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ここが知りたい REACH規則

コラム

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11.12.02

TSCA改定の状況

EUのREACH規則は、2001年に「化学物質白書」が発表されてから約5年間の長時間の審議を経て、ようやく2006年12月に公布されました。

他方、米国では、2005年にGAO(United States Government Accountability Office)から、EPAに化学物質の健康および環境リスクを評価するための能力を向上させることを議会に勧める報告書が出され、議会の議員からは、「The Kid Safe Chemicals Act」の名のもとで、子供や消費者を化学物質から守るために、TSCAを修正する法案等が提案されてきました1)。2010年には上院・下院の委員会にそれぞれ、ほぼ同じ内容のTSCAの修正案が出されましたが、選挙等のために審議が遅れ廃案になっています2)

今年(2011年)の4月に、再度、Lautenberg上院議員からTSCAの修正案「Safe Chemicals Act of 2011: SB847」が上院委員会に提出されています。

再提案にあたっては、これまのヒアリング等の意見を取り入れて、昨年の「Safe Chemicals Act of 2010:SB3209」を改善しているとのことです。

1)今後、広く利害関係者の意見を取り入れて、超党派で修正案の検討を進めるとしています。11月17日には公聴会が開催されました。環境保護を主張する関係者はTSCA改定に賛成の証言をしています。

産業界からは微妙にニュアンスが異なりますが、今回の修正案には反対の意見を出しています。

SOCMA(The Society of Chemical Manufacturers and Affiliates:化学品製造社協会)からは公聴会に文書を提出し、(1)現行のTSCAは技術革新を妨げることなく、人間の健康と環境を守ることに成功し、幅広く支持を受けている、(2)修正案(SB847)の安全標準は実施不可能なものであり、(3)最小データセットの要求は、リスクの低い物質の市場導入を遅らすことになる、と改定に反対しています3)

他方、ACC(American Chemistry Council:米国化学協会)の会長Mr. Cal Dooley は、基本的にはTSCA改定をすることを支持していますが、今年の修正案の問題点として下記を挙げ、昨年の修正案(SB3209)と同じく実行が困難であると証言しています4)

  1. 安全標準:すべての物質に対しては満足することは不可能。すべての化学物質の工業、販売、および消費者製品の使用に対して暴露を考慮することになり、規制は機能マヒを起こす。
  2. 新規化学物質:現行規制でも新規化学物質の評価は機能していると評価されている。修正案では、新規化学物質の市場導入前に重要な新規データの要求が規定され、EPAの評価には時間がかかり、どっちつかずの状態が長く続くおことになろう。そのために、製造者は、より管理出来る規制環境と、法外なコストと不確実性を避けるために、他の国に、グリーンな化学品の開発と潜在的に革命的な新製品を含む新規化学物質の生産を求めることになる。
  3. 最小データセット*:修正案では、ほとんど利益をもたらさないにも拘らず、すべての化学物質に最小のデータを要求し、EPAと製造者に多大な負担を課すことになる。EPA はアクセスした膨大なデータと情報を活用すべきである。
  4. 優先順位付け注):修正案の順位付けの提案は厳格な基準を欠き、規制の決定に不可欠な三 要素である、有害性、使用、および曝露に関する現在の知識を統合することに言及していない。 ACCは、完全な安全性評価を受けるべき化学物質を決定するための透明かつ科学的根拠に基づいた優先順位付けのプロセスを提案した。この提案の方法を採用すれば、EPAはリソースを最も必要な業務に集中できるようになる。われわれの優先順位づけプロセスの提案はSB847で提案されているものよりもより効果的ではあると信じている。

注)TSCA修正案では、優先順位をつけて物質を特定し、化学物質のリスク評価のために必要な最小のデータセットの提出が求められています。修正案(SB847)では、以下のように優先順位を決める内容になっています。
 クラス1:PBT、広範囲に暴露する物質又は分解物質、代謝物質
       20~30物質を施行1年以内に公示
 クラス2:健康と環境によりリスクが高い長官が安全標準を要求する物質
 クラス3:直ちに行動を起こすことが必要でない物質

ACCは、上述の問題点を指摘していますが、以下のようなコメントもしています。

「化学はクリーンエネルギー、インフラ、効率的な輸送、医療の進歩、および強力な国防の源泉である、TSCAの改正は重要な優先課題である、ただし、正しく行わなければならない。SB847による準備が不十分な規制制度は、開発と変革の技術を行う米国の能力を損ない、今日、明日の仕事にリスクをもたらすことになろう。SB847は解決策ではないが、ACCはTSCA改定には引き続きコミットする」

今回の提案者のLautenberg上院議員は、委員会で近日中に投票にかけたい意向を持っていますが、産業界の反対意見が大きいことを考えますと、成立までには、まだ暫く時間がかかると考えます。

ACCが提案している「優先順位付けのプロセス」の内容については、後日紹介したいと思います。

1)http://www.govtrack.us/congress/bill.xpd?bill=h109-4308
  http://www.govtrack.us/congress/bill.xpd?bill=s110-3040
2)http://www.govtrack.us/congress/billtext.xpd?bill=h111-5820
  http://www.govtrack.us/congress/bill.xpd?bill=s111-3209
3) http://www.socma.com/assets/File/socma1/PDFfiles/GR_PDF_files/SOCMA-Letter-on-Safe-Chemicals-Act-Hearing-111611-FINAL.pdf
4)http://www.americanchemistry.com/Policy/Chemical-Safety/TSCA/Cal-Dooley-Testimony-re-Safe-Chemicals-Act.pdf

(林 譲)

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当解説は筆者の知見、認識に基づいてのものであり、特定の会社、公式機関の 見解等を代弁するものではありません。法規制解釈のための参考情報です。 法規制の内容は各国の公式文書で確認し、弁護士等の法律専門家に判断によるなど最終的な判断は読者の責任で行ってください。


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