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ここが知りたい REACH規則

コラム

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12.06.22

REACHにまつわる最近のニュースから(25)-第7回Candidate Lists収載する13物質が決定-

2012年4月6日付けコラムでは、Candidate Listsに収載する13物質の提案が公表され、意見募集が行われていることを記しました。その意見募集が終わり、関係先からコメントが提出された物質については加盟国委員会の全員一致の合意が得られたことにより、13物質すべてをCandidate Listsに収載するとことになったとECHAから発表されました(ただし、2012年6月17日時点で公告は出ていません)。
 決定の経緯では、8物質についてはコメントが出されなかったことにより、加盟国委員会に関係なしにCandidate Listsに収載されることが決定されました。また、コメント等が出された物質については、Candidate Lists に収載することに加盟国が全員一致で合意しています1)
 なお、加盟国委員会が関与することなく、candidate listsに収載することが決定したのは、#1、#2、#4、#5、#6、#7、#8、#9の8物質です。残りの#3、#10、#11、#12、#13の5物質は加盟国委員会に付託され、全員一致で収載されています1)

前回も紹介しましたが、今回Candidate Listsに収載が決定した物質を改めて表に示します。

表 第7回目のCandidate Listsに収載が決定した13物質
# 物質名 CAS No. 有害性 提案書で説明されている主な用途
1 トリエチレングリコールジメチルエーテル(TEGDME;triglyme) 112-49-2 生殖毒性 主に、工業薬品の製造、調製用の溶剤。少量だが、自動車のブレーキ油や修理に使用。
2 エチレングリコールジメチルエーテル(EGDME) 110-71-4 生殖毒性 主に、工業薬品の製造、調製用の溶剤。リチウム電池の電解液の溶剤として使用。
3 三酸化二ホウ素(酸化ホウ素) 1303-86-2 生殖毒性 ガラス、ガラス繊維、フリット、セラミック、難燃剤、触媒、工業用流体、冶金、接着剤、インキ/塗料、フィルムの現像液、洗剤、クリーナー、殺菌剤や殺虫剤等多方面で使用。
4 フォルムアミド 75-12-7 生殖毒性 主に中間体として使用。その他の用途として、試薬(製薬業界)、実験室の試薬、溶剤として使用。
5 メタンスルフォン酸鉛(II) 17570-76-2 生殖毒性 主に電子部品のめっき(電解、無電解の両方)(例えば、プリント回路基板など)。
6 TGIC、1,3,5-トリス(2,3-エポキシプロピル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン(トリグリシジルイソシアヌレート) 2451-62-9 変異原性 主に樹脂、塗料の硬化剤として使用。例えば、プリント基板用インク、電気絶縁材料、樹脂成形システム、積層シート、シルクスクリーン印刷用コーティング、工具、接着剤、ライニング材の硬化剤。
7 β-TGIC、1,3,5-Tris-[(2S&2R)-2,3-エポキシプロピル]-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン 59653-74-6 変異原性 主に樹脂、塗料の硬化剤として使用。例えば、プリント基板用インク、電気絶縁材料、樹脂成形システム、積層シート、シルクスクリーン印刷用コーティング、工具、接着剤、ライニング材の硬化剤。
8 4,4'-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン(ミヒラーケトン) 90-94-8 発がん性 トリフェニルメタン染料および他の物質の製造における中間体。その他、潜在的な用途は、染料や顔料、ドライフィルム製品の添加剤(光増感剤)、電子回路基板の製造におけるプロセス化学物質、研究開発用として使用。
9 N,N,N',N'-テトラメチル-4,4'-メチレンジアニリン(ミヒラー塩基) 101-61-1 発がん性 染料および他の物質の製造における中間体。研究開発用として使用。
10 [4-[4,4'-ビス(ジメチルアミノ)ベンズヒドリリデン]シクロヘキサ-2,5-ジエン-1-イリデン]ジメチルアンモニウムクロリド(C.I.ベーシックバイオレット3)* 548-62-9 発がん性 紙の着発、プリンタのカートリッジやボールペンのインク。乾燥植物の染色、液体の可視性の向上のためのマーカー、微生物および臨床検査室で染色。
11 [4-[[4-アニリノ-1-ナフチル][4-(ジメチルアミノ)フェニル]メチレン]シクロヘキサ-2,5-ジエン-1-イリデン]ジメチルアンモニウムクロリド(C.I.ベーシックブルー26)* 2580-56-5 発がん性 紙、包装材、繊維、プラスチック製品用等の染色・着色用のインク、クリーナー、コーティング材。診断および分析。
12 α,α-ビス[4-(ジメチルアミノ)フェニル]-4-(フェニルアミノ)ナフタレン-1-メタノール(C.I.ソルベントブルー4)* 6786-83-0 発がん性 印刷用および筆記用インク;紙の着色、フロントガラス洗浄剤用。
13 4,4'-ビス(ジメチルアミノ)-4''-(メチルアミノ)トリチルアルコール* 561-41-1 発がん性 筆記用インク、その他の染色のインク。**

