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ここが知りたい REACH規則

コラム

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11.06.24

TSCA改正の動き

【TSCAの問題点】

アメリカのTSCAが大きく修正される動きについては、これまで幾度かコラム(2010年8月2日付け9月3日付け9月10日付け10月22日付け)で紹介をしてきました。

これらコラムでも解説されていますが、オバマ政権の発足によりEPAの長官(リサ・ジャクソン)が就任して、取組み方針が変わりました。

TSCAの運用上の課題もあります。例えば、化学物質及び混合物の試験(第4条)では、「試験規則あるいは、PMN(製造前届出)またはSNUR(重要新規利用規則) に関連した試験データまたはその他の情報により、『化学物質または混合物が人体に対しガン、遺伝子突然変異、または先天性異常などの重大あるいは広範な被害をもたらす著しいリスクを呈するか、将来呈するであろうと結論付ける合理的な根拠があること』を示すものをEPA が入手した場合には、EPA はその情報の入手後180 日以内にリスクを予防または軽減する措置を開始するか、またはそのようなリスクは不合理であるとする所見を発表しなければならない」として、EPAが新たな知見で規制ができるようになっています。

しかし、政策(第2条b項)では、「技術革新を妨げず、不必要な経済的障害を生じないような方法で行使されるべき」とされ、議会の意図(第2条c項)では「長官は本法を正当かつ慎重に運用するものとし、かつ、長官は本法に基づき実施または実施提案のいかなる措置は環境的、経済的、及び社会影響を考慮する。」とされていますので、「合理的な根拠」の提示などでスムーズな規制ができないと言われています。

このような背景で、EPAの権限を強化する動きが出て、TSCAの改正案が出されています。35年振りの大改正となり、修正案は次のように出されています。

  • (1)2010年4月15日
       TSCA discussion draft
       上院:Safe Chemicals Act of 2010
       下院:Toxic Chemicals Safety Act of 2010
  • (2)2010年7月22日
       下院修正案 H.R.5820
  • (3)2011年4月14日
       上院:Safe Chemicals Act of 2011(S.847)

アメリカでは法改正は議員立法で行われます。昨秋に中間選挙があった影響と思われますが、一時的に修正討議が中断され、あらためて4月に改正案が提出されました。

【TSCAの修正案】

これまでの修正案を白紙に戻したものではないのですが、昨年の修正案より変更が多々あります。直近の改正案のS.847は全38条ながら182ページの膨大な修正案となっています。現行TSCAの修正事項が記載されていますので、読みにくい内容となっています。

読み切れていませんが、次項などが注目すべき条項と思います。

  1. 化学物質の定義
  2. 分子が同一であってもEPA長官がサイズ(size or size distribution)や形状(shape and surface structure)などで新規化学物質として指定できます。

    現行TSCAの定義は、

    • 化学反応の結果として生じるまたは自然に生じるそのような物質の何らかの食い合わせ
    • 何らかの元素または遊離ラジカル
    となっています。

    EPA長官がサイズなどから新規化学物質として指定することができる可能性があります。気になる物質では、ナノシルバーなどのナノ物質が新規物質になることが否定できない状況になりつつあります。

  3. 有毒性(TOXIC)の定義
  4. GHSの有毒性カテゴリー1および2で、国際整合がとられています。

  5. 最小データセット
  6. 既存化学物質の製造者、混合物の加工者は最小データセットを届出する義務が課せられます。データセットは、長官が化学物質のスクリーニングレベルのリスクアセスメントを行うに必要な最小の情報で、物質特性や毒性学的性質だけでなく、代替試験法や低価格の非動物試験法などについて施行後1年以内に決定します。
     届出時期は、新規化学物質はPMN提出時、優先物質は18カ月後、既存物質は5年後になります。

  7. 優先物質
  8. TSCAにもREACH規則の認可物質または化審法の第2種特定化学物質のような特定条件での使用しか認めない優先物質があります。対象物質は改正案の度に変更されています。
     2010年4月には、Anthracene、 Asbestosや Bisphenol Aなど31物質が特定されていました。
     2010年7月には、最終的には300物質程度特定するとして、Bisphenol A、Formaldehydeやn-Hexaneなど19物質が特定されました。

    2011年4月では、優先物質は3つのクラスに分類されました。

    • クラス1
      PBT(Persistent, Bioaccumulative and Toxic)物質、人または他の生物に広範囲にばく露する可能性を持つ化学物質またはその分解物質、代謝物質を施行後1年以内に20~30物質をEPA長官が定める。
    • クラス2
      EPA長官が安全基準(safety standard)を要求する優先クラスを意味する。
    • クラス3
      EPA長官が直ちに行動を必要としないと決定した優先クラスを意味する。
  9. 届出
  10. 施行後1年以内に既存化学物質の製造業者は次項の届出しなくてはなりません。

    • 化学物質のアイデンティティ、特別な物質特性
    • 事業所の名称、場所
    • 実施した健康と安全の調査のリスト
    • その他(物理的・化学的・毒性データ、年間製造量と用途、ばく露、運命情報)
  11. 差し迫った危険
  12. EPA長官は化学物質、混合物、化学物質または混合物を含有する成形品が、健康または環境に差し迫った重大な危険の可能性がある場合は、差し押さえを裁判所に告訴します。
     成形品中の化学物質も有害性があれば対象となります。

  13. 罰則
  14. 現行は1件につき2万5,000ドルでしたが、3万7,000ドルになっています。

【まとめ】

S.847は修正案で、EPA長官の権限が強すぎるという意見もあり、修正要求と妥協がされ、改正内容が徐々に固まっていくと思います。TSCAの修正の確定は2、3年後と言われています。

TSCA以外にも世界各国で化学物質規制は強化されつつあります。中国や韓国でもREACH規則や化審法に類似した化学物質規制法が告示や施行されています。
変化の激しい規制に個々に対応するのではなく、共通点を探し、共通の仕組みを構築する必要があります。共通化することで100点満点は取れなくても、負担の少ない順法が構築できます。

化学物質規制法の基本はアジェンダ21 第19章となりますので、同章の要求内容を理解しておくと、TSCAなどの改正の方向性やREACH規則、CLP規則などが見えてきます。

(松浦徹也)

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当解説は筆者の知見、認識に基づいてのものであり、特定の会社、公式機関の 見解等を代弁するものではありません。法規制解釈のための参考情報です。 法規制の内容は各国の公式文書で確認し、弁護士等の法律専門家に判断によるなど最終的な判断は読者の責任で行ってください。


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