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ここが知りたい REACH規則

コラム

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14.02.21

海外法規制の基礎解説その2~WEEE指令、RoHS指令やREACH規則などの関係整理~

前回に続き、海外法規制の基礎を解説します。

最近、WEEE指令、RoHS指令やREACH規則に関する基礎的な質問を多く受けます。新たに化学物質規制法対応の担当になった、あるいは法規制の変更が目まぐるしく対応を分担化したので担当外について知識を整理したいなどさまざまな状況があるようです。
 企業の順法活動は、特定の規制対応が100点で、他の規制がゼロ点であれば企業責任が問われます。順法活動は足し算ではなく掛け算で、どれかがゼロ点であれば結果はゼロ点です。 WEEE指令、RoHS指令やREACH規則などの対応は、すべてについて満点を狙うのではなく、まずは60点の合格点を狙うのが基本となります。諸法規制対応を効率的に行うには、共通項を探し関連事項を整理して、それら手掛かりに対応策を組み立てていくことが推奨されます。

1.WEEE指令とRoHS指令の理念の共通性

WEEE指令の目的は、第1条(主題)で「本指令は、廃電気電子機器の発生及びマネジメントの悪影響を防止または低減させることにより、また資源の総合的影響を低減し、指令2008/98/ECの第1条および第4条に従って、資源使用の効率を改善することによって環境と人の健康を保護し、持続的発展に貢献する施策を定める」としています。
 指令2008/98/EC(廃棄物に関する閣僚理事会指令)の第1条(主題)は、WEEE指令では「廃電気電子機器」ですが、指令2008/98/ECでは「廃棄物」と対象とした広がりがありますが同じ文言になっています。

指令2008/98/ECの第4条(廃棄物階層)は、廃棄物階層を優先順位として次を適用しています。

  • 発生抑制
  • 再使用のための準備
  • 再生利用
  • その他の再生(エネルギー回収)
  • 廃棄

WEEE指令もこれを受けて、第4条(製品設計)で、ErP指令(2009/125/EC)を考慮しつつも、廃電気電子機器の発生抑制が最優先とする環境配慮設計を要求しています。

WEEE指令の主題の理念は、前文第5文節に示されています。
 「市場は拡大し続け、技術革新のサイクルが一層短期化するにつれて、機器の更新が加速されて、電気電子機器は急速に増加する廃棄物源となっている。
 指令2002/95/EC(RoHS(I)指令)は新しい電気電子機器に含まれる危険物質の削減に効果的に貢献している一方で、水銀、カドミウム、鉛、六価クロム、ポリ塩化ビフェニール(PCBs)およびオゾン層破壊物質のような危険物質は、長年にわたり廃電気電子機器の中に存在するであろう。電気電子機器に含有する危険物質は、廃棄物マネジメント段階における最大の懸念事項であり、廃電気電子機器の再生利用は十分に行われていない。再生利用が進まなければ価値ある資源の損失となる」

WEEE指令が検討されていた1990年後半では、EUの域内での廃電気電子機器の量は、20kg/年・1人で、急増していました。処分場周辺の汚染や処分廃棄物の経年変化で埋立地の鉛の40%、焼却施設の鉛の50%は廃電気電子機器に起因すると言われていました。
 RoHS指令の目的は第1条(主題)で「この指令は、人の健康と環境に優しい回復と廃電気電子機器の処分を含む環境保護に貢献するという視点から、電気電子機器で使用する有害物質の使用を制限する規則を定める」としています。
 RoHS指令は使用段階だけでなく廃電気電子の段階を考慮して有害物質の使用制限をしています。
 RoHS指令の第4条により附属書IIで、制限物質および均質材料当たりで許容される最大許容重量比濃度(wt%)が示されています。

  • 鉛(0.1%)
  • 水銀(0.1%)
  • カドミウム(0.01%)
  • 六価クロム(0.1%)
  • ポリ臭素化ビフェニル(0.1%)
  • ポリ臭素化ジフェニルエーテル(0.1%)

