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HOME > 経営をよくする > ここが知りたいREACH規則

ここが知りたい REACH規則

コラム

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13.04.05

玩具の規制(2)

2013年3月15日付けコラムで、改正玩具指令1)、2)の改正背景などを説明しました。今回は、含有化学物質規制の主要義務を中心に説明します。

1.対象

玩具指令が対象とする玩具は「14歳未満の年齢の子供が遊びの中で使用するように設計されてまたは意図した製品」で、公共利用を意図した遊具やおもちゃの内燃機関式自動車などは適用されません。
 対象となる玩具はグレーなものが多くありますので、附属書Iに玩具指令では玩具とみなさない製品リストが示されています。対象外リストは「祭典や慶事装飾物」「収集家用製品」など19項が記載されています。

 
2.経済事業者の義務

玩具指令は第II章に経済事業者(製造者、代理人、輸入者および流通業者)のそれぞれの義務を示しています。経済事業者の業務により義務は違ってきますが、基本的義務は製造者の義務です。

(1)製造者の義務(第4条)の要旨
  • i. 製造者は玩具を上市するとき、玩具が第10条(必須安全要求事項)および附属書II(特別安全要求事項)に定める要求事項に従って設計および製造されていることを確実にしなくてはなりません。
  • ii. 製造者は第21条(技術文書)に従って要求される技術文書(TD)を作成し、第19条(適用可能な適合性評価手順)に従って適用可能な適合性評価手順を実施する、または実施させなくてはなりません。
  •  適用される要求事項に対する玩具の適合が適合性評価手順によって証明される場合は、第15条による適合宣言書(DoC:第10条および附属書IIへの適合への明示)を作成し、第17条によるCEマーキングを貼付します。
  • iii. TDおよびDoCは上市後10年間保管する義務があります。
  • iv. 適合を維持するために量産手順を整備し、整合規格の変更を適切に考慮しなくてはなりません。ISO9001品質マネジメントシステムがベースとなった要求です。

玩具によるリスクにより「上市した玩具の抜き取り試験の実施」「苦情、不適合玩具およびリコール記録の保持」「流通業者への監視内容の通知」などを行ことが要求されます。

  • v. 玩具の識別のための型式、ロット番号またはモデル番号あるいは他の要素を貼付しなくてはなりません。
  • vi. 名前、商号または登録商標および住所(製造者に連絡可能な1個所)を玩具の上に、不可能な場合は玩具の包装または添付文書に明示しなくてはなりません。
  • vii. 玩具に当該加盟国の定める消費者が容易に理解できる言語で取扱説明書および安全情報を付けなくてはなりません。

なお、EU全体としての公用語はブルガリア語、チェコ語、デンマーク語など3言語ですが、加盟各国のそれぞれの公用語はベルギーではオランダ語、フランス語およびドイツ語など複数が指定されています。

  • viii. 不適合玩具は適合させる、回収する、リコールするなどの是正処置を直ちにとらなくてはなりません。
  • ix. 所管官庁からの要請で適合証明の情報、文書を当局が容易に理解できる言語で提出しなくてはなりません。

(2)第10条(必須安全要求事項)の要求事項

安全要求事項は一般安全要求事項と附属書IIの必須安全要求事項に適合させなくてはなりません。

  • 一般安全要求事項
     玩具は含有する化学物質を含めて、所定の用途、または、子供の通常の行動を想定し、予見できる方法で使用されたときに、使用者または第三者の安全や健康を脅かしてなりません。
     36カ月未満の子供または他の特定の年齢層によって使用されることを意図した玩具に関しては、使用者やその保護者の能力を特に考慮しなくてはなりません。
     なお、一般製品安全指令(指令92/59/EEC*3)により、特定の製品に関し、その安全性を規定する特別の規則が欧州共同体法規に存在しない場合は、消費者による使用を目的とする全ての製品や消費者による使用が常識的に予想される製品などが安全であることを保障することが求められています。指令92/59/EECでは、製造者に、リスクが一目瞭然ではなく、そのリスクに対し充分な警告が必要な場合には、消費者の使用期間中に発生し得るリスクを評価し、そのリスクに対し予防措置をとることができるように、生産者はその業務活動の範囲内で、関連情報を消費者に提供するなどの義務を課しています。
  • 必須安全要求事項(強制事項)
     附属書IIは「物理的および機械的特性」「可燃性」「化学的特性」「電気的特性」「衛生」「放射能」の6パートについて要求しています。
     パート3の化学的特性は、子供の通常の行動から予見できる方法で使用されたときに、含有化学物質(混合物を含む)にばく露されることによる人の健康に悪影響やリスクがないように設計及び製造することを求めています。
     化学的特性の要求は、玩具指令とともに、指令67/548/EEC(危険物質指令)、指令1999/45/EC(危険調剤指令)や規則1272/2008(CLP規則)にも適合することを要求しています。

