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ここが知りたい REACH規則

コラム

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12.01.27

化学物質管理の潮流と各国法制度

化学物質管理の世界的な潮流

化学物質管理の流れは、1992年の国連環境開発会議(地球サミット)で採択された「アジェンダ21」第19章に源流を見ることができます。

アジェンダ21の第19章の重要な意義の1つは、リスクに基づく化学物質管理の重要性を明確に位置づけたことにあります。第19章の章タイトルは「有害かつ危険な製品の不法な国際取引きの防止を含む有害化学物質の環境上適切な管理」であり、以下の6つのプログラムが提案されており、その中には化学物質の有害性評価、リスク評価、リスク管理の活動が含まれています。

  • 化学的リスクの国際的なアセスメントの拡大および促進
  • 化学物質の分類と表示の調和
  • 有害化学物質および化学的リスクに関する情報交
  • リスク低減計画の策
  • 化学物質の管理に関する国レベルでの対処能力の強化
  • 有害および危険な製品の不法な国際取り引きの防止
  • その他、国際協力の強化

ここにおいて国際化学物質管理行動計画が開始され、その10年後の2002年の「持続可能な開発に関する世界首脳会議(WSSD)」において「ライフサイクルを考慮に入れた化学物質と有機廃棄物の健全な管理のためのアジェンダ21の約束を新たにするとともに、予防的取組方法に留意しつつ、透明性のある科学的根拠に基づくリスク評価手順とリスク管理手順を用いて、化学物質が人の健康と環境にもたらす著しい悪影響を最小化する方法で使用、生産されることを2020年までに達成する。」との首脳レベルでの長期的な化学物質管理に関する国際合意(WSSD目標)がなされています。

2006年2月には、上記を具体化するための行動指針として「国際的な化学物質管理のための戦略的アプローチ(SAICM)」が取りまとめられています。

そして、化学物質管理に関する国際的な標準化、国際協調の活動等、国際的に調和した取組が進められています。その中には、化学品(chemicals)のハザード(有害性)情報の分類と表示方法について国際的に調和されたシステムを作ることを目的とした「化学品の分類と表示に関する世界調和システム(GHS)」があり、化学物質安全データシート(MSDS)の提供等により、これらのハザード情報を伝達することが期待されています。

また、2004年に発効した残留性有機汚染物質に関する「ストックホルム条約 (POPs条約)」は、環境中での残留性、生物蓄積性、人や環境への高い毒性および長距離移動が懸念される残留有機汚染物質の廃絶・最小化を目指しています。

OECDにおいても、試験法など化学物質管理に関する国際標準化等の活動の他、新規化学物質のハザード評価結果(あるいはリスク評価の一部分)の他国による受入や低リスクであるなどの理由から事前審査の対象外とすべき新規化学物質の国際整合化にむけた取組が進められています。

各国の化学物質管理法令

上述の状況を踏まえ、世界各国で人の健康や環境汚染を防止するための化学物質管理の法令の改正、制定等が行われてきました。EU、米国、中国、日本各国における対応につき以下に整理してみました。

  1. 欧州(EU)においては、REACH規則が制定され、2007年6月から段階的に施行され、 2018年5月までに一定量を超えて上市されたすべての化学物質の登録が完了します。
  2. 米国においては「有害物管理規制法(TSCA)」により、新規化学物質の事前届け出等の 運用を行っていくと同時に北米3か国による中生産量化学物質の安全性評価や年間100万ポンド以上製造・輸入される化学物質の有害性を評価するUSチャレンジプログラム等のWSSD目標達成に向けた地域協力に基づく取組が行われています
  3. 中国においても、2003年10月15日から施行されてきた「新化学物質環境管理弁法」の改正法が2010年1月19日に公布され、2010年10月から施行されています。この新弁法は、中国国内で製造、輸入される新規化学物質の研究、生産、輸入および加工使用活動における環境管理に適用されています。
    新弁法において、新規化学物質とは「中国現有化学物質名録(リスト)」に含まれていない化学物質であると定義され、製造量・輸入量等に従い、「通常申告(1t/年以上)」、「簡易申告(1t/年未満)」、「備案申告(科学研究用0.1t/年未満等)」の申告(登録)が義務付けられています。
    通常申告においては、申告量により、4等級に分かれていてそれぞれの等級ごとに提出データが異なり、申告時の級が大きくなるほど提出データも多くなっています。また、GHSに準拠した国家標準に基づき分類・表示を求められています。
【各国の化学物質管理法令の制定状況】

