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ここが知りたい REACH規則

コラム

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12.09.21

REACHにまつわる最近のニュースから(30) -Candidate Lists収載提案された酸無水物について(酸無水物をエポキシ硬化剤として使用した場合の義務)-

8月24日付けコラム、8月31日付けコラムで紹介しましたCandidate Lists収載する54物質について、10月18日まで意見募集を行う旨、ECHAから9月3日に発表がありました。

これらの物質を改めて整理し表に示します。

物質名 CAS番号 有害特性 用途例
1 DecaBDE 1163-19-5 PBT、vPvB 難燃剤
2 ペンタコサフルオロテトラデカン酸 72629-94-8 vPvB 界面活性剤
3 トリコサフルオロドデカン酸 307-55-1 vPvB 界面活性剤
4 ヘンイコサフルオロウンデカン酸 2058-94-8 vPvB 界面活性剤
5 ヘプタコサフルオロテトラデカン酸 376-06-7 vPvB 界面活性剤
6 4‐(1,1,3,3‐テトラメチルブチル)フェノール、エトキシレート - EQC 界面活性剤
7 4-ノニルフェノール 〔炭素数9の直鎖および分岐のアルキル の全ての異性体の単独物、および、混合物(UVCB)〕 - EQC 界面活性剤原料、 インク、塗料
8 アゾジカルボンアミド 123-77-3 EQC 発泡剤
9 シクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸無水物 85-42-7 EQC エポキシ硬化剤
10 メチルヘキサヒドロフタル酸無水物、全ての異性体 25550-51-0, 19438-60-9, 48122-14-1, 57110-29-9 EQC エポキシ硬化剤
11 メトキシ酢酸 625-45-6 生殖毒性 合成の中間体
12 フタル酸ジ-ペンチル、分岐および直鎖 84777-06-0 生殖毒性 可塑剤
13 フタル酸ジ-イソペンチル 605-50-5 生殖毒性 可塑剤
14 フタル酸n-ペンチル-イソペンチル - 生殖毒性 可塑剤
15 エチレングリコールジエチルエーテル 629-14-1 生殖毒性 インク、塗料用溶剤
16 N,N-ジメチルフォルムアミド 68-12-2 生殖毒性 合成用溶剤
17 ジブチルジクロロスズ 683-18-1 生殖毒性 ゴム添加剤、PVC可塑剤
18 塩基性酢酸鉛 51404-69-4 生殖毒性 合成中間体、防錆顔料
19 塩基性炭酸鉛 1319-46-6 生殖毒性 電子セラミック原料
20 塩基性硫酸鉛 12036-76-9 生殖毒性 電池電極材
21 二塩基性フタル酸鉛 69011-06-9 生殖毒性 PVC安定剤
22 ジオキソ二ステアリン酸三鉛 12578-12-0 生殖毒性 PVC安定剤
23 脂肪酸鉛、C16-18 91031-62-8 生殖毒性 PVC安定剤
24 ホウフッ化鉛 13814-96-5 生殖毒性 めっき用電解質
25 シアナミド鉛 20837-86-9 生殖毒性 塗料顔料
26 硝酸鉛 10099-74-8 生殖毒性 合成原料
27 酸化鉛 1317-36-8 生殖毒性 ガラス原料、安定剤原料
28 四酸化鉛(オレンジ鉛) 1314-41-6 生殖毒性 塗料顔料
29 チタン酸鉛 12060-00-3 生殖毒性 電子セラミック原料
30 チタン酸ジルコン酸鉛 12626-81-2 生殖毒性 電子セラミック原料
31 四塩基性硫酸鉛 12065-90-6 生殖毒性 電池電極材、PVC安定剤
32 ピグメントイエロー41 8012-00-8 生殖毒性 顔料
33 ケイ酸バリウム、鉛ドープ 68784-75-8 生殖毒性 ランプ蛍光材
34 ケイ酸鉛 11120-22-2 生殖毒性 ガラス原料
35 塩基性亜硫酸鉛 62229-08-7 生殖毒性 PVC安定剤
36 四エチル鉛 78-00-2 生殖毒性 ガソリン添加剤
37 三塩基性硫酸鉛 12202-17-4 生殖毒性 電池電極材、PVC安定剤
38 二塩基性亜リン酸鉛 12141-20-7 生殖毒性 PVC安定剤
39 フラン 110-00-9 発がん性 (不明)
40 プロピレンオキシド 75-56-9 発がん性 原料、溶剤
41 硫酸ジエチル 64-67-5 発がん性 原料、溶剤中間体
42 硫酸ジメチル 77-78-1 発がん性 原料、溶剤中間体
43 3-エチル-2-イソペンチル-2-メチル-1,3-オキサゾリジン 143860-04-2 生殖毒性 (不明)
44 ジノセブ 88-85-7 生殖毒性 ポリマー原料
45 4,4'-メチレンビス-o-トルイジン 838-88-0 発がん性 原料、中間体
46 4,4'-オキシジアニリンおよびその塩 101-80-4 発がん性 原料、中間体
47 4-アミノアゾベンゼン 60-09-3 発がん性 原料、中間体
48 4-メチル-m-フェニレンジアミン 95-80-7 発がん性 原料、中間体
49 2-メトキシ-5-メチルアニリン 120-71-8 発がん性 原料、中間体
50 ビフェニル-4-イルアミン 92-67-1 発がん性 原料、中間体
51 o-アミノアゾトルエン 97-56-3 発がん性 原料、中間体
52 o-トルイジン 95-53-4 発がん性 原料、中間体
53 N-メチルアセトアミド 79-16-3 生殖毒性 溶剤
54 1-ブロモプロパン 106-94-5 生殖毒性 洗浄溶媒

