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ここが知りたい REACH規則

コラム

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11.04.22

REACHにまつわる最近のニュースから(7)

REACH規則に伴う第1段階の最後の義務、「成形品中のSVHCの届出」の最初の期限6月1日が迫りました。すでに準備に取り掛かっている企業も多いかと思いますが、期限も迫っています。最近の情報も含め、成形品中のSVHCに求められる情報提供と届出の義務について整理して紹介します。

なお、SVHCについて本コラムでは、以下の有害性を持つ物質から認可対象候補物質としてCandidate Listに収載された物質を指しています。

  • CMRカテゴリー1Aあるいは1B
  • PBTあるいはvPvB
  • 以上と同等の有害性を有すると認められる物質

2011年4月17日現在のSVHCは46物質で、その詳細については、2011年1月7日付けコラムをご参照下さい。

【SVHCの0.1%の算出は成形品全体を対象か、あるいは部品レベルまで必要か?】

これまでの「成形品中のSVHCの要求に関するガイダンス」には、「0.1%の濃度閾値は製造または輸入された成形品に適用される。他の法令での均質材料や部品に関連するのではなく、全体の成形品に関連する」となっていました。この説明に対して、加盟国6カ国の反対する脚注がありました。しかし、4月に公表された「成形品中のSVHCの要求に関するガイダンス」1)の更新版ではこの脚注が削除され、それに代ってこの部分の説明が「0.1%の濃度閾値は製造または輸入された成形品に適用される。しかし、実際には企業は既に成形品全体の情報だけでなく、その部品の情報も収集しているだろう。企業は自主的にこの根拠に従ってECHAへの届出の準備をしてもよい」と変更されています。
 すなわち、対象とする成形品をどのレベルにするかについてはまだ意見が分かれ、決着していません。注意しなければならないことは、公表された更新版のガイダンスにはECHA長官によるつぎのような内容の注意書きが添付されていることです。
 「ガイダンスの読者様:このガイダンスを読むに当っては、ガイダンスの最終コンサルテーションにおいて加盟国によって全て支持されていないことにご注意ください。従い、企業はある側面で異なった施行がされる可能性があります」

ガイダンスでは、これまで通り全体の成形品でSVHCの含有率を算出することになっています。その根拠は、REACHとCLPの加盟国の監督機関会議(CARACAL)の議事録によりますと、欧州委員会の見解は、「そのライフサイクルの特定のステップでREACHの下で成形品の定義を満たす対象物は、それらが別の成形品に一旦組み込まれれば、個々には成形品でなくなり、1つのコンポーネントになるという結論に至った。このような理由から、第7条(2)および33条の義務は、そのように組み立てられた成形品に対してのみ適用され、個々のコンポーネントに対しては適用されない」によります。注意しなければならないのは、SVHCの含有率が0.1%以下のコンポーネントであっても、それに含まれるSVHCの量を含有率の算出には考慮しなければならないことです。
 他方、反対を表明していた6カ国の主張は、「個々の部品はREACH規則の定義を満足するものである」と主張しており、従来のガイダンス通りに「0.1%を超えてSVHCを含有する部品」が組み込まれた成形品全体では0.1%以下となることがあり、SVHCの含有情報が提供されなくなることを問題にしています。

従い、SVHCの含有率を成形品全体、あるいは部品、コンポーネント中の何れで管理するかには注意が必要です。

【情報提供の義務】

0.1%を超えてSVHCを含有する成形品の情報提供義務は以下のように規定されています。

REACH規則第33条(環境省仮訳)

  1. 第57 条の基準に適合し、かつ第59 条(1)に基づき特定される物質を重量比(w/w)0.1%を超える濃度で含む成形品のいかなる供給者も、供給者に利用可能ならば、成形品の安全な使用を認めるのに十分な情報(少なくとも物質名を含む)を、成形品の受領者に対して提供しなければならない。
  2. 第57 条の基準に適合し、かつ第59 条(1)に基づき特定される物質を重量比(w/w)0.1%を超える濃度で含む成形品のいかなる供給者も、消費者の求めに応じ、供給者に利用可能ならば、成形品の安全使用を認めるのに十分な情報(少なくとも物質名を含む。)を、消費者に提供しなければならない。求めを受けてから45 日以内に、無料で関連する情報を提供しなければならない。

この義務は、SVHCに特定された日から適用されます。REACH規則では、情報提供する形式は特に決められていません。提供する情報については、少なくとも含有するSVHCの名称が必要です。さらに、成形品の廃棄までのライフサイクルすべての段階で、どのような暴露の可能性があり、それによる人や環境への有害性が考えられ、そのために暴露の防止や人の保護の方法が適切か等の情報を提供することが必要です。

ガイダンス通りですと、複数の部品を組み合わせた成形品では、前述した条件で算出したSVHCの含有率が0.1%を超えている場合に情報提供の義務があります。例え、0.1%を超えてSVHCを含有する部品が組み込まれていても、成形品全体で0.1%を超えていなければ情報伝達の必要はないことになります。

