本文とサイドメニューへジャンプするためのナビゲーションスキップです。

スタートアップガイド

J-Net21 中小企業ビジネス支援サイト

  • J-Net21とは
  • スタートアップガイド
中小機構
  • メルマガ登録
  • RSS一覧
  • お問い合わせ

HOME > 経営をよくする > ここが知りたいREACH規則

ここが知りたい REACH規則

コラム

REACH検索

12.02.10

REACHにまつわる最近のニュースから(21)

唯一の代理人の義務:認可申請から思うこと

REACH規則56条1項は、認可申請については以下のように規定されています。

56条1項 製造者、輸入者又は川下使用者は、物質が附属書XIVに含まれる場合には、-(中略)-その物質を使用するために上市、又は自ら使用してはならない。

すなわち、これまでは認可が申請できるのはEU域内の製造者、輸入者または川下使用者であって、EU域外の製造者は唯一の代理人(OR)による認可申請はできないとされてきました。これに対して、ORによる認可申請を認めるようにロビー活動が行われていました。昨年12月になって、欧州委員会事務当局は、「EU域外の製造者の唯一の代理人(OR)は認可申請を出来る」という見解をECHAに通知しました1)

これまで、ORによる認可申請ができないとする説明は、以下のREACH規則第8条の「欧州共同体外の製造者の唯一の代理人」の1項で規定される条項が根拠となっていました。

第8条1項 欧州共同体に輸入される物質そのもの、調剤に含まれる物質又は成形品に含まれる物質を製造し、調剤を調製し又は成形品を生産する欧州共同体外に所在する自然人又は法人は、本篇に基づく輸入者の義務を果たすために、相互の合意によって欧州共同体内に所在する自然人又は法人を、唯一の代理人として指名することができる。

上述の「本篇」はREACH規則「第II篇 物質の登録」を指しますので、この条文からはORは登録だけを果たすことになります。この条文からだけですと、認可に関わる第VII篇に関わる輸入者の義務の代行には及ばないことになります。これまでされてきた説明は、この「原則」に立って、EU域外の製造者はORに委託して、登録はできるが、認可申請はできないと説明されてきました。

ところが、第8条2項、3項では以下のように規定されています。

第8条2項 (唯一)代理人は、本規則に基づく輸入者の他のあらゆる義務も遵守しなければならない。この目的のために、(唯一)代理人は物質の実際的な取扱いに関する十分な経歴及びそれらに関する情報を持っていなければならず、また第36条を侵害せずに、輸入量及び販売先顧客に関する情報並びに第31条に記す安全性データシートの最新版の提供に関する情報を、利用可能で最新の状態に保たなければならない。
第8条3項 共同体外の製造者は、第1項及び第2項に従って代理人を指名した場合には、同一のサプライチェーンにおける輸入者に指名について通知しなければならない。本規則の目的から、これらの輸入者は川下使用者とみなされる。

すなわち、第8条2項、3項では、ORは1項の「登録」だけの代行をするのではなく、REACH規則で規定される輸入者の義務を果たすことを要求しています。

今回の欧州委員会の「ORに認可申請をできるようにする」見解は、この2、3項の規定を根拠にしていると推測できます。

今さらですが、今回出された見解からすれば、CLP規則に移行されているREACH規則「第XI篇 分類と表示のインベントリー」における届出についても、ORにより予備登録した未登録物質の「分類と表示」の届出義務は輸入者にあるのではなく、ORにあるべきでことになります。その川下ユーザーである輸入者には届出が不要になります。しかし、CLP規則では「分類の届出」はEU域内の製造者、輸入者が行うこととされています。「届出」のPractical guide 7では、EU域外の製造者が企業秘密を守りたいのであれば、ORに予備登録物質を輸出し、ORがその他の輸入者を代表として届出ができると説明されていました2)

また、第31条のSDSの提供者は、下記のように物質または混合物の供給者になっています。

第31条 安全性データシートに対する要件
1. 物質又は調剤の供給者は、以下の場合には、附属書IIに従って作成した安全性データシートを物質又は調剤の受給者に提供しなければならない。

具体的な説明においては、SDSの提供者は、当初公布のREACH規則附属書IIでは物質、混合物の供給者として、(EU域内の)製造者、輸入者あるいは販売者としていました。しかし、附属書IIを修正する委員会規則(EU)No 453/20103)では、これらの提供者以外に、ORと川下ユーザーを追加する修正が行われています。さらにこの委員会規則では、ORを任命したEU域外の製造者をSDSに記載しても良いという文言が追加されています。

今回の欧州委員会のORへ認可申請を許可する決定で、ORに、EU域外の製造者のEU域内の事業者に対しての与えられている同じ「義務と権利」を、与えられたことになると思います。

なお、欧州委員会からのORの認可申請を可能とする通知を受け、ECHAはORがREACH-ITで認可申請書を提出することが出来るようにウエブの更新を行っています。「IUCLID 5を用いる認可申請のデータ提出マニュアル;パート22」は修正中で、IUCLID 5の新バージョンがリリースされ次第公開されるとのことです。現在の見通しでは、2012年夏の予定です。

注:本文中のREACH規則の訳は、環境省仮訳を引用しています。

1)2012年1月24日;ECHA - Press release
2)http://echa.europa.eu/documents/10162/17235/pg_7_clp_notif_en.pdf
3)http://eur-lex.europa.eu/LexUriServ/LexUriServ.do?uri=OJ:L:2010:133:0001:0043:en:PDF

(林 譲)

中小企業の方を対象として、海外ビジネスに関する質問を無料で受け付けています。
中小機構「中小企業国際化支援アドバイス

当解説は筆者の知見、認識に基づいてのものであり、特定の会社、公式機関の 見解等を代弁するものではありません。法規制解釈のための参考情報です。 法規制の内容は各国の公式文書で確認し、弁護士等の法律専門家に判断によるなど最終的な判断は読者の責任で行ってください。


このページの先頭へ