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ここが知りたい REACH規則

コラム

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11.01.21

グリーンケミストリー(Green Chemistry)法とは

米国の環境省(EPA)が1990年に、有害化学物質をできる限り使用・排出しないように物質選択や反応方式を設計し、有用な化学製品をつくることを目標とした「Green Chemistry Programs」を提唱しました。これがグリーンケミストリー(Green Chemistry)の始まりであり、以後約20年間で徐々に具体化されていきました。

グリーンケミストリーの背景には、1990年に制定された環境汚染は汚染源で防ぎ、防ぎ切れない汚染は安全処分を求める「連邦汚染防止法(Pollution Prevention Act)」があります。

その後、1998年にオックスフォード大学のAnastas, P. T.、Warner, J. Cが、「Green Chemistry: Theory and Practice」を出版し、その中でグリーンケミストリーの概念を12原則(Twelve Principles of Green Chemistry)にまとめて発表しました。

  1. Prevention:廃棄物はできる限り排出しない。
  2. Atom Economy:原料をなるべく無駄にしないかたちで合成方法を企画する。
  3. Less Hazardous Chemical Syntheses:人体と環境にできる限り害のない化学合成をする。
  4. Designing Safer Chemicals:毒性のなるべく少ない化学製品をつくる。
  5. Safer Solvents and Auxiliaries:有害な溶剤、補助剤はできる限り使用しない。
  6. Design for Energy Efficiency:化学工程のエネルギー使用量を最小にする。
  7. Use of Renewable Feedstocks:原料はできる限り再生可能資源とする。
  8. Reduce Derivatives:不要な誘導体化はできる限り避ける。
  9. Catalysis:触媒反応をできる限り採用する。
  10. Design for Degradation:環境中で無害物に分解しやすい製品にする。
  11. Real-time analysis for Pollution Prevention:危険物質の構成の前にリアルタイムで、製造過程のモニターとコントロールする。
  12. Inherently Safer Chemistry for Accident Prevention:化学事故の可能性を最小にする物質と構成にする。

原則ですから理念を示すもので、直接的に規制されるものではありませんが、規制の方向性は読み取れます。

2006年3月にカリフォルニア大学が特別報告書「カリフォルニア州のグリーン・ケミストリー:化学物質政策とイノベーションにおけるリーダーシップのための枠組み(Green Chemistry in California:A Framework for Leadership in Chemicals Policy and Innovation)(PDFファイル)」を発表しました。

この特別報告書では、TSCAなどの連邦法は、本質的に排出時規制であって、上市前のレビューが十分でなく、人の健康と環境を保護するのには不十分としています。EUでは、WEEE指令、RoHS指令やREACH規則で新しい化学物質政策を実施しているが、米国には政府のリーダーシップが欠けているとも指摘しています。
 2008年12月16日に最終カリフォルニアグリーンケミストリ議案(California Green Chemistry Initiative Final Report)で6つの政策を発表しました。

  1. 勧告1:汚染防止プログラムと製品スチュワードシップ・プログラムをさらに多くのビジネス・セクターにまで拡大する。
  2. 勧告2:グリーンケミストリーにかかわる人材の教育・訓練プログラム、研究開発、および技術移転を発展させる。
  3. 勧告3:カリフォルニア州で販売される製品の化学成分情報の営業秘密保護を考慮しながらも開示する「オンライン製品成分ネットワーク(Online Product Ingredient Network)」を立ち上げる。
  4. 勧告4:化学物質の有毒性と有害性に関するオンライン・データベース、「オンライン有毒物質クリアリングハウス(Online Toxics Clearinghouse)」を立ち上げる。
  5. 勧告5:人の健康と環境影響の懸念化学物質とその代替策を評価するための体系的で科学的根拠に基づく新たなプロセスを創出し、より安全な製品の追求を加速する。
  6. 勧告6:さまざまな消費者向け製品の環境への配慮に関する評価基準や評価ツールを開発し、「カリフォルニア・グリーン製品登録システム(California Green Products Registry)」を立ち上げて「廃棄物を出さない循環型経済」へ移行する。

この勧告を受けて順次法律ができています。
SB509(PDFファイル)
 SB509は、勧告4の「オンライン有毒物質クリアリングハウスの設立を規定しています。

AB1879
 AB1879は勧告5の 消費者向け製品に含まれる化学物質や化学成分を特定して「懸念化学物質」の優先順位付けを行うためのプロセスと「懸念化学物質」とそれの代替策を評価し、最も効果的に曝露を制限し懸念化学物質がもたらす危険を抑えることができるかを決定するプロセスを構築する規則を2011年1月1日までに作成することが義務付けられています。

消費者向け製品(Consumer Product)の定義は、SB509の§25251にあり、危険なドラッグ・装置、歯の修復材、治療や診断などに使われる装置、およびそれらの包装材のほか、食品、殺虫剤などが除外されています。

AB1879による規則案では、概念図によれば次の3段階で規制されます。

  1. 優先順位付け
    懸念化学物質および懸念化学物質を含む製品を特定して懸念の高いものから順位付けをする。
  2. 代替策評価
    懸念のある製品(優先製品)の製造者が、より安全な代替策を特定するために評価する。
  3. 規制
    製造者が代替策を選定したあとに残る懸念に対処するため、また、より安全な製品設計という方向に製造者を向かわせるための規制の実施。

1990年頃から理念として検討がされてきたグリーンケミストリーが、このように具体的な規制となってきました。
 多くの読者の皆様から、今後の化学物質規制の方向、規制物質は何かとのご質問をいただきます。グリーンケミストリー12原則や6政策勧告はカリフォルニアだけでなく、全米規制の流れであり、EUや日本でもその潮流はあります。
 世界各国の法規制の方向性はアジェンダ21やグリーンケミストリーなどでみられますように同じですが、その国の国民性の違い、価値観の違い、宗教観の違いなどで、個別の規制内容は違っています。
 例えば、グリーンケミストリーに類似した取組みとして、EUを中心としたOECDが提唱しているグリーンサスティナブルケミストリー(Green Sustainable Chemistry)があります。化学製品が生態系に与える影響を考慮し、グリーンケミストリーが対象としていないリサイクルによる省資源化を通じて持続成長可能な産業のあり方を含めた取り組みを提唱しています。

これを違うと見るか、同じと見るかによって、企業対応は異なってきます。グローバル展開している企業は、共通性を探し、対応の簡素化を図ることが肝要です。そのためには、各国の個別法規制の対応を考える前に、理念や原則などを理解し、大きな方向性を把握する必要があります。

(松浦 徹也)

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当解説は筆者の知見、認識に基づいてのものであり、特定の会社、公式機関の 見解等を代弁するものではありません。法規制解釈のための参考情報です。 法規制の内容は各国の公式文書で確認し、弁護士等の法律専門家に判断によるなど最終的な判断は読者の責任で行ってください。


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