他方、ECHA長官のコメントからしますと、異議を唱えている6カ国からは、0.1%を超えてSVHCを含有する部品についての情報提供が要求されるかもしれません。この場合の情報提供方法としては、例えば、わが国の資源有効利用促進法での特定の化学物質が最大許容濃度以上含有する場合に省令で定めているJIS C 0950による方法も一方法になるかもしれません。

【成形品中のSVHCが1トンを超える場合の届出の義務】

成形品中のSVHCの届出の義務は、以下の通り規定されています。

REACH規則第7条2項(環境省仮訳)
 成形品の生産者又は輸入者はいずれも、以下の二つの条件が満たされる場合であって、物質が第57 条の基準を満たし、かつ第59 条(1)に従って特定される時は、本条の第4 項に従って化学物質庁に届け出なければならない。

  1. 物質が成形品の中に生産者又は輸入者当たりで合計して年間1 トンを超える量であること
  2. 物質が成形品の中に重量比(w/w)0.1%を超える濃度で存在すること

ここで、「第57 条の基準を満たし、かつ第59 条(1)に従って特定された物質」がSVHCです。また、届出の義務の適用時期については以下のように規定されています。

REACH規則第7条7項(環境省仮訳)
2011 年6 月1 日からは、第59 条(1)項に従って物質が特定されてから6カ月後に、第2項、第3項及び第4項を適用する。

この文言からは、届出の義務が何時から適用されるかは理解しにくいのですが、ECHAのホームページ2)やガイダンス等では、届出期限は以下のように説明しています。

  • 2010年12月1日より前に特定されたSVHCは、遅くとも2011年6月1日以前に
  • 2010年12月1日およびそれ以降に特定されたSVHCは、特定された日から6カ月以内に

2011年1月7日付けコラムの表には、特定された日(収載日)を載せています。38物質は2011年6月1日以前に、残り8物質は6月15日がそれぞれ期限となります。

ガイダンスによれば、複数の部品から構成される成形品については、前項で説明しましたように、SVHCが0.1%以下の部品中のSVHCも考慮しなければなりません。部品や部材を購入している場合、これらの情報を把握管理するのは煩雑で負荷がかかると懸念されます。JAMP等のMSDSplusやAIS等を活用することが重要です。場合によっては、部品の原材料の情報把握も必要かもしれません。
 また、輸出している数種類の成形品に同じSVHCを含む場合は、成形品全体で0.1%を超えている成形品中のSVHCが合計で1tを超えれば届出が必要です。
 他方、6カ国の主張に従って、今回のガイダンスの説明では、0.1%を超えるコンポーネント中のSVHCだけを合計して1tを超えれば届出ることも容認しているようにも推測できます。

SVHCのトン数は、SVHCがCandidate Listに収載されてからが対象になります。また、REACH規則の定義によればトン数計算は暦年で行います。
 これまでCandidate Listに2010年12月15日に収載された8物質以外の38物質は、収載されてから、約1年以上経ちますので、年間のトン数の把握は比較的容易ではないかと思います。しかし、2010年12月15日に収載された8物質については、まだ6カ月しか経っていませんので、非段階導入物質の登録の場合と同じように、年間(暦年)の推測量でよいのではないかと考えています。

届出には登録等の場合と異なり、手数料は発生せず、届出情報も以下の通り比較的簡単なものです。部品にSVHCを含有する成形品を輸出し、その量が1tを超える可能性があれば、社内の管理の過度の負担をなくすため、また、違反の摘発のリスクを避けるために、届出を行うことも1つの方法ではないかと考えます。

SVHCの届出で要求される情報

  1. 生産者または輸入者の名称と詳細な連絡先(附属書VIの1節)
  2. 登録番号(利用可能な場合)
  3. 物質(SVHC)を特定する情報(名称、EC番号、CAS番号、分子式や構造式、純度等(附属書VIの2.1節から2.3.4節に規定)
  4. 物質(SVHC)の有害性の分類(附属書VI の4.1節及び4.2節に規定)
  5. 成形品に含まれる物質(SVHC)の用途および成形品の用途についての簡単な説明(附属書VIの3.5節に規定)
  6. 1~10t、10~100t等の物質のトン数範囲

1)
http://echa.europa.eu/news/na/201104/na_11_13_update_guidance_substances_in_articles_en.asp
http://guidance.echa.europa.eu/docs/guidance_document/articles_en.pdf

2)
http://echa.europa.eu/chem_data/authorisation_process/candidate_list_obligations_en.asp
http://echa.europa.eu/news/pr/201104/pr_11_08_notify_about_svhc_in_articles_june_20110413_en.asp

(林 譲)

当解説は筆者の知見、認識に基づいてのものであり、特定の会社、公式機関の 見解等を代弁するものではありません。法規制解釈のための参考情報です。 法規制の内容は各国の公式文書で確認し、弁護士等の法律専門家に判断によるなど最終的な判断は読者の責任で行ってください。


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