): PROC 1, 2, 4, 5, 8a, 8b, 13, 15
  • 製品区分(Product Category): PC 14

詳細はCSAガイダンス文書で確認していただきますが、めっき工場でのクロムめっき用になります。Technical Function(技術事項)で、三酸化クロムはめっき工程で金属クロムとして蓄積させており、六価クロムイオンは残らないとしています。
 EU域内では、7社から購入してクロムめっきができることになります。

(2)意見募集が終わった案件:Adopted opinions and previous consultations on applications for authorization
Consultation Number 0012-10の要点

  • 硫酸モリブデン酸クロム酸鉛(Lead chromate molybdate sulphate red(C.I. Pigment  CAS No 12656-85-8)/ 橙色又は赤色粉末
  • Use Name:産業用(非消費者用)の樹脂混合顔料
  • 使用記述子:
  • 環境放出区分:ERC 5
  • 加工区分: PROC 3, 6, 8a, 8b, 9, 14, 21
  • 製品区分(Product Category): PC 32,34
  • PC32:樹脂調剤(Polymer preparations and compounds)
  • PC34:繊維染料、仕上げ含浸製品(Textile dyes, finishing and impregnating products)

この場合は、EU域外国で認可対象染料を購入し使用してEUに輸出しても、制限物質になったとしても制限される可能性はないと思われます。この点は仮定に仮定を重ねた事例ですので、結論は出ませんが、認可(申請)物質はこのような視点での、その要件を確認しておくことが必要に思えます。

(松浦徹也)

1)
http://www.chemical-net.info/regu_eu_reach.html

当解説は筆者の知見、認識に基づいてのものであり、特定の会社、公式機関の 見解等を代弁するものではありません。法規制解釈のための参考情報です。 法規制の内容は各国の公式文書で確認し、弁護士等の法律専門家に判断によるなど最終的な判断は読者の責任で行ってください。


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