本文とサイドメニューへジャンプするためのナビゲーションスキップです。

スタートアップガイド

J-Net21 中小企業ビジネス支援サイト

  • J-Net21とは
  • スタートアップガイド
中小機構
  • メルマガ登録
  • RSS一覧
  • お問い合わせ

HOME > 経営をよくする > ここが知りたいREACH規則

ここが知りたい REACH規則

コラム

REACH検索

14.09.19

REACH規則の制限手続きと国内法-デンマークのフタル酸エステル類規制等-

「ここが知りたいREACH規則」のコラムおよびQ&Aで何度か取り上げられたデンマークの国内法である「室内で使用される特定フタル酸エステルの含有制限を定めた政令」ですが、デンマーク環境保護庁(EPA)は2014年7月1日に同政令を撤回することを発表しました1)
 また、これに関連して欧州委員会(EC)は、8月に「4種のフタル酸エステル類の制限手続きの最終化に関する報告」を官報公示しました。
 本コラムでは改めて両者の関連を整理します。

1.これまでの経緯

デンマークとEU当局における4種のフタル酸エステル類に関するこれまでの経緯は以下の通りです。

年月 デンマーク ECおよび欧州化学物質庁(ECHA)
2011年4月 4種のフタル酸エステル類に関するREACH規則附属書XVII収載提案を提出  
2011年5月 国内法を制定する意向を表明  
2012年3月 「室内で使用される特定フタル酸エステルの含有制限を定めた政令」案を欧州委員会(EC)に提出  
2012年6月   ECHAのリスク評価委員会(RAC)は4物質の複合暴露リスクが現時点では認められないとする意見を採択
2012年12月 「室内で使用される特定フタル酸エステルの含有制限を定めた政令」を公布(2013年12月1日施行) ECHAの社会経済性分析委員会(SEAC)はRACの意見をもとに制限提案の十分な根拠がないと結論。その後ECHAが欧州委員会にRACおよびSEACの意見を提出
2013年4月 輸入成形品中の4種のフタル酸エステル類に関する追加情報等をECに提出  
2013年5月 政令施行日を2年延期(2013年12月1日から2015年12月1日へ)  
2014年7月 政令の撤回を発表  
2014年8月   ECが「4種のフタル酸エステル類の制限手続きの最終結論に関する報告」を官報公示
2.REACH規則の制限手続きと国内法

デンマークは、EUで統一した化学物質規制の役割を持つREACH規則で制限提案を行うとともに、REACH規則の制限手続きと並行して国内法の制定意向を表明し、国内法を公布しましたが、提出していた制限提案についてECHAの各専門委員会からREACH規則で制限する十分な科学的証拠がないとする否定的な意見が示されました。

その後もデンマークは国内法の施行を目指していましたが、欧州委員会(EC)が、デンマークの国内法がEUのルールに反すると判断したことや、EU司法裁判所がフィンランドに対してREACH規則の制限手続きの結論に反する独自の国内法を制定することはできないとした判決を受け、同政令を撤回するに至りました。

また、ECが8月に官報公示した「4種のフタル酸エステル類の制限手続きの最終結論に関する報告」では、REACH規則の制限手続きが行われた化学物質について、その製造や使用、上市の禁止はREACH規則に基づいてEU域内で共通化されるものであり、一度制限手続きが最終化されれば、加盟国が最終化されたEUレベルでの決定と異なった国内法の継続や新設はできないと結論付けています。

なお、今回対象となった4種のフタル酸エステル類以外のフタル酸エステル類に対する懸念や、4種のフタル酸エステル類のリスクを示す新たな科学的証拠が示された場合には、新たな制限手続きを実施することは可能としています。

3.フタル酸エステル類に関する他地域の情報

EUではデンマークのフタル酸エステル規制は撤回されましたが、一方、米国で子供向け製品中のフタル酸エステル類を規制する消費者製品安全改善法(CPSIA)の強化に向けた動きが見られます。

3月には議会上院に、既存のCPSIAを改訂し、現在子供向けの玩具や育児用品に限定されているフタル酸エステル類の含有制限を12歳以下の子供向け製品に拡大する等、規制を強化する法案が提出されました。

また、CPSIAでは、消費者製品安全委員会(CPSC)に対して専門委員会を設置し、既存の規制対象以外のフタル酸エステル類の制限要否について調査・勧告することが定められており、7月に公表された専門委員会の報告書では、新たに5種のフタル酸エステル類(DIBP、DPENP、DHEXP、DCHP、DIOP)を規制対象とすること等が勧告されました。

フタル酸エステル類については、そのリスクについて各種意見があるものの、REACH規則のSVHC、認可対象物質、制限対象物質、RoHS指令の制限対象物質追加候補、CPSIA強化の動き等、その対象は拡大される傾向にあるのが現状です。
 上記のような法規制の制定や改廃等の動向に都度対応するのではなく、「自社製品のなかに何が入っているのか」「その物質はお客さまに害を与えないのか」といった顧客満足を目指す方針に基づき、効果的・効率的に対応できる仕組みがますます必要となっていると考えます。

1)http://mst.dk/service/nyheder/nyhedsarkiv/2014/jul/forbud-mod-fire-ftalater-ophaeves/

(井上 晋一)

中小企業の方を対象として、海外ビジネスに関する質問を無料で受け付けています。
中小機構「中小企業国際化支援アドバイス

当解説は筆者の知見、認識に基づいてのものであり、特定の会社、公式機関の 見解等を代弁するものではありません。法規制解釈のための参考情報です。 法規制の内容は各国の公式文書で確認し、弁護士等の法律専門家に判断によるなど最終的な判断は読者の責任で行ってください。


このページの先頭へ