本文とサイドメニューへジャンプするためのナビゲーションスキップです。

スタートアップガイド

J-Net21 中小企業ビジネス支援サイト

  • J-Net21とは
  • スタートアップガイド
中小機構
  • メルマガ登録
  • RSS一覧
  • お問い合わせ

HOME > 経営をよくする > ここが知りたいREACH規則

ここが知りたい REACH規則

コラム

REACH検索

12.04.06

REACHにまつわる最近のニュースから(24)

第7回目の13種のSVHCの Candidate lists収載に関する意見募集および成形品に使用されているSVHCの状況について

少し遅くなりましたが、2012年2月28日に第7回目のcandidate listsに収載する13物質のSVHCの提案が公表され、4月12日まで意見募集が行われています。また、3月5日には、2011年末までの届出・登録情報から成形品に使用されているSVHCの状況について情報公開されました。今回は、これらの概要をご紹介します。

1.新たにCandidate Lists収載のSVHCの提案

提案されました13物質を表1に示します。#は、発表時のリスト順に筆者が付しています。
#1-#5は生殖毒性、#6、#7は変異原性、#8-#13は発がん性です。
#1、#2は広く使用されている溶剤です。
#3はガラスの原材料として使われていますが、国内では殺虫剤としても広く使われています。
#4は溶剤として使用されることもありますが、他に医薬、顔料、その他の有機合成化学物質の原料(中間体)として用いられています。
#5は、電子部品のめっきに使用されます。
#6、#7の化学式は同じですが、#6は異性体の混合物、#7はβタイプとして、別々にESISに収載されています。両者の用途は同じで、主に樹脂の硬化剤です。
#8、#9は顔料、染料の合成に用いられる原料(中間体)で、こられの物質から多種の染料、顔料が製造されています。#8、#9両者ともにEU域内へ少量輸入されているだけで、まだ登録されていません。
#10はCLP規則附属書VIの表3.1に、#8を0.1%以上含む場合に発がん性カテゴリ1Bとして収載されています。言い換えますと、#8の含有率が0.1%未満であれば、発がん性カテゴリ1Bとはならないことを意味します。提案では、現行のCLP規則附属書VIの表3.1の「#8を0.1%以上含む場合」に加え、「#9を0.1%以上含む場合」も条件に加え、SVHCの提案としています。
#1-#10は、CLP規則附属書VIの表3に収載されていますが、#11、#12、#13は現時点ではCLP規則附属書VIの表3に収載されていません。#11、#12、#13のSVHCの提案の条件には、#10と同じく、「#8、#9を0.1%以上含む場合」となっています(事実、#11-#13のCLPの分類の届出のインベントリーの一部の届出の分類には、この物質の詳細なデータは不明ですが、#10と同じく、発がん性1Aあるいは1Bの分類をしているものはあります)。
#11は、#10と製造法、化学構造が類似していることから提案に加えられたのではないかと推測しています。
#12についても、詳細は調査ができていないのですが、#11と同じ理由で提案されたと推測しています。
#13は、#12と化学構造が類似していますが、提案書にはCLP規則の分類の届出書には、同意語として「C.I.ソルベント バイオレット8(CASNo. 52080-58-7 と 67989-22-4、EC No.268-006-8)」が記載されているとして、Solvent Violet 8の用途例をあげています(CASNo. 52080-58-7の化学構造は#10と類似しています) 。ただし、#10と同じく「#8、#9の含有率が0.1%未満」であればSVHCにはならないことになります。

今回の提案で気になりますのは、#10-#13は、不純物として#8、#9が0.1%以上含まれている場合にSVHCとすることです。
 成形品の情報伝達や届出について、例えば、これらの不純物が0.2%含まれている#10-#13を成形品に0.5%含有する場合に義務が発生しますが、これらの不純物が0.05%含まれている#10-#13を成形品に10%含有する場合には義務はないことになります。
 この例で、本質的に懸念がある#8、#9について成形品中の含有率をみますと、前者では0.1%ですが後者では0.5%となります。
 このようにCMR物質を含有する物質をSVHCに特定することは、Candidate Listsの特定、さらには認可対象物質とするREACH規則の規定の考え方とはずれており、問題があると考えます。今回の提案者は、何か勘違いをしているのではと懸念を持ちます。