すでにCandidate Listsには84物質のSVHCが収載されていますが、今回の54物質が加わりますと、合計138物質になります。

今回、意見募集が行われた物質の中の、表の#9のシクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸無水物、および、#10のメチルヘキサヒドロフタル酸無水物について気になることを紹介します。

これらの物質の構造式はそれぞれ下の通りです。

シクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸無水物には以下の3種の立体異性体が示されています。

附属書XVに提案文書によりまと、この2つの物質の主な用途として、エポキシ化合物の硬化剤、ポリマーの架橋剤やポリマーの可塑剤が挙げられています。
 これらの物質が認可対象物質として附属書XIVに収載された場合の義務について少し考えてみたいと思います。ポリマーの可塑剤として使用する場合には、認可が必要と考えられます。しかし、架橋剤として使用する場合やエポキシの硬化剤として使用する場合は中間体とも考えられます。
 特にエポキシの硬化剤として用いる場合は中間体として考えるのが至当と考えます。理由は以下の通りです。

酸無水物によるエポキシ化合物の硬化反応は、一般に以下のように説明されています。

第1ステップ:酸無水物が、アルコール性のヒドロキシル基(-OH)と反応しエステル結合とカルボシル基とが生成する。

第2ステップ:次に、上記で生成したカルボキシル基(―COOH)とエポキシ基とが反応し、エステル結合と新たにヒドロキシル基が生成する。

以降は、酸無水物はステップ1の反応を繰り返し、エポキシ基は、ヒドロキシル基(下記反応式)、あるいは、上記(ステップ2)のカルボキシル基との反応を繰り返して、エポキシ硬化物を生成する。

このように考えられますので、エポキシ化合物は当然のこと、酸無水物はモノマーと考えることができます。 また、酸無水物を架橋剤として使用する場合も、議論の余地はあるかもしれませんが、架橋ポリマーを生成するための中間体として、認可の取得は不要と考えてもよいのではと思います。

REACH規則では、中間体には認可は適用されません。従い、今回意見募集が行われた2種の酸無水物が附属書XIVに収載され、認可対象になったとしても、少なくともエポキシ化合物の硬化剤として使用する限り、EUへは認可は必要とせずに輸出をすることができると解釈できます。

酸無水物を硬化剤とした成形品を輸出する場合は、認可の対象にはなりません。また、これらの2種の酸無水物は既に登録されています。シクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸無水物については、中間体としてエポキシの硬化剤としての用途が登録されていますので、成形品の輸出には届出も不要であると考えてもよさそうです。 ただし、これらの酸無水物が0.1%以上残存している場合は、情報の提供の義務は免れません。

(林  譲)

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当解説は筆者の知見、認識に基づいてのものであり、特定の会社、公式機関の 見解等を代弁するものではありません。法規制解釈のための参考情報です。 法規制の内容は各国の公式文書で確認し、弁護士等の法律専門家に判断によるなど最終的な判断は読者の責任で行ってください。


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