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ここが知りたい REACH規則

コラム

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15.09.04

家庭用品(消費者向け製品)の化学物質規制の潮流

「沈黙の春」(青樹簗一訳、新潮文庫)のなかで、著者レイチェル・カーソンは、「『殺虫剤』と人は言うが、『殺生剤』と言ったほうがふさわしい」(「二 負担に耐えねばならぬ」より)と、塩基性化学品について警鐘を鳴らしました。1962年のことです。
 家庭で広く使われている製品としては、「洗浄剤」「エアゾル製品」「繊維製品」「木材防腐剤及び木材防虫剤」「家庭用接着剤」「家庭用塗料」などで、さまざまな化学品が使われています。

化管法Q&Aでは、「SDS及びラベルの提供先はあくまで事業者であり、一般消費者は提供の対象にはなっておりません」とあり、改正労働安全衛生法第57条2(文書の交付等)でも、「ただし、主として一般消費者の生活の用に供される製品として通知対象物を譲渡し、又は提供する場合については、この限りでない」と文書交付の免除がされています。

しかしながら、GHSの対象者には、消費者、労働者、輸送担当者、緊急時対応職員が含まれるとされています(GHS第1.1.2章 範囲)。ただ、職業的使用者と家庭での使用ではばく露が異なるのでリスク評価方法が異なり、家庭用品の評価手法は、NITE(独立行政法人製品評価技術基盤機構)が「GHS表示のための消費者製品のリスク評価手法のガイダンス」としてまとめています。

GHS の分類及び表示は、消費者製品については現在のところ日本では法律で義務付けられていないこと、また、一般消費者についてはリスクを正しく理解して使用を管理することに難しい面があり、健康リスクの高い特定用途の制限を法規制する傾向にあります。

1.日本
 日本では、「有害物質を含有する家庭用品の規制に関する法律」があります。
一般消費者の生活の用に供される製品について、有害物質の含有を制限するものです。対象となる家庭用品と特定有害物質は、家庭用接着剤、家庭用塗料、家庭用ワックスなどおよび有機水銀化合物などであり、規則で測定方法とともに決められています。

平成27年7月9日に省令が改正され1)、同日に都道府県への通知が出され2)、アゾ化合物(染料)の衣類等への使用が平成28年4月から制限されます。

他に、PSEマークで有名な消費生活用製品による一般消費者の生命または身体に対する危害の防止を図るため、特定製品の製造および販売を規制するとともに、特定保守製品の適切な保守を促進し、併せて製品事故に関する情報の収集及び提供等の措置を講じ、もつて一般消費者の利益を保護することを目的とした「消費生活用製品安全法」があります。

ただ、現時点の同法では化学品の規制は行われていません。

2.韓国

K-REACHと言われる「化学物質の登録及び評価等に関する法律(化評法)」の下位規定として「危険憂慮製品指定及び安全・表示基準」(以下、「基準」)があります。  「危険憂慮製品」は化評法の第2条(定義)16で定義されています。

次の化学製品のうち国民の健康又は環境に危害性があると憂慮され、環境部長官が関係中央行政機関の長との協議を経て告示するものをいう。

  • 清浄剤、芳香剤、接着剤、光沢剤、消臭剤、合成洗剤、漂白剤及び繊維柔軟剤等一般消費者により主に使用される製品
  • 防虫剤、消毒剤、防腐剤等のような、人と動物を除くすべての有害な生物を殺す、若しくは生物の活動を妨害・阻害するのに使用される製品

「危険憂慮製品」は化評法の第33条(製品の危害性評価等)で、環境部長官が評価を行い、第34条(製品の安全表示基準等)で、危険憂慮製品の品目別の危害性等に関する安全・表示基準を定めるとしています。

「基準」の別表1で、危険憂慮製品の種類を指定しています。

(1)洗剤類

  • 洗浄剤
  • 合成洗剤
  • 漂白剤
  • 繊維柔軟剤

(2)コーティング、接着剤類

  • コーティング剤
  • 接着剤

(3)芳香剤類

  • 芳香剤
  • 消臭

「基準」の別表2で制限物質、濃度と試験方法が示されています。  例えば、洗剤類では、含有有害物質の基準は、テトラクロロエチレンは1,000mg/kg以下などが規定され、スプレー型ではポリヘキサメチレングアニジン(PHMG)などが使用禁止になっています。

3.EU

EUでの家庭用品(消費者向け製品)の規制は、GPSD(Directive 2001/95/EC of the European Parliament and of the Council of 3 December 2001 on general product safety:一般製品安全指令)により、生産者は安全な製品のみ流通させる義務(第3条)があります。GPSDは化学物質のリスクも含めています。

