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ここが知りたい REACH規則

コラム

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13.03.15

玩具の規制(1)

1.RAPEXの状況

EUにはRAPEXと呼ばれる緊急警告システムがあります。RAPEXは食品や医療機器を除く消費者向け製品について、健康と安全に深刻な危害を引き起こす可能性のある製品の販売と利用を迅速に制限するため運用されており、毎週金曜日に概要(RAPEX notifications)が一般公開されています。
 RAPEXにはEUおよび欧州経済領域(EEA)参加の3カ国(アイスランド、リヒテンシュタイン、ノルウェー)の合計30カ国が参加していて、参加の1つの国で摘発した内容が参加30 カ国に通報されます。
 RAPEX notificationsを見ますと、玩具など子供向け製品に関するリコールが目立ちます。2013年3月8日版では、少女用ビキニ(Girls' bikini)が紐による窒息のリスクがありEN14682(Safety of children's clothing)に不適合とし、市場からの製品撤収措置が取られています。
 根拠法は一般商品安全指令〔The General Product Safety Directive(Directive 2001/95)〕で、この指令は子供服にも適用されます。
 2013年3月1日版では、プラスチック製人形にbis(2-ethylhexyl)phthalate(DEHP)が21%含有し、di-isononyl phthalate(DINP)も含有の痕跡があるとして摘発されています。
 フタレート類はREACH規則の制限物質で、玩具には0.1%以上での使用が禁止されており、REACH規則への違反として摘発されたものです。
 RAPEX notificationsの摘発状況を見ますと、玩具の人形の目が外れて窒息のリスクがある(EN71-1玩具の安全性 第1部:機械的物理的性質への不適合)など、子供向け製品が目立ち、玩具指令に関する規制も気になるところです。

2.NLFの狙い

玩具指令はRoHS(II)指令と同様に、New Legislative Framework(NLF 768/2008/EC)が適用されるCEマーキングが要求されています。NLFは、ニューアプローチ指令間の整合性を高め、指令ごとに適合宣言書や技術文書の項目が微妙な差異を統一するなどの簡素化の取組みの中で制定されました。
 NLFの狙いは、「適合性評価機関の適合性評価の強化」「健康と環境重視した監視強化」「CEマーキングの信頼性を高める」ことです。NLFにより違反製品は市場撤退処置が強化されます。

CEマーキングの手順は次です。

  • (1)適用する指令と適用する適合性評価のモジュールの確認
  • (2)整合規格一覧から適用する規格の決定
  • (3)製品サンプルの試験実施
  • (4)技術文書(TD)の作成
  • (5)適合宣言書(DoC)の作成
  • (6)CEマーキング

玩具指令やRoHS(II)指令はニューアプローチ指令で、個々の指令では詳細な技術的要求は規定せず、やや抽象的な要求である「必須要求 (essential requirements)」を規定し、技術的な基準として 欧州整合規格が規定されます。整合規格に適合する製品は指令の要求に適合するものと見なされます。
 玩具指令の整合規格はEN71-1(機械的物理的性質)やEN71-2(可燃性)などが告示されています。

3.玩具指令の概要

改正玩具指令(2009/49/EC、以下、玩具指令)は、附属書IIの化学的特性の大幅な改定などがされて、2009年6月30日に公布されましたが、2012年3月3日に特別安全要求事項の化学的特性(附属書II Part III)が改正(2012/7/EC 、カドミウムの規制強化)されました。
 玩具指令は、移行期間が終わり、2013年7月20日から新たに追加された化学的特性項目を含めた規制が始まります。最近は玩具指令関係の質問を多く頂くようになり、玩具指令の関心が高まりを感じます。
 EUの指令は前文を読むことで全体像を掴むことができます。玩具指令の理念を示す前文の要旨を紹介します。

(1)前文2
 玩具指令はニューアプローチ指令に基づいている。従って、玩具指令は玩具に関する必須安全要求事項としての「物理的及び機械的特性」「可燃性」「化学的特性」「電気的特性」「衛生」「放射線」に関する特別安全要求事項を含めている。技術的な詳細はCENやCENELECによる。EU官報で告示された整合規格への整合は玩具指令の整合とみなされる。

(2)前文9
 高いレベルでの健康及び安全などの公益の保護及び消費者と環境の保護を確実に行い、共同体市場での公正な競争を保証のために、上市する玩具は、関連する法規制に適合していなければならない。経済主体(Economic operators:製造者、代理人、輸入者及び流通業者)は、サプライチェーンでのそれぞれの役割についいて、玩具の適合性に責任をもたなければならない。

(3)前文10
 すべての経済主体は、玩具上市前に、適用される法的要求事項を完全に順守し、責任ある行動が期待される。

(4)前文14
 共同体市場に入る玩具が、適用される共同体要求事項のすべてに適合していること、特に適合評価基準がその玩具の製造者によって、実施されていることを確実にすることが重要である。

(5)前文21
 玩具に含有する化学物質に起因するリスクから高いレベルでの子供の保護するために、危険物質(特にCMR物質)やアレルギー原因物質の使用に最新の注意を払わなければならない。一般な化学法規であるREACH規則に適合させるために、玩具に含有する化学物質に関する規定を完成させ更新することが、ことに重要である。
 これらの規定は、消費者のなかでも弱者の子供に適応させなくてはならない。
 玩具に含有されるCMR物質及びアレルギー性香料に関する新たな規制は、人の健康に引き起こす恐れのある特別な危険を考慮して策定する。
 玩具には危険物質やアレルギー原因物質の含有が制限され、違反時の処罰はREACH規則などにも委ねることになります。

(6)前文22
 有毒で子供が接する玩具の部品には、意図的な使用を制限する「ヒ素、カドミウム、六価クロム、鉛、水銀及び有機スズ」の許容濃度は、適正製造基準に適合する微量しか存在しないことを確実にするために、関係する化学委員会の基準の半分に設定しなければならない。

(7)前文25
 玩具指令の一般的化学要求事項(第10条2項)及び特別化学的要求事項(附属書II)は、玩具に含有する化学物質から子供の健康を保護することが目的である。
 環境上の懸念事項はRoHS指令、WEEE指令、包装及び包装廃棄物指令や電池指令によって規制されている。

社会的弱者である子供の保護は、ラベルによる警告表示では、確実に行えません。このため日本やアメリカでも、玩具に関する規制は厳しくなっています。
 次回は、玩具指令のCEマーキング関連の要求事項と一般的化学要求事項及び特別化学的要求事項について解説します。

(松浦 徹也)

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当解説は筆者の知見、認識に基づいてのものであり、特定の会社、公式機関の 見解等を代弁するものではありません。法規制解釈のための参考情報です。 法規制の内容は各国の公式文書で確認し、弁護士等の法律専門家に判断によるなど最終的な判断は読者の責任で行ってください。


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