* :#8、あるいは#9を≧0.1wt%の濃度で含有する場合に発がん性と区分される。#10については、#8を≧0.1wt%含有する場合、発がん性1BとしてCLP規則附属書VI表3.1に収載されている。
**:提案書では、この物質の用途ではなく、C.I.ソルベントバイオレット8の用途を引用している

#1から#10までは、すでにCLP規則の附属書VIの分類表示の調和表示の表3に収載されています。ただし、#10の「ベーシックバイオレット3」については不純物を含有しない場合、Index #612-204-00-2としては、CLP分類基準では発がん性2として収載されています。この場合はREACH規則のSVHCの特定基準としてSVHCには入りません。
 今回のCandidate Lists収載決定では、不純物として#8、あるいは#9を0.1%以上含有する場合としています。#11、#12、#13は、まだCLP規則の附属書VI表3には収載されていませんが、#10の場合と同じく、不純物として#8、あるいは#9を0.1%以上含有する場合にCandidate Listsに収載されることになりました。

前は、CMR物質を不純物として含有する物質をCandidate Listsに収載することに対して懸念を書きましたが、筆者の懸念は的外れとなり、提案通りCandidate Listsに収載されることになりました。
 この結果、#10、#11、#12、#13については、不純物含有の情報提供要求が増加するのではと予測されます。ただ、成形品に#10、#11、#12、#13を使用した場合、不純物の含有量によりサプライチェーン内での情報伝達や届出義務に混乱が起きないかと心配します。理由は、例えば不純物を0.2%含む#10-#13を成形品に0.2%使用した場合には、計算上は成形品中の不純物含率は0.0004%ですが、これらの情報伝達や届出の義務が発生します。
 他方、これらの不純物を0.08%含む#10-#13を成形品に0.5%使用する場合には、計算上は成形品中の不純物含率は前記の例と同じく0.0004%となりますが、届出や情報伝達の義務はないことになります。

今後、今回のようなCMR特性のある物質を出発物質とした物質が、Candidate Listsに収載されないことを願うばかりです。

なお、今後これらの物質が附属書XIVに収載されると、EUへの輸出には認可が必要になります。今回のケースで思い出されるのは、国内で非意図的に生成するPCBを50ppm以上含有するある種の有機顔料が流通していたことが判明した問題です。PCBについてはPOPs条約によって、濃度0.005%(50ppm)を超えて含有する場合には流通させてはいけないことになっています。この問題を受けて0.5ppm以上含有するとされた有機顔料の実態調査が行われましたが、5月28日の発表によれば、調査の範囲ではPCBを50ppm以上含有する有機顔料はなかったということです。
 PCB含有が判明した後、行政指導により50ppm以下の場合でも事業者はBAT(Best Available Techniques:最善の利用可能な手法)の原則に基づいてPCBの有機顔料中の含有利率の上限値(自主管理上限値)を設定することが求められ、それに対する企業の努力の結果によるものと思います。

今回、Candidate Listsに収載された#10、#11、#12、#13についてはEU内で製造する、あるいは輸入する場合、前述の国内でのPCB対策と類似の対策を行い不純物の含有率を抑制すれば、認可が不要になり、成形品中の届出や情報伝達も不要になります。よってそれらの努力が必要と考えます。

1)#3:http://echa.europa.eu/documents/10162/a62596cb-2abd-4fef-879c-cddd2533eb42
  #10:http://echa.europa.eu/documents/10162/f343dc00-561d-41ae-b7bd-3ff2c794b2d4
  #11:http://echa.europa.eu/documents/10162/4904a569-443f-486f-9a8a-f96f2dfc5a5e
  #12:http://echa.europa.eu/documents/10162/36a7211b-a304-4cf0-93a9-c7efe5ea14d5
  #13:http://echa.europa.eu/documents/10162/17710d52-2838-463c-b038-f79de4d39349

(林 譲)

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当解説は筆者の知見、認識に基づいてのものであり、特定の会社、公式機関の 見解等を代弁するものではありません。法規制解釈のための参考情報です。 法規制の内容は各国の公式文書で確認し、弁護士等の法律専門家に判断によるなど最終的な判断は読者の責任で行ってください。


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