カドミウムが0.01wt%(100ppm)ですが、他の5物質は0.1wt%(1,000ppm)となっています。100ppmと1,000ppmの差異の背景が前文に示されています。

前文第5文節:「カドミウムによる環境汚染と戦うための共同体行動計画に関する1988年1月25日の理事会決議(OJC30, 4.2.1988, p.1.)」は、欧州委員会に遅滞なくそのような計画に関する特別措置の策定を遂行することを求めている。人の健康もまた保護されなければならないことから、それ故に特にカドミウムの使用を制限し代替の研究を促進する総合的な戦略が実施すべきである。決議は、カドミウムの使用は適当な代替が存在しない場合に制限さるべきであることを強調している」

前文第7文節:「利用可能な証拠は2003年1月27日の欧州議会と理事会の指令2002/96/EC〔WEEE(I)指令〕に規定されているように廃電気電子機器の回収、処理、再生利用および廃棄に関する措置は重金属と難燃剤に関連する廃棄管理問題を減少することが必要であることを示している。しかしながら、そのような措置にも関わらず、廃電気電子機器の重要部品は共同体の域外もしくは域内の現行の廃棄物ルートに継続的に見いだされる。たとえ廃電気電子機器が分別回収され再生利用工程に回されても水銀、カドミウム、鉛、六価クロム、ポリ臭素化ビフェニル(PBB)およびポリ臭素化ジフェニルエーテルは特に適切な条件以下で処理される時は健康又は環境に対するリスクを及ぼす恐れがある」

RoHS指令が廃棄段階も含めて規制することのイメージがホームページの写真です。
 RoHS指令のページの不法投棄されているテレビの写真はWEEE指令のページでも使われています。
 RoHS指令は廃棄後の有害物質を考慮しますので、長期間にわたり分解しないような物質が特に規制対象となります。

2.RoHS指令とREACH規則の理念の共通性
 RoHS指令の主題(第1条)の背景は、前文第4条で「2008年11月19日の欧州議会と理事会の廃棄物に関する指令2008/98/ECは、廃棄物法において予防を最優先に定めている。予防は、特に材料と製品中の有害物質の含有量を減少するための措置として定義されている」です。関連して、前文第15文節で「重金属とPBDE及びPBBを用いないで電気電子機器の技術開発を考慮に入れるべきである」としています。

環境配慮設計を要求する一方で、前文第17文節で「この指令は健康と環境に悪影響を及ぼさず、持続可能で経済的に実行可能である再生可能エネルギー技術の開発を妨げるものであってはならない」として、第2条(適用範囲)で太陽電池パネルが適用外となっています。このように、規制は他の法規制や政策の優先度などによって定められています。
 RoHS指令は第4条(予防)の有害物質の含有量の減少が目的です。有害物質は附属書IIに収載されている6物質や追加の優先評価56物質だけでなく、広い理念を持っています。
 化学物質はREACH規則やCLP規則で評価されます。REACH規則の目的(第1条)は「人の健康及び環境の高レベルの保護」があります。REACH規則は化学物質や混合物だけでなく、成形品(アーティクル)に対する要求も多くあります。
 前文第75文節で「発がん性、変異原性又は生殖毒性に分類される区分1又は区分2の物質については、一般消費者によるそれらの物質の使用又は混合物に含まれるそれらの物質の使用に関する上市及び使用の制限を、引き続き導入すべきである」(引用:環境省訳)としています。

さらに、前文第86文節で「物質そのもの、混合物又は成形品に含まれる物質の製造・上市又は使用からの人の健康及び環境に対する高いレベルの保護を確保するために必要とされる適切なリスク管理措置を特定することは、製造者、輸入者及び川下使用者(工業的または職業的使用者)の責任であるべきである。しかし、それが不十分と考えられる場合や、欧州共同体の法規が正当化される場合には、適切な制限が定められるべきである」(引用:環境省訳)としています。

