本文とサイドメニューへジャンプするためのナビゲーションスキップです。

スタートアップガイド

J-Net21 中小企業ビジネス支援サイト

  • J-Net21とは
  • スタートアップガイド
中小機構
  • メルマガ登録
  • RSS一覧
  • お問い合わせ

HOME > 経営をよくする > ここが知りたいREACH規則

ここが知りたい REACH規則

コラム

REACH検索

15.07.31

ドイツの報告書 輸入成形品に対するREACH規則要件の強化

最近取り上げたコラム(「成形品中のSVHC濃度判定時の分母に関する欧州司法裁判所法務官の意見」、「「REACH規則とRoHS指令の共通の理解」について」、「ECHAの執行情報交換フォーラムの取組み」で、成形品にかかわる解釈や執行監視等を取り上げました。

今回は、2015年4月にドイツ連邦環境庁(UBA)が公表した「輸入成形品に対するREACH規則の強化」と題した報告書について、その概要を紹介します。

現状、REACH規則の認可では、輸入成形品が対象外となっているため、輸入成形品中に含まれる物質がSVHCから認可対象物質となったとしても、EU域外の成形品への直接的な影響はありません。

しかしながら、UBAは、同じ成形品を製造するEU域内企業とEU域外企業で認可対象物質の使用に差があることについて、「REACH規則には、輸入成形品中の有害化学物質の規制において欠陥がある」と指摘し、大きく次の2点についての調査結果が示されています。

1.輸入成形品に認可要件を拡大することについて

UBAは、輸入成形品に対する認可要件の拡大について次の2つの規制オプションを比較しています。

  • 認可の一般規定を定めたREACH規則第56条1項を修正し、成形品に含有する認可対象物質の輸入を対象とする認可手続きを修正するアプローチ
  • 日没日を経過した認可対象物質については、成形品への使用による健康や環境への影響を検討し、リスクが適切に管理されていない場合には、制限提案文書を作成することがECHAに義務付けたREACH規則第69条2項に基づく制限アプローチ

両規制オプションを比較した結果、制限アプローチは日没日以降に検討・制限手続きを行うため、制限が課されるまでに時間がかかることや、成形品中の認可対象物質に関する認可申請ができないことなどの理由から、認可手続きを修正するアプローチを取りあげ、その場合の国際貿易法との整合について各種の検討が行われています。
 その結果、輸入成形品への認可要件の拡大は、国際貿易法上、問題ないものと結論づけています。

2.成形品中のSVHCの届出や情報伝達における改善策について

REACH規則による成形品中のSVHCに対する各義務で、現状の課題や対応するための7つの規制オプションを提示しています。

  • REACH規則第33条による情報伝達義務について サプライチェーンを通じて川下ユーザーに提供する「安全や使用に関する十分な情報」がどのような情報か明確に定義されていないことや、消費者からの情報提供要請に対して、SVHCが0.1wt%以下であれば、企業は提供義務がないため、企業から回答がない場合に、SVHCが含有されていないのか、情報提供要請に対応していないのか判断がつかないなどの課題を挙げ、次のような規制オプションが提案されています。
    • 成形品中のSVHCの情報伝達における標準フォーマットの導入
    • 成形品中のSVHC含有を示すラベルの導入
    • CMR物質などSVHCの基準を満たす他の化学物質への情報伝達義務の適用拡大
  • REACH規則第7条による登録および届出義務について 成形品中の意図的放出物質に関する登録やSVHCの届出については、当該用途についてすでに登録されている場合には適用が除外されます。しかしながら、成形品の製造者、輸入者が当該物質の用途が登録されていることを確認することが困難であるため、すでに物質が登録されていれば、一般的に成形品中の用途も登録されているものとみなしている可能性があることや、用途記述のわかりにくさ等を指摘し、次のような規制オプションを提案しています。
    • 非意図的放出物質への登録義務の拡大
    • 物質登録時の成形品中の用途に関する情報要件の明確化
  • SVHCの義務要件である0.1wt%の分母の明確化 これは、0.1wt%を算出する際の分母を複合成形品全体ではなく、個別の成形品単位にする内容であり、以前のコラムでも取り上げた欧州司法裁判所法務官の意見についても言及されています。
    • 情報伝達や届出義務の要件となっている0.1wt%の判定は複合成形品ではなく、個別の成形品単位とすること
  • SVHC含有成形品に対する登録制度の新設 現状、SVHCを含有する具体的な成形品の情報について、消費者や当局、製造者が十分にアクセスできていないことや、各国における製品登録やRoHS指令等の特定製品規制などとの報告義務の重複防止などを理由に挙げています。
    • SVHC含有成形品の登録制度の新設

本報告書は、EUの一加盟国当局であるUBAの見解であり、輸出成形品に対する認可要件の拡大はもとより、成形品のSVHC関連義務の改善で提示された各規制オプションにおいても、多くはREACH規則の条文の改正が必要となる内容です。そのため、仮にこれらの規制が欧州委員会等で検討されるとしても、相応の議論と時間が必要であり、すぐにこれらの規制が実現するわけではありません。

しかしながら、日本企業にとっても関心の高い成形品に関する内容として、加盟国当局が考える課題認識や規制オプション案を知ることは、今後のREACH規則への対応において参考になるものであり、SVHCの追加等の1つひとつの動きとともに、視野を広げて大局を把握することも重要であると考えます。

(井上 晋一)

中小企業の方を対象として、海外ビジネスに関する質問を無料で受け付けています。
中小機構「中小企業国際化支援アドバイス

当解説は筆者の知見、認識に基づいてのものであり、特定の会社、公式機関の 見解等を代弁するものではありません。法規制解釈のための参考情報です。 法規制の内容は各国の公式文書で確認し、弁護士等の法律専門家に判断によるなど最終的な判断は読者の責任で行ってください。


このページの先頭へ