EU:REACH規則(2006年12月公布、2007年6月施行)
  米国:TSCA(有害物質規制法、1977年発効)
  中国:新化学物質環境管理弁法(2010年1月19日改正公布、2010年月15日施行)
  日本:新規化学物質の審査および製造等の規制に関する法律
     (化審法、2009年改正、2010年、2011年の2段階で施行)

【既存化学物質と新規化学物質の取扱い】

各国ごとに一定の基準を設け既存化学物質を定義し、それ以外の化学物質を新規化学物質とし、製造・輸入に対して事前に登録(申告)する制度が設けられています。

米国TSCAでは1975年1月1日以降、製造、輸入又は加工された物質を収載したリストが「TSCAインベントリー」と定義されています。「TSACAインベントリー」に未収載の化学物質を製造・輸入する場合には、当該化学物質を製造前届出することが義務付けられています。混合物、少量の研究開発用化学物質、輸出のためのみに製造される化学物質、不純物、商業目的に使用されない副生物、単離されない中間体等や成形品には適用されていません。

ただし、EUのREACH規則においては新規、既存の区別をせず、すべての化学物質の上市前に登録の義務を課しています。既存の化学物質については、予備登録制度を活用し、製造量・輸入量や化学物質の物性に応じて登録時期を猶予し、2018年5月までにすべての化学物質の登録を終えることとしています。

各国化学物質管理法令における既存化学物質(リスト)
REACH:欧州既存商業化学物質リスト(EINECS)、ノーロンガーポリマーリスト(NLP)に収載されている化学物質およびEU加盟国でREACH規則発効前の15年間に製造、輸入されたが上市されていない化学物質(その旨の証拠書類が必要)
TSCA:TSCAインベントリー(1975年以降、製造、輸入または加工された物質を収載したもの)収載物質
新規化学物質環境管理弁法:中国現有化学物質名録(リスト)の収載物質
化審法:昭和48年の化審法制以前に製造、輸入されていた化学物質

【製造量・輸入量に応じた登録時の提出(届出)情報量の差異】

登録時の製造量・輸入量により、提出する有害性情報等のデータ内容が違っています。

中国の「新化学物質環境管理弁法」においては、「通常申告」において、REACH規則と類似の以下の数量区分を設けています。

1級:1~10t/年
  2級:10~100t/年
  3級:100~1000t/年
  4級:1000t/年以上

級数が高いほど、要求される要求される有害性試験項目が多くなっています。REACH規則における物質登録の場合も基本的には同様です。

【登録物質の分類と表示】

登録する物質に対しては、国連のGHSに準拠した化学物質の分類と表示に従うように法規制を制定しています。

EUのREACH規則においては、2009年1月に発効したCLP規則に基づき、化学物質の分類と表示を行うようにREACH規則が改正されています。なお、サプライチェーン間の情報伝達手段であるSDSはCLP規則の制定にもかかわらず、REACH規則の中で実施することが求められています。

中国の「新規化学物質環境管理弁法」においては、GHS準拠の国家基準に従った分類と表示が規定されています。

【ハザード評価からリスク評価への流れ】

従来は、化学物質の固有の有害性、危険性に着目したハザード評価に基づいた規制、管理が行われてきましたが、現在では人や環境への暴露評価を加味したリスク評価に規制、管理の重点が置かれ、化学物質管理法令もリスク評価ベースの規制となっています。また、化学物質の安全性評価については、EUおよび日本等において既存化学物質について、国が安全性評価を行っていましたが、多くの化学物質の評価は未了でした。改正化審法では、1t/年以上の化学物質を製造・輸入した事業者に届け出を義務づけ、詳細な安全性評価の対象となる化学物質を「優先評価化学物質」に指定し、製造者、輸入者に有害性の情報の提出を求めています。

(瀧山 森雄)

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当解説は筆者の知見、認識に基づいてのものであり、特定の会社、公式機関の 見解等を代弁するものではありません。法規制解釈のための参考情報です。 法規制の内容は各国の公式文書で確認し、弁護士等の法律専門家に判断によるなど最終的な判断は読者の責任で行ってください。


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