RoHS指令の前文第10文節で「この指令の附属書は特に、REACH規則の附属書XIV(認可)及びXVII(制限)を考慮するために、定期的に見直しされなければならない」としています。
 RoHS指令の附属書II(規制物質と最大許容濃度)の追加は、REACH規則前文第86文節とRoHS指令前文第10文節で方向性が見えてきます。
 発がん性、変異原性または生殖毒性に分類される区分1また又は区分2(現在は区分1a、1b)の物質は、成形品には含有させてはならないことになりますが、これら物質はREACH規則第59条によるCandidateListに区分があり、CLP規則のデータベースにも記載されています。 CLP規則のインベントリに収載された発がん性、変異原性または生殖毒性がすべてRoHS指令の附属書IIに収載されないのは、前述の前文第86文節にある「適切なリスク管理措置を特定することは製造者の責任」であり、「それが不十分な場合に制限する」にあります。
 日本では法規制順守が優先事項ですが、EUではこのように企業の自主的取組みを優先させています。

3.CLP規則、REACH規則とWEEE指令の理念の共通性
 WEEE指令の第14条(使用者への情報)2項(d)で「電気電子機器に危険物質が存在ことによる環境及び人の健康に関する潜在的な影響」情報を使用者に提供することを求めています。さらに、第15条(処理施設に関する情報)で「この指令の規定を遵守するために再使用のための準備を行うセンターや処理およびリサイクル施設によって必要とされる限りにおいて、様々な電気電子機器の構成部品と材料や電気電子機器内の危険物質および混合物の場所を識別できる」情報を提供することが要求されています。
 WEEE指令の第3条(用語の定義)で、「有害廃棄物」は、指令2008/98/EC(廃棄物に関する閣僚理事会指令)の第3条(用語の定義)を適用するとしています。指令2008/98/ECの定義では、「有害廃棄物」は附属書IIIの有害特性を有する廃棄物としています。

附属書IIIでは「爆発性」「可燃性」などの物理的性状だけでなく、「発がん性」「変異原性」「生殖毒性」や「感作性」などが示されています。これら分類は物質については指令67/548/EECの附属書VIの基準、混合物については指令1999/45/ECによるとしています。
 指令67/548/EECおよび指令1999/45/ECは、現在はCLP規則に統合(混合物は一部移行中)されています。WEEE指令の義務もCLP規則のインベントリによることになります。

REACH規則の第33条(成形品中の物質に関する情報伝達義務)では、「CandidateList収載物質を重量比0.1wt%を超える濃度で含む成形品のいかなる供給者も、消費者の求めに応じ、供給者に利用可能ならば、成形品の安全使用を認めるのに十分な情報(少なくとも物質名を含む。)を、45日以内に消費者に提供しなければならない」((引用:環境省訳)としています。CandidateList収載物質は半年ごとに追加されますので、日本企業はその対応に追われています。
 REACH規則の第33条の義務もREACH規則前文第86文節の理念により運用されます。CandidateListを待つまでもなく、CLP規則のインベントリを頼りに企業責任として対応が求められています。
 企業対応は自主的とはいえ、「適切なリスク管理措置を特定する」ことの基準がないままの状態で取り組みをすることになります。この取組みはデューディリジェンス(Duediligence)として評価されます。

4.まとめ
 WEEE指令、RoHS指令やREACH規則などの関係を整理してみました。EUの法規制は、他の法規制が規制していない部分について矛盾しない形で規制します。各法規制を単独で解釈あるいは対応するのではなく、関連法規制を考慮することで、結果的に効率的な対応になります。
 よく言われている「点の対応から線の対応」となります。

(松浦 徹也)

参考文献:改正RoHS和訳 有限会社イーアイイー 瀧山森雄 2012年10月18日
       改正WEEE和訳 有限会社イーアイイー 瀧山森雄 2012年10月18日

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当解説は筆者の知見、認識に基づいてのものであり、特定の会社、公式機関の 見解等を代弁するものではありません。法規制解釈のための参考情報です。 法規制の内容は各国の公式文書で確認し、弁護士等の法律専門家に判断によるなど最終的な判断は読者の責任で行ってください。


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