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ここが知りたい REACH規則

コラム

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11.11.04

成形品に関する雑論

一般的な電気製品などの成形品に対する化学物質規制は比較的近年になってから要求され始めました。そのため日本の成形品メーカーはQCDには優れた管理をしていますが、化学物質に関してはRoHS指令やREACH規則のSVHC対応などの取組みに戸惑いが垣間見られます。
 一方、規制する側も成形品に対する義務化も統一しきれていないきらいがあります。そこで成形品に関する規制状況を徒然なるがままに整理してみます。

EU REACH規則に見る成形品の義務

成形品の定義は「成形品とは、生産時に与えられる特定な形状、表面又はデザインがその化学組成よりも大きく機能を決定する物体をいう(環境省訳)」となっています。  成形品の義務は第7条に定められています。

1.成形品の生産者又は輸入者はいずれも、以下の二つの条件が満たされる場合には、成形品に含まれる物質について、化学物質庁に登録を提出しなければならない。

a.物質が、成形品の中に生産者又は輸入者当たりで合計して年間1 tを超える量であること(環境省訳)

b.物質が、通常の又は予測可能な使用条件下で、意図的に放出されること(環境省訳)

この条項は2003年5月の関係者との協議用文書にも同様の主旨が記載されています。
 ただ、登録免除要件として「サプイチェーンの上流でその使用がすでに登録されていれば、その物質の登録に適用しない」との記述になっています。
 現在のREACH規則では「サプイチェーンの上流」という限定が外されています。「サプイチェーンの上流」は条項から消えたから効力はないのですが、第7条6項の「その用途について既に登録されている物質には適用されない。」の物質特定は厳しく問われる背景と思います。

中国 新規化学物質環境管理弁法

適用範囲に「通常使用条件で含有新規化学物質を意図的に放出する製品」は入るとしています。
 REACH規則では「予想される使用条件」も対象ですが、新規化学物質環境管理弁法ではその記述はありません。
 新化学物質申告登記ガイドラインに成形品関する記述があります。次項の3要求にすべて符合する成形品(製品)が対象外となります。

a.製造時に、特定の形状、様式が形成される。

b.最終的に使用する機能及び使用目的があり、その機能及び目的のすべて、あるいはその一部が、その形状または様式に起因している。

c.最終的に使用する時、化学変化が発生しない、または製品の価値を失わないような化学変化だけが発生する。

REACH規則の記述あるいはガイダンス文書に記載されている内容とほぼ一致しています。逆に対象とされるのは次です

a.製品から放出される新化学物質が、その製品の機能として必要である場合
 その放出が人為的に設計され、製品の外形状が新化学物質の容器に相当する場合

b.使用時に含有する新化学物質を産出し放出することが製品の機能として必要である場合

c.人為的設計および故意の放出に該当する場合

中国では成形品含有新規化学物質に新規化学物質環境管理弁法の義務は課されていません。

台湾 既存化学物質届出

台湾では既存化学物質のデータベースを整備するため既存化学物質届出(Existing Chemical Substance Nomination:ECN)が2010年12月31日を期限として実施されました(参考:既存化学物質届出の期間は延長されています)。

ECNでは成形品は対象外としています。成形品の定義は「製造過程で、特定の形状に製造された製品または特定のデザインに製造された製品であり、その最終用途の全部または一部がその特定の形状又はデザインにより、同時に通常の使用状態で製品から化学物質の放出がないもの」とされています。REACH規則の定義と義務をまとめて定義しています。

韓国 化学物質登録及び評価等に関する法律と有害化学物質管理法

K-REACHとも言われる化学物質登録及び評価等に関する法律は、新規物質と評価対象物質の登録義務があります。なお、既存物質であっても年間製造量の報告義務などあります。
 登録義務では、「特定の固体形態で一定した機能を発揮する製品に含有され、使用時に放出されない物質」は免除されます。ただ、第3条の適用範囲で成形品の除外の記載がなく、成形品は対象となります。したがって、化学物質確認申請(新規化学物質、既存化学物質、評価化学物質、許可化学物質、制限・禁止物質、有毒物質)や製造・輸入量報告の義務があることになります。
 しかし、有害化学物質管理法でも同じ定義、同じ義務を課していますが、「使用時に放出されない物質」の確認申請は不要(第10条)としていますので、同じ運用がされると推測されています。
 また、有害化学物質管理法では、成形品中で使用中に変化しない化学物質について、申告対象及び取扱量は調査対象外としています。
 韓国では、意図的、非意図的、通常、予想される使用での放出物質が対象となります。

TSCA

TSCAは新規化学物質の届出義務を課しています。TSCAは成形品を範囲外とはしていません。ただ、PMN(製造前新規化学物質届出)の義務はありません。
 輸入者には関税規則で輸入製品中の化学物質がTSCAに適合しているか、またはTSCAの対象外であるかを証明することが要求されています。しかし、成形品輸入者には特定された成形品以外では証明義務はありません。
 成形品の定義は、CFR40 Part720にあります。この定義内容がREACH規則で踏襲されています。TSCAの定義では、流体及び粒子はその形状またはデザインに関係なく成形品とは見なさないとの定義が入っています。
 TSCAは改定が検討されています。2011年4月案では、成形品の一部として輸入された化学物質、混合物はバルクの物質、混合物と同じと扱うとしています。成形品としては規制されません。

このように成形品の定義やその義務は、大きな差異と見るか、微妙な差とみるか立場によって違います。例えば、成形品中のSVHCの情報提供義務でその対象物質が注目されています。2011年6月20日に53物質となり、8月29日に新18物質の提案がされています。2012年までに135物質とする情報もありますが、半年ごとに追加されるのでは、その対応に苦慮するので、まとめて出して欲しいとの要望もあります。
 しかし、成形品に含有する有害化学物質の情報開示は、REACH規則が初めて要求したものではありません。WEEE指令(2002/96/EC) 第10条で「電気・電子機器の中に有害物質が含まれていることの結果として生じ得る環境並びに人の健康に対する影響」の情報提供が義務化されていました。この「有害物質」は67/548/EEC附属書I物質(現在はCLP規則の附属書VIのテーブル3.1)で、いわゆるRoHS指令6物質ではありません。

このように、REACH規則第33条の情報提供義務は新しいものでもなく、67/548/EEC附属書I収載の約4,000物質についてWEEE指令で義務をすでに果たしてきています。
 また、アメリカのカリフォルニア州法のプロポジション65ではCMR物質を含有していれば警告表示義務を課しています。ばく露は使用者の使用方法により異なりますので、一定のリスクに抑えるには含有の事実を伝える必要があります。
 このような考えは、REACH規則に関してフランス官報で複雑な成形品について、その構成成形品の含有表示を要求していることに通じます。
 SVHC(Candidate list収載物質)の動向や成形品の分母の解釈を課題視するより、規制の本質と動向を理解して、経営戦略の1つとして取組むことが肝要に思えます。

(松浦 徹也)

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当解説は筆者の知見、認識に基づいてのものであり、特定の会社、公式機関の 見解等を代弁するものではありません。法規制解釈のための参考情報です。 法規制の内容は各国の公式文書で確認し、弁護士等の法律専門家に判断によるなど最終的な判断は読者の責任で行ってください。


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