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ここが知りたい REACH規則

コラム

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11.05.13

閑話休題-放射能汚染対応-

福島第1原子力発電所の事故による放射能漏れに関連して、放射能対策について問われることがあります。EUなどからは、電気電子製品などについても放射能汚染していないことの証明要求が出され、RoHS指令やREACH規則のSVHCの非含有証明に準じる対応が迫られています。
 そこで本コラムでは、放射能に関する基本的事項について知識を整理しておきたいと思います。

【放射性物質の扱い】

放射性物質は危険有害化学物質(元素)ですが、REACH規則やTSCA、化審法では以下のように範囲外となっています。

  1. REACH規則第2条: 本規則は下記の事項には適用しない。
    1. 電離放射から生じる危険に対する労働者及び一般公衆の健康保護のため基本的安全標準を規定する1996 年5 月13 日付け理事会指令96/29/Euratomの適用範囲内の放射性物質 (環境省訳)
  2. TSCA第3条(B)(iv):原子力法(1954年)及び同法により公布された規則で定義 された原料物質、特殊核物質及び核副生成物を含めない。
  3. 化審法第2条:この法律において「化学物質」とは、元素又は化合物に化学反応を起こさせることにより得られる化合物(放射性物質及び次に掲げる物を除く)をいう。

このように放射性物質は化学物質規制法以外で管理されており、また、いわゆる「安全神話」もあったことから一般企業ではこれまで現実的には意識した管理をしていなかったのが現実です。

【用語解説】
  1. 放射線はα線,β線,γ線などの総称です。
  2. 放射能は放射線を射出する性質です。
  3. 放射能の強さは、単位時間に崩壊する核の個数で表わされ、1秒間で崩壊する核の個数が1個のとき1Bq(ベクレル)となります。
  4. 吸収線量は、放射線が物質に吸収される度合で、物質1kgあたりに吸収される放射線のエネルギーが 1J(ジュール:W・s)のとき1Gy(グレイ)です。
  5. 線量当量は、放射線の生物学的効果を考慮した量で吸収線量と修正係数の積で表します。吸収線量(グレイ)に、放射線の種類、性質などに関係する修正係数(α線 10、β線 1、γ線 1など)を乗じたもので、単位はSv(シーベルト)です。
【規制値】

EUの規制値は、以下のように食料品についての基準値を4月12日に告示しました。

放射性元素 食品の最大値(ベクレル/kg)
ベビーフード 乳製品 その他の食品(液体以外) 液体
放射性ストロンチウム
(特にSr-90)
75 125 750 125
放射性ヨウ素
(特にI-131)
100 300 2,000 300
プルトニウムと超プルトニウム元素
(特にPu-239、Am-241)
1 1 10 1
その他放射性核種の半減期が10日間以上のセシウム(特にCs-134,Cs-137)
ここではC14、H3以外
200 200 500 200

畜産物では、Cs-134,Cs-137については500ベクレル/kg、I-131について2,000ベクレル/kgです。
 基準値は従来基準の上限を引き下げるもので、その背景はFAQ(Questions and Answers: Safety of food products imported from Japan )で解説されています。

FAQでは、「EUの輸入食品の放射能基準は、1986年のチェルノブイリ原発事故の翌年・1987年に定められ、24年間変わっていない。放射能基準値は、食品の消費の10%が基準値の汚染レベルとして、国際機関(WHO、FAOなど)のガイドラインに沿って放射線への暴露が年間で1ミリシーベルトを超えないように設定していた。食品の安全基準が高い日本では、上限がEUよりも低く設定されていることから、EUもさらなる科学的分析の結果が出るまで、暫定的に日本の基準を適用する」としています。

基準は食料品であり、対象地域は福島県、群馬県、茨城県、栃木県、宮城県、山形県、新潟県、長野県、山梨県、埼玉県、東京都および千葉県の12都県です。この地域産品は、出国前に放射性物質検査を受ける必要があり、EUの定める放射線限度を超えていないとの日本当局の認定を伴わなければならないとしています。しかし、原産地の特定が難しく日本全体が対象のように運用されているきらいがあります。
 4月15日にEU委員会は加盟国に、貨物船についてECURIEシステムにより以下を通知するように求めました1)

  1. 放射線測定値(基準値を超える場合のみ)
  2. 貨物船の名前、IMO船舶識別番号
  3. 詳細な放射線検査結果(貨物船の表面の汚染測定結果も含め)

これにより、梱包された部品、製品、車両などの大型機械、輸送用コンテナなどの包装や表面への放射性物質付着による放射能汚染の測定の必要性が高まりました。風評的ですが、これにより、成形品メーカーでの対応が一気に始まりました。
 国土交通省は港湾における放射線対策として、「港湾における輸出コンテナの放射線測定のためのガイドライン」及び「港湾における船舶の放射線測定のためのガイドライン」を作成し公表しています。船主の要請で測定、証明もしています。

農林水産省は「福島県内での原発事故に係る諸外国への輸出に関する証明書発行」について支援をしています。

JETROでも輸出品の証明書発行について関連情報の提供をしています。

【測定と証明】

数多くの部品を組み立てている成形品の場合は、どのように測定して汚染していないことを証明するのか悩ましいところです。厳密に考えればRoHS指令の均質物質やREACH規則の成形品のSVHC濃度の証明になってしまいます。
 福島第1原子力発電所の事故の場合は、I-131やCs-137などが大気中に拡散し、その後降下して成形品の表面に付着するリスクです。
 基本的には表面汚染を確認することになります。多くは、GMサーベイメータでスクリーニング的に全表面を測定し、自然放射能以上が検知されれば詳細に測定しています。
 各都道府県の産業技術研究所、工業技術センター等で、工業製品については原則無料で測定しています。証明書も発行してくれますし、一部有償の場合もありますが英語での証明書も発行しています。いくつかの測定対応機関を以下に記します。

JETROでも国内の放射線検査機関について、地方自治体等および全国対応機関の情報を提供しています。

本来、「ここが知りたいRoHS指令」「ここが知りたいREACH規則」では放射性物質は範囲外のテーマですが、筆者としてまとめてみましたので、何かの参考にしていただければ幸いです。

1)http://www.ttieurope.com/docs/IO/20552/euro-comm-radiation-protection-letter.pdf

(松浦 徹也)

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中小機構「中小企業国際化支援アドバイス

当解説は筆者の知見、認識に基づいてのものであり、特定の会社、公式機関の 見解等を代弁するものではありません。法規制解釈のための参考情報です。 法規制の内容は各国の公式文書で確認し、弁護士等の法律専門家に判断によるなど最終的な判断は読者の責任で行ってください。


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