物質名 CAS No. 有害性 提案書で説明されている主な用途
1 トリエチレングリコールジメチルエーテル (TEGDME;triglyme) 112-49-2 生殖毒性 主に工業薬品の製造、調製用の溶剤。少量だが、自動車のブレーキ油や修理に使用。
2 エチレングリコールジメチルエーテル (EGDME) 110-71-4 生殖毒性 主に工業薬品の製造、調製用の溶剤。リチウム電池の電解液の溶剤として使用。
3 三酸化二ホウ素(酸化ホウ素) 1303-86-2 生殖毒性 ガラス、ガラス繊維、フリット、セラミック、難燃剤、触媒、工業用流体、冶金、接着剤、インキ/塗料、フィルムの現像液、洗剤、クリーナー、殺菌剤や殺虫剤等多方面で使用。
4 フォルムアミド 75-12-7 生殖毒性 主に中間体として使用。その他の用途として、試薬(製薬業界)、実験室の試薬、溶剤として使用。
5 メタンスルフォン酸鉛(II) 17570-76-2 生殖毒性 主に電子部品のめっき(電解、無電解の両方。例えばプリント回路基板など)。
6 TGIC、1,3,5-トリス(2,3-エポキシプロピル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6 (1H,3H,5H)-トリオン( トリグリシジルイソシアヌレート) 2451-62-9 変異原性 主に樹脂、塗料の硬化剤として使用。例えば、プリント基板用インク、電気絶縁材料、樹脂成形システム、積層シート、シルクスクリーン印刷用コーティング、工具、接着剤、ライニング材の硬化剤。
7 β-TGIC、 1,3,5-Tris-[(2S&2R)-2,3-エポキシプロピル]  -1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン 59653-74-6 変異原性 主に樹脂、塗料の硬化剤として使用。例えば、プリント基板用インク、電気絶縁材料、樹脂成形システム、積層シート、シルクスクリーン印刷用コーティング、工具、接着剤、ライニング材の硬化剤。
8 4,4'-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン ( ミヒラーケトン) 90-94-8 発がん性 トリフェニルメタン染料および他の物質の製造における中間体。その他、潜在的な用途は、染料や顔料、ドライフィルム製品の添加剤(光増感剤)、電子回路基板の製造におけるプロセス化学物質、研究開発用として使用。
9 N,N,N',N'-テトラメチル-4,4'-メチレンジアニリン (ミヒラー塩基) 101-61-1 発がん性 染料および他の物質の製造における中間体。研究開発用として使用。
10 [4-[4,4'-ビス(ジメチルアミノ)ベンズヒドリリデン]シクロヘキサ-2,5-ジエン-1-イリデン]ジメチルアンモニウムクロリド (C.I. ベーシックバイオレット3)* 548-62-9 発がん性 紙の着発、プリンタのカートリッジやボールペンのインク。乾燥植物の染色、液体の可視性の向上のためのマーカー、微生物および臨床検査室で染色。
11 [4-[[4-アニリノ-1-ナフチル][4-(ジメチルアミノ)フェニル]メチレン]シクロヘキサ-2,5-ジエン-1-イリデン]ジメチルアンモニウムクロリド(C.I.ベーシックブルー26 ) * 2580-56-5 発がん性 紙、包装材、繊維、プラスチック製品用等の染色・着色用のインク、クリーナー、コーティング材。診断および分析。
12 α,α-ビス[4-(ジメチルアミノ)フェニル]-4-(フェニルアミノ)ナフタレン-1-メタノール(C.I.ソルベントブルー 4) * 6786-83-0 発がん性 印刷用および筆記用インク;紙の着色、フロントガラス洗浄剤用。
13 4,4'-ビス(ジメチルアミノ)-4''-(メチルアミノ)トリチルアルコール* 561-41-1 発がん性 筆記用インク、その他の染色のインク。**