含有が制限される物質は次です。

  • CLP規則によるCMR(発がん性・変異原性・生殖毒性)物質として1Aまたは1Bとして分類された物質は使用が制限されます。CLP規則は指令67/548/EECと指令1999/45/ECを統合した規則ですが、2015年までの移行期間中の特例が附録Bに記述されています。
  • 36カ月未満の子供が使用することを意図した製品または口に入れることを意図した玩具での移行量(migration:玩具から口への移動する量)について、ニトロソアミン(N-nitrosamines)は0.05mg/kg以上、ニトロソ化可能物質(N-nitrosatable substances)について1mg/kg以上の場合に制限されます。フィンガーペイント(Finger paints)ではニトロソアミンは0.02mg/kg、ニトロソ化可能物質は1mg/kgで制限されます。
  • アレルギー性香料(オグルマのオイル(土木香根のオイル) CAS No 97676-35-2)など55物質について100mg/kgを超えて含有させてはなりません。
  • アニスアルコール(CAS No 105-13-5)など11物質について、玩具または構成部品に100mg/kgを超えて含有する場合は、玩具、玩具に取り付けられるラベル、包装、またが玩具のリーフレットに列記しなくてなりません。
  • 移行量の閾値が定められた重金属物質は8重金属から17元素19項目に拡大され、2013年7月20日以降適用されます。移行量の閾値は別項の整合規格で測定します。
No 元素・項目 移行濃度(mg/kg)
区分1 区分2 区分3
1 aluminium(Al) 5,625 1,406 70,000
2 antimony(Sb) 45 113 560
3 arsenic(As) 3.8 0.9 47
4 barium(Ba) 4,500 1,125 56,000
5 boron(B) 1,200 300 15,000
6 cadmium(Cd) 1.9 0.5 23
7 chromium III(Cr3+) 37.5 9.4 460
8 chromium VI(Cr6+) 0.02 0.005 0.2
9 cobalt(Co) 10.5 2.6 130
10 copper(Cu) 622.5 156 7,700
11 lead(Pb) 13.5 3.4 160
12 manganese(Mn) 1,200 300 15,000
13 mercury(Hg) 7.5 1.9 94
14 nickel(Ni) 75 18.8 930
15 selenium(Se) 37.5 9.4 460
16 strontium(Sr) 4,500 1,125 56,000
17 tin(Sn) 15,000 3,750 180,000
18 organic tin 0.9 0.2 12
19 zinc(Zn) 3,750 938 46,000

区分1:乾いていて、もろくて、粉状や柔らかい材料
区分2:液体または粘性材料
区分3:剥離材料

3.ニューアプローチ指令
(1)整合規格

玩具指令はニューアプローチ指令の1つです。ニューアプローチ指令は、EU官報で整合規格番号が公示されて国家規格に置きかえられた国家規格への整合は、指令の必須要求事項に適合していると見なされます。
 玩具指令の整合規格4)、5)は一部草案もありますが、EN71-1~14まであります。電動玩具はEN62115で規制されます。
 フィンガーペイントはprEN71-7(2012年10月草案)で、ニトロソアミンとニトロソ化可能物質の含有制限をprEN71-12(2012年5月草案)を参照して行っています。重金属についてはEN71-3を参照し制限しています。
 移行閾値が定められた重金属物質の測定方法はEN71-3です。EN71-3は改定作業中で、2012年12月に草案が採択されています。EN71-3のTable1(Cross-reference table for determining category)では、固形絵具:区分1、スティック糊:区分2や塗料:区分3などの区分決定のための参照表が用意されています。
 サンプリングは、7.1項に示されていますが、色別の材料別となります。測定は8項に規定されており、0.07 ± 0.005 mol/Lの塩酸への移行量(溶出量)をICP-MSなどで測定します。測定手順、計算方法や報告手順なども記載されています。
 有機化合物の測定はEN71-9- EN71-11になります。
 なお、日本では食品衛生法で規制6)、7)している部分もあり、EN71-3に加えて指定測定法で測定する場合があります。

(2)留意事項
 ニューアプローチ指令は初めてEU域内に上市または使用に供することが意図された製品に適用されます。EU域外からの輸入品では中古品も新品同様に適用されます。
 元の性能、目的または形式の変更することなく修理した製品は、ニューアプローチ指令による適合性評価の対象とはなりません。改造を伴う修理は適合性評価を行う必要があります。
 この判断基準は企業に委ねられていますが、ISO/IEC17050-2(適合性評価-供給者宣言 第2部支援文書)5.3項で「適合宣言の妥当性に影響を与える変更」としか記述していません。ニューアプローチ指令などの自己宣言に対する欧米の考え方を理解することが必要です。
 なお、上市する製品は、該当するすべての指令の規定に適合し、かつ該当するすべての指令に従って適合性評価が実施されて場合のみ、上市または使用に供することができます。電動玩具は玩具指令だけでなくRoHS(II)指令、状況によりEMC指令や低電圧指令などの指令にも適合させる必要があります。
 また、CEマーキングによる適合製品であっても、製造物責任指令(85/374/EEC)は適用されます。

(松浦 徹也)

1)http://eur-lex.europa.eu/LexUriServ/LexUriServ.do?uri=OJ:L:2009:170:0001:0037:en:PDF
2)http://eur-lex.europa.eu/LexUriServ/LexUriServ.do?uri=OJ:L:2012:064:0007:0008:EN:PDF
3)http://eur-lex.europa.eu/LexUriServ/LexUriServ.do?uri=OJ:L:2002:011:0004:0017:en:PDF
4)http://eur-lex.europa.eu/LexUriServ/LexUriServ.do?uri=OJ:C:2010:236:0003:0004:EN:PDF
5)http://eur-lex.europa.eu/LexUriServ/LexUriServ.do?uri=OJ:C:2012:349:0005:0006:EN:PDF
6)http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/kigu/index.html
7)http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/kigu/dl/5.pdf

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当解説は筆者の知見、認識に基づいてのものであり、特定の会社、公式機関の 見解等を代弁するものではありません。法規制解釈のための参考情報です。 法規制の内容は各国の公式文書で確認し、弁護士等の法律専門家に判断によるなど最終的な判断は読者の責任で行ってください。


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