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ここが知りたい REACH規則

コラム

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13.04.12

REACHにまつわる最近のニュースから(37)-1,2-ジクロロプロパンの胆管がん事件から思うこと-

GHS基準による分類・表示はすでに多くの国において導入され、その対応が求められています。しかし、物質の分類は企業に任されている場合が多く、国際的には物質の分類は統一されていません。
 EU地域へ出荷する場合は、CLP規則の附属書VIの表3に調和された分類として収載された物質の危険有害性の分類・区分は、それを使わなければなりません。しかし、それ以外の危険有害性については、もしデータがあればそれに従い分類することが必要になります。
 CLP規則では、REACH規則で未登録の物質も、危険有害性の物質や混合物が危険有害性となる場合、その分類に関わる混合物中の物質の分類・表示を届け出る必要があります(CLP規則第40条)。届出された物質の分類・表示は、登録された物質の分類・表示と共に「C&L Inventory」(以下、インベントリー)として、ECHAのホームページに公表されています。
 このインベントリーには同じ物質について複数の届出がされている場合、これらの分類・表示のすべてのデータが公開されています。分類・表示が異なる場合には、これらの届出者や登録者は1つの合意された分類・表示になるように努力することが求められています(CLP規則第41条)。すなわち、EU域内で流通する化学品については、GHS基準に従って分類することを目的としていますが、インベントリーに収載されている同じ物質の異なる分類・表示を同じにする努力が行われているかの情報については、まだ把握できていません。
 他方、わが国においては、NITEで提供されている分類を参考に企業が分類することになります。中国においては、危険化学品管理弁法で「危険化学品目録」が公布されることになっています。この目録には、物質についてGHS分類のデータが付されるとの情報があります。
 このような状況から、企業ではGHS対応のSDSやラベルの分類をどのようにすればよいのかに関心が高いようです。

先般の印刷工場で発生した1,2-ジクロロプロパンによる胆管がん事件のニュースを聞くたびに、化学物質の危険有害性の情報伝達の難しさを実感します。

1,2-ジクロロプロパンのGHSの分類結果の例を表にまとめました。
 EUのインベントリーには、調和された分類(CLP規則附属書VI表3.1に収載データ)と届出による分類・表示データから引用しています。NITEのホームページで提供されているデータは、平成18年度に行われたGHS関係省庁連絡会議事業の分類と平成20年度に行われた厚生労働省の委託事業の分類です。

EUのインベントリーでは、調和された分類では引火性液体、急性毒性と眼刺激性の3種の危険有害性だけの分類です。届出は、届出者1からグループの調和された分類だけの分類以外に、急性毒性の区分を一段厳しくしている分類、眼刺激性の分類をしている届出者があります。印刷工場で問題になっている発がん性については、届出は1件だけになっています。
 他方、わが国の分類は、EUの届出に比べて多くの有害性の分類が採用されています。
 今回問題になっている発がん性については、平成18年の事業では採用されていませんでしたが、厚生労働省の平成20年度の事業では発がん性の分類が採用されています。また、今回の事件は高濃度暴露による発症との報道もありますが、標的臓器の反復暴露でも有害性の分類が採用されていることから、低濃度であっても長期にわたっての暴露の場合にも何らかの障害が出る可能性が考えられることになります。

EU C&Lインベントリー NITE提供資料1)
調和された
分類
附属書VI 
表3.1
届出者グループ1 届出者グループ2 届出者グループ3 届出者グループ4 平成18年度
関係省庁連絡会議事業
平成20年度
厚生労働省事業
引火性液体 区分2
急性毒性(経口)区分4 -
急性毒性(吸入)区分4 - - - -
急性毒性(経口)区分3 - - - - - -
急性毒性(吸入)区分3 - - - - -
眼刺激性 区分2 - - - -
皮膚刺激性 区分2 - - - - -
皮膚感作性 区分1 - - - - -
発がん性 区分2 - - - - -
生殖毒性 区分2 - - - - -
標的臓器(単回)区分1
標的臓器(反復)区分1

注)○分類されている -分類されていない

このようなデータからしますと、1,2-ジクロロプロパンのGHS分類は厚生労働省の平成20年度事業の結果を採用することが必要と考えます。EU出荷する場合には、CLP規則の調和された分類を使えば、REACH規則、CLP規則を最低限遵守していることにはなりますが、やはり厚生労働省の平成20年度事業の結果を採用することが望ましいと考えます。

なお、厚生労働省からは平成25年3月14日付けで、『「印刷事業場で発生した胆管がんの業務上外に関する検討会」の報告書及び今後の対応について』として、今後、化学物質の暴露露防止対策の強化のために、有機溶剤中毒予防規則に基づく暴露防止措置の遵守の徹底、今夏をめどに特定化学物質障害予防規則等の改正を旨の報道発表がされています3)。

1)http://www.safe.nite.go.jp/ghs/ghs_index.html

(林 譲)

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当解説は筆者の知見、認識に基づいてのものであり、特定の会社、公式機関の 見解等を代弁するものではありません。法規制解釈のための参考情報です。 法規制の内容は各国の公式文書で確認し、弁護士等の法律専門家に判断によるなど最終的な判断は読者の責任で行ってください。


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