* #8あるいは#9を≧0.1wt%の濃度で含有する場合に発がん性と区分される。#10については、#8を≧0.1wt% 含有する場合、発がん性1BとしてCLP規則附属書VI表3.1に収載されている。
**提案書では、この物質の用途ではなく、C.I.ソルベントバイオレット8の用途を引用している。

2.成形品に使用されているSVHCの状況

2012年3月5日に、一般消費者向けに、どのような成形品にSVHCが使用されているかの状況を発表しています。公開されたデータは、2012年1月1日以前に届出、登録された情報に基づいています。このデータは6カ月ごとに更新されることになっています。表2に公表されたデータのうち、届出があった18物質についての内容についてまとめました。なお、対象のSVHCは、2011年12月1日以前にCandidate Listsに収載されていた53物質で、2012年12月19日に収載公告された20物質は含まれていません。

物質名 CAS No. 届出数 登録で特定された用途情報*1 一般消費者使用製品への使用状況*2
1 フタル酸ビス (2-エチルへキシル)
(DEHP)   
117-81-7 88(92)*5
2 ヘキサブロモシクロドデカン(HBCDD)
及び全ての主要な異性体
25637-99-4,
3194-55-6
(134237-50-6)
(134237-51-7)
(134237-52-8)
30
3 フタル酸ジブチル (DBP) 84-74-2 16
4 アルミノシリケート耐火性セラミック繊維 - 15 (×)*3
5 ホウ酸 10043-35-3,
11113-50-1
12
6 四ホウ酸二ナトリウム、無水物 1303-96-4,
1330-43-4,
12179-04-3
9
7 フタル酸ジイソブチル 84-69-5 7
8 ピグメントイエロー 34 1344-37-2 4
9 ピグメントレッド 104 12656-85-8 4
10 短鎖長塩素化パラフィン(C10-13) 85535-84-8 4 ×
11 フタル酸ベンジルブチル(BBP) 85-68-7 3 ×
12 トリス(2-クロロエチル)ホスフェート 115-96-8 2 ×
13 1-メチル-2-ピロリドン 872-50-4 2 × ×
14 クロム酸鉛 7758-97-6 2 (×)*4
15 ジルコニアアルミノシリケート耐火セラミック繊維 - 2 (×)*3 ×
16 コールタールピッチ、高温 (EC No. 266-028-2) 1 ×
17 2,4-ジニトロトルエン 121-14-2 1 × ×
18 五酸化二ヒ素 1303-28-2 1 (×)*4 ×

*1 登録文書に成形品に関わる「特定された用途」の情報:○=あり、×=なし
*2 公開された情報に「消費者向け製品への使用の可能性」の記載:○=あり、×=なし
*3 該当のEC No.,CAS No.がなく、登録状況については未詳
*4 未登録
*5 公表の一覧表の届出数は88件、詳細説明では92件となっている

意外に届出件数が少ないのは、届出は、同じ物質がその用途で登録されていれば義務がないことによると思われます。
 用途につきましては、届出の情報から細かい用途が紹介されています(具体的な用途については原文をご参照下さい)。登録情報からは、「成形品カテゴリ」から「特定された用途」の記述が記載されていますが、これらからは具体的な製品までは明確ではありません。
 消費者は、これらの情報から製品の供給者に情報提供を要求することになりますが、消費者向けの製品に使用される可能性があるかについてもコメントされています。ただし、SVHC含有の情報は、届出の場合のように年間1t以上の要件はありませんので、他のSVHCについても情報の管理をする必要はあります。

(林  譲)

中小企業の方を対象として、海外ビジネスに関する質問を無料で受け付けています。
中小機構「中小企業国際化支援アドバイス

当解説は筆者の知見、認識に基づいてのものであり、特定の会社、公式機関の 見解等を代弁するものではありません。法規制解釈のための参考情報です。 法規制の内容は各国の公式文書で確認し、弁護士等の法律専門家に判断によるなど最終的な判断は読者の責任で行ってください。


このページの先頭へ