化学物質規制はREACH規則とCLP規則で管理されており、例えば日本の「有害物質を含有する家庭用品の規制に関する法律」で新たに規制されるアゾ化合物(染料)はREACH規則の制限物質になっています。

新たな規制がバイオサイド規則で、殺生物製品を対象に規制が行われています。
 「殺生物性製品(biocidal product)」は第3条で次のように定義されています。

使用者に提供される際の性状が物質あるいは混合物であって、意図的に何らかの単なる物理的あるいは機械的な動作以外の手段によって、ある有害な生物を駆除、抑制、無害化、活動の疎外、さもなければ支配的影響力を及ぼすことを目的とした、それが1つ以上の活性物質からなり、それを含む、あるいはそれを発生させるもの。(以下略)

殺生物性製品は、第19条の認可条件を満たす場合に第4条で承認された活性物質を承認要件の製品類型で使うことができます。
 製品類型は附属書Vで次のように定めています。

第1主要グループ:消毒剤
製品類型1 人衛生製品
製品類型2 人または動物への直接施用を意図されていない消毒剤および殺藻剤
製品類型3 動物衛生用製品
製品類型4 食料および飼料分野
製品類型5 飲料水
第2主要グループ:保存剤
製品類型6 貯蔵中の製品のための保存剤
製品類型7 膜保存剤
製品類型8 木材防腐剤
製品類型9 繊維、皮革、ゴムおよび重合物の保存剤
製品類型10 建築材料の保存剤
製品類型11 液体の冷却処理システムのための保存剤
製品類型12 スライム防止剤
製品類型13 加工液または切削液の保存剤
第3主要グループ:有害生物防除
製品類型14~製品類型20
第4主要グループ:その他の殺生物性製品
製品類型21~製品類型22
4.アメリカ

アメリカでは、消費者製品をCPSC(US Consumer Product Safety Commission )により規制しています。
 規制化学物質は、規制、強制規格と禁止令のページ3)で名称と規制法がリストされています。
 また、フタレート類の規制を検討しているようです4)。BBP、DBP、DEHP、DIDP、DINP、DNOPが俎上にあります。

リコール状況が、混合物やワックス、洗剤など製品分類ごとに告示されています。家庭用品の化学物質や塗料、清掃製品もリコール情報ページが用意されています5)
 アメリカは州法でさまざまな規制がされます。

(1)カリフォルニア州
 有毒性物質管理局(DTSC)は、「優先製品作業計画(3-Year Work Plan 2015-17)」で最終版を公表した。

(2)オレゴン州
 子供用製品中の懸念化学物質を規制する法を公布しました。

(3)メイン州
フタレート類4物質(DEHP、DBP、BBP、DEP)を子供用製品中の優先物質に指定しています6)

(4)ミネソタ州
子供用製品および布張り家具への難燃剤を禁止しています7)

家庭用品・消費者向け製品や子供向け製品の化学物質規制は国内外で強化されています。このサイトの読者の皆様は家庭向け化学品の関係者は少ないと推察しています。

今回のコラムで紹介しました家庭用品・消費者向け製品は、電気電子機器の補用品などに使われる可能性のある製品もあります。

家庭用品・消費者向け製品の化学物質規制は、一般製品規制の先行規制とも考えられ、多くの企業にとって参考になると思います。

(松浦 徹也)

1):http://www.nihs.go.jp/mhlw/chemical/katei/PDF/20150709-1.pdf
2):http://wwwhourei.mhlw.go.jp/hourei/doc/hourei/H150709I0010.pdf
3):http://www.cpsc.gov/en/Regulations-Laws--Standards/Regulations-Mandatory-Standards-Bans/
4):http://www.cpsc.gov/Regulations-Laws--Standards/Voluntary-Standards/Topics/Phthalates/
5):http://www.cpsc.gov/en/Taxonomy/Products/Home-Appliances-Maintenance-and-Structures/Household-Chemicals-and-Paint-and-Cleaning-Products/
6):http://www.maine.gov/dep/sustainability/rules/index.html
7):https://www.revisor.mn.gov/bills/bill.php?f=SF1215&y=2015&ssn=0&b=senate

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当解説は筆者の知見、認識に基づいてのものであり、特定の会社、公式機関の 見解等を代弁するものではありません。法規制解釈のための参考情報です。 法規制の内容は各国の公式文書で確認し、弁護士等の法律専門家に判断によるなど最終的な判断は読者の責任で行ってください。


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